（「衆議院議員・今井雅人氏に聞いてきた（２） 数百万ドルのドル買いは125円台で全決済!」からつづく）
アベノミクスは今年いっぱいで終わる
株高・円安に支えられてきたアベノミクス。その終わりも近いのだろうか。
「今年で終わりでしょう。みなさんも『日経平均３万円！』なんてバラ色に考えないことですね。企業業績にしたって株高・円安でドライブをかけてきたわけで、それがなくなれば伸びも止まる。
今年度の決算はまだいいかもしれないですが、来年度からは利益も伸びなくなってくるでしょう。安倍さんの支持率だって落ちてきますよ」
アベノミクスは、今年で終わり！？ 「『日経平均３万円』なんてバラ色に考えないことですね」と話す今井さん。安倍政権はどうなるのでしょうか…？
そうなれば「政権交代！ 今井政権誕生!!」なんてことになるのかも!?
「僕ね、初当選した2009年に与党になって政権側に立ったんです。でも、リーマンショックの直後でしたから、危ないなと思っていた。あれだけのショックのあとですから、景気回復まで３、４年はかかると思っていた。政権っていうのは景気が良ければ倒れない。
でも、景気がどん底のときに政権を握ったってボロボロになるのが目に見ているわけです。案の定……でしたね。安倍さんが何もしていないとは言わないですが、『政権を握る時期が良かった』とは言えるでしょう」
ユーロ/米ドルをめぐる「市場の誤算」
では、その他の通貨についてはどう見ているのだろうか。
「ユーロ/米ドルはパリティの1.0を目指していたけど1.04どまり。マーケットはパリティへ落とそうとしていたけど、やりきれなかった。ギリシャ問題は長引きすぎて『出がらしのお茶』。ギリシャで何か起きても市場が反応しなくなっています。
ユーロ圏の景気は思ったほど弱くないし、アメリカが思ったほど強くないということが市場には誤算だったのでしょう。パリティはしばらく難しいかもしれない」
（出所：MetaQuotes Software社のメタトレーダー）
中国変調、原油下落で資源国通貨売りに妙味か
米ドル/円は円安打ち止めが濃厚、ユーロ/米ドルはパリティ手前で失速し膠着となると、個人投資家はどの通貨ペアに注目すべきか。
「中国経済の変調、さらに原油価格も60ドルから一時、50ドル割れまで落ちたことを考えると、世界的に需給が緩んでいるのだろう、と。そうなると、きついのは資源国通貨の豪ドルとＮＺドル。
中国がどうなるのか、もう少し様子を見たいですが、この２通貨の売りを考えてもいいかもしれないですね」
ＮＺドルは６月に利下げを行ない、さらなる追加利下げも濃厚。豪ドルも利下げ方向なので、金利から見ても下がりそう。
「豪ドルは、もしも80円くらいまで下がったら、その時は長期投資で買いたいですね。実は去年も豪ドルを買っていたんですよ。トレードっていうわけじゃなくて、金利狙い。預金の代わりですよ。
オーストラリア経済がおかしくなってきたので、半年も持たずに決済しちゃいましたけどね」
（リアルタイムチャートはこちら → FXチャート＆レート：世界の通貨ＶＳ円 週足）
国会議員からのスゴイ反応
５月には維新の党の政務調査会長に就任した今井さん。最近では安全保障関連法案のニュースで姿を見かける姿も増えており、国会議員としての姿も板についてきたようだ。
5000万円超の利益で国会議員中所得額では６位、このニュースに同僚議員からの評判はどうなのだろう。
「反響？ すごいよ（笑）。うらやましがられるけど、みんな献金で１億、２億もらってるのにね。僕は献金なんてほとんどもらっていないから。政治献金は非課税だけどＦＸは税金もとられるし。２割程度だからいいんですけどね」
国会議員の所得ランキングで６位に入った今井さん。同僚議員からうらやましがられているそうですが、非課税の政治献金と違ってＦＸで出た利益については、一律20％税金を納めなければならないと反論。今井さん自身、政治献金はほとんどもらっていないそう。
ＦＸの利益に対する税率って、以前は総合課税で所得次第では最大50％にもなったのが、今は申告分離課税で一律20％。この恩恵を受けた人も多いだろうが、この税制変更の裏には今井さんの尽力があったと、もっぱらのウワサだったりもする。
【参考記事】
●衆院議員・今井雅人氏にFX税制一本化の舞台裏を聞く！ そこで何があったのか？
「１ドル＝200円」を唱えるあの人の所得は？
「全国会議員で６位？ みんな、本当はもっと稼いでるでしょう。所得公開に含み益は反映されないからね。『藤巻さん』だって外貨をすごい持ってるんじゃないのかな。党内の会議でもよく言ってますからね。『１ドル＝200円！』って」
藤巻健史さんといえば、元モルガン銀行支店長にして、超円安論者としても有名だ。2013年の参議院議員選挙に維新の党から比例区で出馬、当選を果たしている。
藤巻さんの所得はと見てみると、2646万円で全体の順位は71位。このうち約1700万円は国会議員としての給料だから、残りは約900万円に過ぎない。１ドル＝200円時代に向けてポジションを抱えているのかもしれない。
今井さん以上の所得を稼ぐ元ＧＳ役員も！
今井さんや藤巻さんにかぎらず、金融機関出身の国会議員は少なくない。
今回発表された所得の上位を見ると４位に入っている岡本三成さんは、元ゴールドマンサックスの執行役員。所得の内訳を見ると、「不動産利子等」で5643万円を稼いでいて、資産公開を見ると4615平米の土地を保有している。どうやら岡本さんは「国会議員大家さん」であるようだ。
また、11位に入っている中西健治さんは2009年までＪＰモルガン証券で取締役副社長を務めていた大物金融マン。所得内訳では今井さんと同じく「その他」が多いため、株高・円安に乗じたトレードで儲けた可能性が高そうだ。
どんな取引をしていたのか、気になるところ。
「日銀ＯＢの国会議員だったらインサイダー情報があったかも!?」なんて邪推したくなるが、小倉将信さんや大塚耕平さん、安倍内閣で要職を務める塩崎恭久さんなど、意外と多い日本銀行出身の国会議員の所得を見ても、目立ったところはナシ。
黒田さんのクチは堅いようだ（当然のことではあるが…）。
※朝日新聞社のデータをもとにザイFX！編集部にて加工して制作 <データ提供＝朝日新聞社>
稼いだ5000万円は選挙資金に消える!?
「今回、僕はたまたま買ったら上がったから、こうして名前が出ちゃいましたけど、まぁ、選挙資金を稼がないといけないですからね。頭を下げてお金をもらうのもあまり好きではないので、政治献金だってもらえないし、トレードで稼ぐしかない。
そうやって稼いだら、新聞に『ご満悦』なんて書かれちゃうのは不本意ですけどね（笑）」
トレードで稼いだお金は、選挙資金に！ 利益を上げたことに対して、「『ご満悦』なんて書かれちゃうのは不本意ですけどね（笑）」と今井さん。トレードの腕前で選挙資金を稼ぐなんて、さすが元為替ディーラー。やっぱり、うまくいったトレードにご満悦なのでは！？
そう言いつつも、やっぱりご満悦に見えた今井さん。今回、思わぬ形でその辣腕ぶりがあきらかになっただけに、今後のコラム更新にますます期待が高まる！
【参考コンテンツ】
●「どうする？どうなる？日本経済、世界経済」（今井雅人）
（取材・文／ミドルマン・高城泰 撮影／和田佳久）
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