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ユーロ、豪ドルはまだ下がる予想が多いが
もう「売られすぎ」というシナリオを堅持

2012年05月25日(金)東京時間 17:36

■EUはギリシャ後の「連鎖反応」を恐れている

 為替市場では、リスク回避の様相がさらに強まっている。その象徴的な出来事は、ユーロ/米ドルの安値更新であろう。

 ユーロ安は節目の1.2500ドルに迫り、これは2010年7月以来の安値水準である。まるで「底なし」のようだ。

 ギリシャのユーロ離脱がかつてないほど現実味を増している中、ユーロの下げ自体は自然な成り行きと思われる。だが、足元のユーロ安を「行き過ぎ」というよりも、「まだまだ!」と感じる市場関係者が多いようだ。

 もし、ギリシャのユーロ離脱があれば、「ユーロの終わりの始まり」となってしまう。

 今のレートでさえ、かなり下げているが、とはいえ、2010年6月安値の1.1876ドルと比べると、まだかなりの「距離」がある。さらなる下値をターゲットとするのは一見して理に適うものだ。

 もっとも、これまでに「ユーロからの離脱」という前例はない。それだけに、ギリシャの離脱で「パンドラの箱が開いてしまうのでは?」といったマーケットの懸念が広がりつつあり、それが足元のユーロ危機の本質だと思う。

 言い換えれば、EU(欧州連合)各国が恐れているのは、ギリシャの混乱そのものよりも、「次はどこか?」と躍起になって探すであろうマーケットの力ということになる。

 連鎖反応で、次から次へと「焦げる国」が出てくれば、EUやECB(欧州中央銀行)がいくらお金を投入しても、危機を救えなくなる。

 マーケットは早くも、こういった最悪のシナリオに基いた展開となっている模様だ。

マーケットは常に極端な状況を織り込もうとする

 現実に、こういった懸念がさらに深まるようなニュースが、次から次へと伝えられている。

 ドイツは強硬路線を放棄しないし、EU共同債構想に対する反対を重ねて表明している。EU各国はギリシャ離脱に対する予備作業に入った模様で、英国の紙幣印刷所は、ギリシャ旧紙幣の印刷がすぐにでもできるよう、準備万端と報じられている。

 また、当のギリシャがどうなるか、次の選挙まで誰にもわからない状況である。「パンドラの箱」が開かれるという恐怖心に包まれる中、リスク回避一色のマーケットであることも、当然の結果と言えよう。

 しかし、こういった未曾有の事態に対する懸念にしても、「パンドラの箱」が開かれるのではないかという恐怖心にしても、マーケットの反応に限定してみれば、本質的には「いつか来た道」である。

マーケットは常に極端な状況を織り込もうとするから、往々にして、行き過ぎの状況となる。こういった状況下では、行き過ぎない見通しを維持すること自体、困難になってくる。

昨年5月以降のユーロ安は、1年で16%しか進んでいない

前回のコラムでも紹介したように、5月15日(火)時点のCFTC統計を見ると、ユーロのショートポジション(売り持ち)は史上最高レベルの17万3869枚に膨らんでいた「ユーロ/ドルは『grexit』ショックの逆襲に注意! ドル/円の調整は78円台までか?」を参照)

ユーロのポジションとユーロ/米ドル相場

※都合により、データは5月8日現在のものとなっています。

 その後、本日も、ユーロ・ショートはさらに膨らんでいると推測される。

 ちなみに、その前の最高レベルは、今年1月にユーロ/米ドルの安値をつけたあたりであった。このことから、足元のユーロの安値更新が、ショートポジションの増加とリンクしているように見える。

 だが、第1次ギリシャ・ショックの2010年6月の状況と見比べて、一種のダイバージェンスを発見できることは見逃せない。

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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」
陳満咲杜 (ちん・まさと)

中国・上海生まれ。1992年に所持金5000円で来日し、日本語学校を経て日本大学経済学部に入学。生活費と学費をアルバイトでまかないながら在学中より株式投資を開始。大学卒業後、中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。現在は陳アソシエイツ代表/アナリストとして活躍している。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。最新刊は『勤勉で勉強家の日本人がFXで勝てない理由』(ダイヤモンド社)、その他、『相場の宿命 2012年まで株を買ってはいけない!』、『CFDトレーディングの真実』『FXトレーディングの真実』(以上、扶桑社)、『着物トレーダーを卒業せよ 陳満咲杜の為替の真実』(青月社)などの著書がある。

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