もし上場廃止となっていれば、株式を自由に売買できなくなる株主が一番困ったであろうことを考えるに、罰せられるべきは株主ではなく当時の経営陣であり、今回の上場維持という判断はある程度妥当ということになる。
特に、違約金が課せられ、上場維持が完全に決まったわけではなく、3年間の執行猶予を与えられその間にガバナンスの改善などが見られない場合は上場廃止にするということで、東証なりの問題意識がそこに表れている。
ただ、今後の株式市場を考えるうえで果たして本当に今回の判断でよかったのかは議論の余地がある。
■売上高や営業利益に影響が少ない会計スキャンダルならOK?
今回の件、おそらくは上場維持という結論ありきで東証サイドの議論は進んだのではないかと思われる。
今回の件、はじめから「結論ありき」だったのか?なぜなら上場維持の発表文は、その結論をサポートするために書かれたような印象を受けるからである。そのために、今後の証券市場にとっては副産物を抱えてしまった可能性がある。
例えば、「一部の関与者のみによってなされたものであった」との記述があるが、今回の件をそのように結論付けることは、今後他の企業の不祥事や会計スキャンダルが発生しても、会社ぐるみだったと結論付けにくくなる可能性をはらむこととなる。
また、「不適切な会計処理は、売上高や営業利益には概ね影響していなかった」という記述があり、これはおそらく「ケイツネ50億」のライブドアとは趣旨が異なるということを強調したい部分だと想像するが、そうすると売上高や営業利益に影響が少ない会計スキャンダルなら今後許されるかのような印象を与えかねない。
■今後の会計スキャンダルに対してグレイエリアを拡大したか?
そして、今回の財務諸表への影響は、「本業における経営成績を拠り所とした市場の評価を著しく歪めたものであったとまでは認められなかった」とあるが、これは本業からのキャッシュフローには影響を与えないものなので、株価評価はあまり変わらなかったであろう、という意味合いだと取れる。
今回の件は、純資産を大幅に目減りさせていたわけであるが、発表文を読む限りは貸借対照表はあまり重要ではないかのような印象を受ける。
これらはすべてやや意地悪に発表文を読んだ場合の解釈であるが、今回の発表文は今後同様のスキャンダルが他の企業で発生したときに、どこまでが許されてどこ以上がアウトかに関して大きなヒントを与えるものでもある。
ゆえに、オリンパスの上場維持という目先の目標は達成できたものの、もしかすると副産物として今後の会計スキャンダルに対してグレイエリアを拡大してしまった可能性もある。













