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中国人民銀行はなぜ人民元安に誘導した
のか? 人民元を取引できるFX会社はどこ?

2015年08月24日(月)15:08公開 (2015年08月24日(月)15:08更新)
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 2015年8月11日(火)、突如、中国人民銀行[中国の中央銀行]が対米ドルでの基準値を大幅に引き下げたことで、中国人民元は急落した。

 これを見て、「このタイミングで売っておけば…」、もしくは「急落した後の押し目で買っていれば…」と、中国人民元の取引に興味を持った人がいるかもしれない。では、日本のFX会社で、中国人民元を取扱う会社があるのかといえば、対米ドル、対円を含めて、これが結構あるのだ。

 今回は、中国人民銀行がなぜ、実質的な中国人民元の切り下げを決定したのかを含め、通称「中国人民元ショック」を振り返る。さらに、中国人民元が取引できるFX会社も紹介したい。

基準値引き下げで中国人民元が急落

 はじめに、中国人民元ショックについて振り返っておこう。

 中国人民銀行は、2015年8月11日(火)に、中国人民元の対米ドルでの基準値を引き下げ、さらに8月12日(水)~13日(木)にかけても、連日で引き下げた。これを受けて、中国人民元は急落し、金融市場は混乱した。

 下のチャートを見ると、米ドル/中国人民元は、一気に、「米ドル高・中国人民元安」に。そして、中国人民元/円も急落した。

米ドル/中国人民元(CNH) 日足
中国人民元は急落

(出所:IG証券

中国人民元(CNH)/円 
中国人民元/円は急落

(出所:IG証券

 なお、のちほど紹介するが、こちらのチャートは、中国人民元を取扱うFX会社のひとつ、IG証券の取引ツールに搭載されている中国人民元の対米ドルと対円のチャートだ。

中国人民銀行はなぜ、人民元安に誘導したのか?

 でも、なぜ、中国人民銀行は対米ドルでの基準値を引き下げて、中国人民元安を誘導するような措置を決定したのだろうか?

 中国人民銀行は今回の決定について、中国人民元の基準値の算出方法を変更したことによるものだと説明している。

 その算出方法の変更だが、具体的には、「銀行間為替レートの前営業日引け値(米ドル/中国人民元の前営業日の終値)」を参考にするほか、為替市場の受給および主要通貨の動向を考慮するとのこと。

 これまで、中国人民銀行は、中国人民元の対米ドルでの基準値を決める際、前営業日の引け値ではなく、前営業日の基準値を元に設定していた。

 中国人民元は米ドルや円のような自由変動相場制ではく、管理変動相場制となっている。毎営業日の朝、日本時間で午前10時15分に発表される基準値から一定の範囲しか動かないルールとなっている。

 そして、前営業日に中国人民元が基準値から上下に動いて取引を終えた場合、翌営業日の基準値を前営業日の基準値に基づいて決めると、実勢レートが基準値から、比較的大きく乖離してしまう現象が起きてしまっていた。今回の基準値算出方法の変更により、この乖離をなくすことができるというわけだ。

 さらに中国人民銀行は、実質実効為替レートで見ると、中国人民元は高い水準にあり、基準値の設定を変更する必要があったとしている。つまり、実質的な中国人民元の切り下げが必要だったと推察される。

 では、その中国人民元の実質実効為替レートの推移を見てみよう。

中国人民元の実質実効為替レート

(出所:国際決済銀行のデータよりザイFX!編集部が作成)

 これを見ると、中国人民元高が2011年後半から進んでいて、2014年後半からは一段高になっていることがわかる。

ザイFX!コラム執筆陣は人民元ショックをどう見ていた?

 ただ、市場関係者の間では、中国経済の減速が著しい中、この施策は輸出のテコ入れ策との見方も多かった。確かに、以下のグラフを見ると、中国の輸出は減速している。

中国貿易統計(輸出)の推移

(出所:中国税関総署のデータよりザイFX!編集部が作成)

 では、ザイFX!コラム執筆陣は、今回の中国人民銀行の決定についてどういった見方をしていたのだろうか。

 陳満咲杜氏は、中国人民銀行の動機は、測れないところも多いとしながらも、中国経済の失速が鮮明となり、中国株の崩落もあって、もはや中国人民元を割高な水準に維持する体力がなくなったということがあるだろうとしている。

【参考記事】
異変、急変を警戒! 円安トレンド転換も。チャイナショックの影響はまだこれから!?(8月14日、陳満咲杜)

