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単独介入では円高の流れに変化なし!
次の介入があれば76.25円より下の水準か

2011年08月10日(水)東京時間 13:02

 引き続き、米ドル/円の基本的な考え方は変わっていない「ドル/円の76.25円の攻防は新値更新へ。その後は介入を経て、本格反発する展開か」など参照)

 2007年6月以来、ずっと「米ドル安・円高トレンド」が続いており、現在に至るまで、一度として転換したことはない。

 まる4年もの間、「米ドル安・円高トレンド」のままであり、このことが大前提となる。

■米国債格下げでも、米ドル/円はあまり下落しなかった

 8月4日(木)の東京市場において、日本単独の「円売り・米ドル買い介入」が実施された。

 介入が行われる直前のレートは77円台前半だったが、米ドル/円は介入によって79円台まで押し上げられた。

 その後、米ドル/円は一時80円台前半に乗せたが、同日のニューヨーク市場でNYダウ(米国株)が大きく下落したことなどを材料に、「米ドル売り・円買い」となって、78円台ミドルまで急落した。

 翌8月5日(金)には米国の雇用統計が発表され、結果は若干の改善があった程度にとどまった。よって、実質的には、雇用統計の結果はノーインパクト(関係ない)と考えている。

 そして、8月5日(金)のマーケット(金融市場)終了後に、格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)から、米国債の格付けを「AAA」から「AA+」へ1段階引き下げることが発表された。見通しは「ネガティブ」で、今後さらなる引き下げを示唆するものだ。

 この米国債の格下げはマーケット終了後に発表されており、このニュースはマーケットに織り込まれていない

 したがって、週明けの8月8日(月)のマーケットが世界中から注目された。

 米国債の格下げは明らかな「米ドル売り」の材料であり、米ドル/円には売り圧力がかかると事前に想定されたが、その予想どおりに、週明けの米ドル/円は下落した。

 だが、正直な感想・感覚で言えば、「この程度ならば、たいした下落ではない」といったところだ。

今後も、リスク回避の思惑が強まれば、もう一段の円高圧力が高まる可能性が高いと考えている。

単独介入では円高の大きな流れを変えられない

 介入が実施される際に、日本の単独介入になるのか、それとも、G7(先進7カ国)による協調介入になるのかに注目していた。

 単独介入では、一時的に需給を歪めるにとどまる。一時的に円安に向かわせることができたとしても、円高の大きな流れを変えることはできない。

 しかし、もう一度協調介入が行われた場合には、「G7に米ドルの価値を維持しようという強い意図がある」というメッセージをマーケットが受け取り、流れが変わる可能性がある。

 そのため、介入が実施される場合に、単独介入になるのか、それとも、協調介入になるのかに注目していた。

 8月4日(木)に行われた「円売り・米ドル買い介入」は単独介入で、米国、欧州の合意は得られなかった。

米国、欧州ともに、早々と協調介入を否定し、日本の単独介入を非難するコメントが出されている

 事前に想定していたとおりで、このような状況では、単独介入で一時的に需給を歪めて、一時的に円安に向かわせることができたとしても、円高の大きな流れを変えることはできないと見ている。

■引き続き、86.00円を明確に上抜けられるかに注目

 それでは、米ドル/円の日足チャートからご覧いただきたい。

 これは300本足(300営業日分)のチャートだ。

米ドル/円 日足(クリックで拡大)

 米ドル/円は、チャートポイントであった84.50円を4月上旬に明確に上抜けており、それからすぐに、85.50-55円の高値をつけた。

 この時点では上昇傾向が強く、次のターゲットとして、2010年9月15日に行われた日本の当局(日銀・財務省)による単独介入の際につけた85.94円の高値が意識された。

 つまり、4月上旬の時点では、85.94円を明確に上抜けられるか、否かに注目が集まっていた。

 ちなみに、為替レートのチャートポイントというのは正確な数値ではない。だから、目安(メド)として、86.00円を明確に上抜けるかが注目された。

 しかし、米ドル/円は85.94円(86.00円)に届くことなく下落に転じており、目先の高値は4月6日(水)につけた85.50-55円となった。

 時間が経過してからチャートを見ると、4月6日(水)高値の85.50-55円から80.00円割れまで、一方通行で下落していることがわかる。

 しかし、それでも、85.94円を明確に上抜けることができるか、86.00円を明確に上抜けられるかということに、引き続き、最大限の注意を払う必要がある

■協調介入が否定され、86.00円はやや遠くなったか

 続いて、米ドル/円の180本足(180営業日分)の日足チャートをご覧いただきたい。

米ドル/円 日足(クリックで拡大)

 米ドル/円は、2010年9月下旬から2011年3月15日(火)までの約6カ月間、80.00円から84.50円の安値圏で「ボックス相場」を形成した。

 3月16日(水)に80.00円を下に割り込み、3月17日(木)に76.25円の歴史的安値をつけたので、その時点で、米ドル/円が「ボックス相場」を下にブレイクしたと言える。

 さらに、4月1日(金)には84.73円の高値をつけたので、84.50円のレジスタンスレベルも上抜けている。

 だから、4月1日(金)の時点で、80.00円から84.50円の安値圏の「ボックス相場」を、下にも、上にも、両方ともブレイクしたため、もう関係がなくなった。

 そういった状況下で、前述した86.00円(85.94円)のチャートポイントだけが生き残り、いまだに有効となっている。

 そして、86.00円(85.94円)までやや遠くなったとはいえ、引き続き、短時間で届く可能性のある射程圏内の重要なチャートポイントだと言える。

 なお、再び協調介入が実施されれば短時間で届く値幅に過ぎないと考えていたが、米国・欧州から明確に協調介入が否定されたので、協調介入の可能性は捨てるべきだ

協調介入の可能性が否定されたため、86.00円(85.94円)は、やや遠くなった印象がある

松田哲の「FX一刀両断!」
松田 哲 (まつだ・さとし)

早稲田大学法学部卒業。三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として、法人・個人向けコンサルティング業務を行っている。著書『外貨崩落』(技術評論社)などで米ドル/円相場、クロス円相場の下落を見事的中。近著に『1勝9敗でも勝てる松田式FX!』(ダイヤモンド社)がある他、『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』(技術評論社)、『FXの教科書』(扶桑社)、『投資で浮かぶ人、沈む人』(PHP研究所)、『FX「シグナル」を先取りして勝つ!』(技術評論社)などの著書がある。

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