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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ドル/円と米雇用統計の関連性は高くない。
円高の牽引役はユーロから米ドルへ?

2014年06月13日(金)16:53公開 (2014年06月13日(金)16:53更新)
陳満咲杜

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■米ドル安の受け皿はユーロ以外の外貨に

 ところで、マイナス金利が導入され、QE(量的緩和)策も辞さないとのスタンス表明で、ユーロの独歩安が目立つ。

 利上げしたNZドル、追随する可能性のある豪ドル、そして早期利上げの可能性を織り込もうとする英ポンドに対して、ユーロは「底なし」の状態を示し、ユーロ安の本格化を暗示している。

前回のコラムでも指摘したように、ユーロ安がいったん始まれば、基本的には長いスパンの下落トレンドを形成していくので、ユーロのリバウンドがあっても限定的なはずだ。

【参考記事】
ECB後のユーロのリバウンドを過大評価してはダメ。ドル/円は戻り売りのチャンス(2014年6月6日、陳満咲杜)

 しかし、前回のコラムでユーロのリバウンドを過大評価してはダメなどと書いたが、その後ユーロはリバウンドなしで下げたので、結果的に過大評価していたのは筆者自身かもしれない。

 言ってみれば、この間の米ドル高は、ユーロがその受け皿として集中的に売り浴びせられたからであり、前述のようにユーロクロスも大きな役割を果たしたから、ユーロのリバウンド云々は性急な話だったわけだ。

 ゆえに、ドルインデックスの値動きから、足元の豪ドル/米ドルや英ポンド/米ドルの値動きを説明できるだろう。 

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 前回指摘したように、ドルインデックスが6月5日(木)のチャートで示した「フェイク セットアップ」のプライスアクションは、米ドル全体の頭打ちを示唆したから、同高値の更新がないのなら、米ドル全体は調整する運命にある。

【フェイク セットアップの参考記事】
ユーロのトップアウトがもたらす全面円高。杞憂ではなく相場の「天」は時に落ちる!(2014年5月9日、陳満咲杜)

 一方、ユーロはユーロクロス経由の売り圧力でなかなか浮上できないから、米ドル反落(米ドル安)の受け皿は、ユーロ以外の外貨に集中するほかあるまい。豪ドル/米ドル、英ポンド/米ドルの上昇や米ドル/円の下落はその結果であり、また続くだろう。

 同じ理屈で、ユーロ/円と英ポンド/円や豪ドル/円との相違は、よく説明できるだろう。しばらくこういった相違が続くので、円高を狙うなら、引き続き米ドル/円とユーロ/円が仕掛けやすいのではないかとみる。

■短期ならユーロ/円より米ドル/円を売る方が適切

 また、短期スパンに限っては、ユーロ/円より米ドル/円のほうがより適切かもしれない。

 なにしろ、独歩安でひどく売られてきたユーロだが、対米ドルで、なお6月5日(木)の安値をキープしているから、たちまち底割れするというよりも、いくぶん反発の余地があるのではないかとみる。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 言い換えれば、6月5日(木)のチャートで示された「フェイク セットアップ」シグナルが完全に否定されていない以上、これからそれがなお効いてくる可能性がある。

■市場はいくぶんユーロ高を演じなければならない可能性も

 相場は理外の理、ECB(欧州中央銀行)のマイナス金利政策は失敗だったのではないかという見方が圧倒的に多かったなかで、ユーロはECBの望みどおり下げているので、今回はECB政策が評価される気運が高まっている。

 ユーロ圏各国の長期金利低下に伴い、イタリアなどかつての「問題児」たちの国債利回りも一段と低下し、国債が軒並み急騰している今だからこそ、ユーロ売られすぎ(特にユーロクロスの場合に鮮明)に対する修正が引き起こされ、結果的にECBのスタンスを再検証することになりかねない。

 言い換えれば、このままユーロ安が続けば、ECBは量的緩和の必要性がなくなるから、マーケットはいくぶんユーロ高を演じ、ECBの政策を引き出す、といったシナリオも覚悟した方が良さそうだ。

■安倍政権の「第3の矢」はトレンドを修正できないだろう

 前回言及していた「官制材料」については、これから法人税減税の発表もあるので、それを聞いてからまた次回にてまとめたいと思う。

 いずれにせよ、目先、ユーロ/米ドルやユーロ/円の反発可能性から考えて、円高スピードがいったん弱まる可能性もあるが、円高トレンド自体は不変で、米ドル/円の方がこれから再度円高のリード役として浮上してこよう。

 この意味では、安倍政権が発表する「第3の矢」は、結果的に大きなインパクトを引き起こせないことも推測できるから、株にしても為替にしても、トレンド自体を修正できない公算が大きい。市況は如何に。

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