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日銀介入の思惑もあり、膠着するドル/円。
77円台や77円割れでドル売りは避けたい

2012年10月10日(水)東京時間 16:22

■米ドル/円は76円台~77円台前半で日銀介入か

 今回は米ドル/円の分析を行なう。

 このところの米ドル/円の直近の値動きを見ると、安値は77円台、高値は79円台で、大きく上下動を繰り返している。

米ドル/円 4時間足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

「安値圏の77円台前半ないし76円台では、日銀の単独介入(米ドル買い・円売り介入)が実施されるのではないか」といった思惑が広がっており、77円台を力強く売り込むセンチメント(雰囲気)はない、と考える。

 77円台になると、売り手(米ドル/円ショート派)も、「おっかなびっくりで、売っている」といった印象だ。

 個人的な考え(思惑)にすぎないが、私も同様に「77円台前半ないし76円台では、日銀の単独介入(米ドル買い・円売り介入)が実施されるだろう」と考えている。

 77円台から「米ドル売り」でついていくのは避けたい、と考えていた。

 ごく目先の値動きでは、米ドル/円は77円台前半を下に抜けることができなかった(売ったのだが、十分に下値に届くことができなかった)ので、その結果反転した。

 そして目先で売っていた向きの損切り(買戻し)を誘い、78円台後半にまで反発した、と考える。

■日銀の追加緩和策なしで米ドル上昇に一服感

日銀の金融政策決定会合で、追加緩和策が採られるのではないか、といった思惑も、米ドル/円の上昇に寄与したと考える。

 日銀政策会合に、前原誠司経済財政担当相が出席した。つまり、前原誠司経済財政担当相は、日銀に追加の金融緩和を促すようプレッシャーをかけたわけだ。

 しかし、10月5日(金)の日銀金融政策決定会合では、追加の金融緩和を見送り、現行政策の維持を決めた。

 日銀は、9月の前回会合で一段の追加緩和に踏み切ったため、その効果を見極めるのが適当と判断したのだ。

 この結果を見て、米ドル/円の上昇にも一服感が出たと考える。

■米国雇用統計は良かったが米ドルの上昇は続かず

 10月5日(金)の米国雇用統計は、9月非農業部門雇用者数(NFP)の事前予想が「+11万5000人」に対して、結果が「+11万4000人」。

 非農業部門雇用者数(NFP)は、ほぼ事前予想どおり。

 前回(8月)の非農業部門雇用者数(NFP)が、「+9万6000人」から「+14万2000人」へ上方修正された。

 9月の失業率は、事前予想が「8.2%」に対して、結果が「7.8%」。失業率は、大幅に予想を上回る良い結果だった。

 この結果をみて、米ドル/円は78円台後半に上昇したが、上昇は持続せず、東京市場が休場の週明け月曜日(10月8日)は、78円台前半に反落した。

■中長期のトレンドは安値75.32円を更新するか否かによる

 続いて、下の月足チャートで中長期のトレンドを確認していただきたい。

 2007年6月の高値124円台から始まった、米ドル/円の下落トレンドを示すレジスタンス・ライン(一番右の緑の破線)を上に抜けたことが読み取れる。

 この「一番右の緑の破線」を、中長期のレジスタンス・ラインととらえるならば、トレンドが下落トレンドから上昇トレンドに転換した、と言える。

米ドル/円 月足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 米ドル/円が、今回の安値75.32円を下に抜けると、つまり新値を更新(=歴史的最安値を更新)すると、上述のトレンド転換は明確に否定される。

 しかし、気をつける必要があるのは以下の点である。

 米ドル/円が現時点での高値程度(つまり84円程度)、ないしは高値85~86円程度をつけて、それから下落に転じる場合は、中長期のレジスタンス・ラインの傾きが緩やかになるだけで、下落トレンドから上昇トレンドに転換しないケースもあり得る

 チャートには、新たな中長期のレジスタンス・ライン(ピンクの破線)を加筆している。

米ドル/円 月足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 個人的には「このライン(ピンクの破線)は、時間が経過するとなくなるのではないか?」と考えているが、現時点ではまだはっきりしないので、描かないこともまた恣意的にすぎると考え、表示した。

 米ドル/円が、今回の安値75.32円を下に抜け、歴史的最安値を更新すると、この「ピンクの破線」が中長期のレジスタンス・ラインになる

 この「ピンクの破線」を上に抜ける場合は「買いシグナル」である。


■2012年2月の80円超えの時点で上昇トレンドに転換か

 続いて、下の週足チャートをご覧いただきたい。

 週足チャートを見ると、明確にレジスタンス・ライン「緑の破線(太線)」を上に抜けた、と言える。

米ドル/円 週足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 この値動きで、「レジスタンス・ラインを上に抜けた」と判断するべきか? それとも、レジスタンス・ラインの傾きをもう少し緩やかにして、まだ上に抜けていない、と判断するべきか?

 つまり、「緑の破線(太線)」をレジスタンス・ラインと判断するべきか? それとも、新たに引いた「ピンクの破線(太線)」をレジスタンス・ラインと判断するべきか?

 私見だが、今年(2012年)の2月に80.00円を上に抜けた時点で、「緑の破線(太線)」をレジスタンス・ラインと考えて、「レジスタンス・ラインを上に抜けた」と判断している。

 つまり、「過去の重要なチャート・ポイントだった79.53円と、同じく過去の重要なチャート・ポイントだった80.00円を上に抜けていく場合は、勇気を持って『買い』でついていく。ただし『買い』でついていく場合は、必ずストップ・ロスを置く」と考えた。

 ただし、米ドル/円が、今回の安値75.32円を下に抜けると…

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松田 哲 (まつだ・さとし)

早稲田大学法学部卒業。三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として、法人・個人向けコンサルティング業務を行っている。著書『外貨崩落』(技術評論社)などで米ドル/円相場、クロス円相場の下落を見事的中。近著に『1勝9敗でも勝てる松田式FX!』(ダイヤモンド社)がある他、『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』(技術評論社)、『FXの教科書』(扶桑社)、『投資で浮かぶ人、沈む人』(PHP研究所)、『FX「シグナル」を先取りして勝つ!』(技術評論社)などの著書がある。

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