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19カ月サイクルがユーロの切り返しを示唆。
性急なユーロ売りは避けたほうがいい

2012年02月17日(金)東京時間 18:19

■なぜ、ドルインデックスが週明けから反騰したのか?

 週明け(2012年2月13日から始まる週)から米ドルの切り返しが鮮明となり、特に対円では上値トライの雰囲気が濃厚だ。ドルインデックスは再び80の節目をトライし、2月16日(木)にやっと一服感が出たものの、なお勢いを維持している。

 たびたび指摘してきたように、個別の通貨を見る前に、まずドルインデックスを見ておくことが大事だ。

 では、なぜドルインデックスが週明けから反騰してきたのだろうか?

 下のチャートをご覧いただきたい。

ドルインデックス 日足(2月13日作成、クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 2月13日(月)に作成したものだが、図が示すように、ドルインデックスにおける短期サイクルの13~14週サイクルの終了に伴い、米ドルが全般的に一旦切り返す機運が高まったのが、週明けから反騰した理由だ。

 やや極端な言い方をすれば、米ドル高の背景はこれだけで、これ以上の説明はいらない。

 この見方を証明するように、米ドルの対極にあるユーロが興味深い値動きを見せていた。

 周知のように、週明けの2月13日(月)の朝イチに、ギリシャ議会による財政緊縮法案が可決された。これはユーロにとって好材料だった

 このため、ユーロは一時買われたものの、まもなく頭打ちとなって、大きく反落し、2月16日(木)には一時1.3000ドルの節目を割り込んでしまった。

 ファンダメンタルズのみの視点では、このような値動きは不可解で矛盾しているように見えるが、相場の「理外の理」やテクニカルアナリシスのセンスを理解していれば、むしろ当然の成り行きと受け止められるだろう。

 そして、ユーロの「好材料」をユーロ売り・米ドル買いのサインとして利用できたはずだ。

■「悪材料」出尽くしで反発なら「好材料」実現で反落もある

 テクニカルアナリシスの部分は、前述のドルインデックスのサイクル以外、私のブログに「一歩先を行くには」という記事としてまとめたので、ここでは重複を避け、「相場の理」の視点のみで検証してみたい。

 ただし、実際、この部分に関しては、検証の必要はないかもしれない。というのは、先週のコラムでも以下に記したように、前もってヒントを提示したつもりだったからだ「『米ドル安はまだ続く』と結論できたシンプルで皮肉なある方法とは?」参照)

1月13日(金)、S&P(スタンダード&プアーズ)によるフランスなどEU(欧州連合)諸国の格下げという悪材料が出て、ユーロは一旦底打ちした。それと似たような形で、今度はギリシャに関して何らかの合意がなされるという好材料が出れば、ユーロの騰勢は一旦一服してもおかしくないだろう

 つまり、織り込まれた「悪材料」の出尽くしで反発したのであれば、期待された「好材料」の実現で反落といったパターンもあり得る、ということだ。

 これが短期スパンでの注目ポイントになる。

 つまり、先週の当コラムで指摘したとおりの相場展開となっただけに、ユーロの反落はそれ以上の説明がいらないし、説明があったとしても後解釈にしかならない「『米ドル安はまだ続く』と結論できたシンプルで皮肉なある方法とは?」参照)

 言い換えれば、「相場の理」とは値動きが先で、材料は後でついてくるもの。そして、相場は常に次なる材料を先に織り込み、相応の値動きを先行させ、その材料の出現で反対方向への修正が起きるわけだ。

■ユーロの変動とEUソブリン危機は関係ない

 短期スパンだけでなく、長期スパンでも同じ視点をもって相場に臨むことが大事だ。

 また極端な言い方となるが、本当のところ、ユーロの高安は現在問題となっているギリシャ云々のEUソブリン危機とあまり関係ないかもしれない。

 少なくとも世間が思っているほど両者の関係は緊密ではない。

 このような「暴論」を検証するために、下のチャートを見ていただきたい。

ユーロ/米ドル 週足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 図に示したように、ユーロ/米ドルのボトムを数えると、2000年の安値から5年の大きなサイクルが存在し、2008年のリーマンショック後の安値から19カ月のサイクルを発見できる。

 だから、最初のギリシャ危機発生の2009年半ばから、2010年6月まで激しいユーロ安をもたらした。

 当時、あたかもギリシャがすぐにでも破綻しそうな雰囲気だったが、ふたを開けてみると、実はパニック的な売りは5年サイクルの「ニーズ」に応えるために起きただけのことだった。

 その後、ギリシャ問題はまったく改善されず、むしろPIIGS問題(※)に発展していったにもかかわらず、ユーロは2011年に1.4940ドルまで大幅に切り返すこととなった。それもほかならぬ5年サイクルの終焉に対する反動に過ぎなかったのである。

(※編集部注:「PIIGS」とは欧州で財政面に不安があるとされるポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインを指す言葉)

■19カ月サイクル底打ちが1月13日のユーロ切り返しを示唆

 なぜ1月13日(月)の「S&Pショック」をもってユーロは切り返したのか。前述のような材料を前もって織り込み、その材料が実現すれば反対の値動きとなるという「相場の理」のほかに、より重要なのは19カ月サイクルの存在だ。そのサイクルが底打ちを示していたのである。

 同じロジックでも、2009~2010年のギリシャ危機と比べ、今回のギリシャ問題がより深刻さを増しているにもかかわらず、ユーロ売りが2010年の夏に比べ、かなり穏やかなレベルに留まっているのはおわかりいただけると思う。

 そう、現段階で2010年安値を下回れば、優先順位が上位に位置する5年サイクルが崩壊してしまうから、ちまたで言う「ユーロ崩壊」は時期尚早なのだ。

 では、これからどうなるか?

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陳満咲杜 (ちん・まさと)

中国・上海生まれ。1992年に所持金5000円で来日し、日本語学校を経て日本大学経済学部に入学。生活費と学費をアルバイトでまかないながら在学中より株式投資を開始。大学卒業後、中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。現在は陳アソシエイツ代表/アナリストとして活躍している。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。最新刊は『勤勉で勉強家の日本人がFXで勝てない理由』(ダイヤモンド社)、その他、『相場の宿命 2012年まで株を買ってはいけない!』、『CFDトレーディングの真実』『FXトレーディングの真実』(以上、扶桑社)、『着物トレーダーを卒業せよ 陳満咲杜の為替の真実』(青月社)などの著書がある。

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