 また、今井雅人氏は、中国人民元の対米ドルでの基準値引き下げもさることながら、その後に実施した、中国人民銀行による、「米ドル売り・人民元買い」介入に注目し、紛れもなく自国の都合を最優先させた「通貨切り下げ競争」に他ならないと指摘。

 市場の反応は「中国は、そうまでしなければならないほど国内事情が悪化している」との認識に傾きつつあるとのこと。

【参考記事】
中国経済悪化で米利上げ先送り説浮上!人民元基準値切り下げで何が起きたのか(8月13日、今井雅人)

 松田哲氏は、「米ドル高・人民元安」にし、中国からの輸出を有利にすることで、最終的には「中国バブル崩壊」に歯止めをかけることが目的との見方。

【参考記事】
中国人民元切下げや豪中銀声明の変化が今後の豪ドル/ドル相場にどう影響する?(8月12日、松田哲)

 そして、西原宏一氏は、今回の中国人民銀行の、わずか3日間で実質的に中国人民元を4.6%切り下げたのは、サプライズだったとしている。

【参考記事】
人民元ショックの対抗策で浜田節が炸裂!? 日本株高でドル/円は128円へ上昇濃厚!(8月13日、西原宏一)

 ザイFX!コラム執筆陣の中でも意見はさまざまだが、今回の背景としては、中国経済の減速が背景にあるとの見方が多いようだ。

米ドル/中国人民元を取引できるFX会社は?

 ここまで、中国人民元ショックについて振り返ったが、ここからは、中国人民元が取引できるFX会社を紹介したい。

 はじめに紹介するのは、対米ドルで中国人民元を取引できるFX会社だ。以下は、その一覧となっている。

米ドル/中国人民元(CNH)を取扱うFX会社(2015年8月24日現在)
米ドル/中国人民元(CNH)を取引できるFX会社

 今回の中国人民元ショックの震源地でもある、米ドル/中国人民元だが、こちらは、IG証券サクソバンクFX証券OANDA Japanなど、外資系の企業が親会社のFX会社での取扱いが多い。また、そのほか、上田ハーローFXでも取扱いがある。

【参考記事】
上田ハーローFXに人民元(CNH)登場!為替差益とスワップのダブルインカム!?
IGマーケッツ証券で米ドル/人民元、米ドル/ブラジルレアルなどが取引可能に!
着実に儲かる夢の通貨ペアなのか? サクソ系で米ドル/人民元の取引開始!

 なお、中国人民元には、中国本土やNDF(ノンデリバラブル・フォワード)市場と呼ばれる先物市場のようなマーケットで取引される人民元(CNY)と中国本土外(香港)で流動性を持たせて取引されるオフショア人民元(CNH)の2種類がある。

 同じ中国人民元でもFX会社によって取り扱われている種類に違いがあるのだが、上表に出てくるFX会社はすべて、オフショア人民元のみ取り扱っている。

 以下は、IG証券の取引ツールでの中国人民元の取引画面だ。

IG証券の取引ツールでの中国人民元取引画面(クリックで拡大)
IG証券の取引ツールでの中国人民元取引画面

 上の画像は8月17日(月)にキャプチャしたものだが、米ドル/中国人民元のスプレッドは、IG証券が標準スプレッドとする15pipsで提供されていた。

IG証券の提供する米ドル/中国人民元のスプレッドは原則固定ではないので、相場が大きく動いた場合などは、スプレッドが広がってしまうことがある。先ほど紹介した、中国人民元ショックにより、8月11日(火)~13日(木)までのスプレッドはかなり拡大していた。

スプレッドならサクソバンクFX証券が業界トップ水準

 続いて中国人民元/円が取引できるFX会社は以下のとおり。

中国人民元(CNH)/円を取扱うFX会社(2015年8月24日現在)
中国人民元(CNH)/円を取扱うFX会社

(※)スプレッドはすべて、例外あり。

【参考コンテンツ】
FX会社おすすめ比較:取引コストで比べる「中国人民元/円スプレッドの狭い順」

 上表を見ると、各FX会社が提供するスプレッドは、サクソバンクFX証券「スタンダードコース」が0.6銭でトップ。続いて、IG証券が0.8銭、少し離れて、セントラル短資FX「FXダイレクトプラス」の1.9銭となっている。

 ちなみに、原則固定で提供しているFX会社に絞ってみると、外為どっとコム「外貨ネクストネオ」が2.5銭原則固定、SBI FXトレードが2.58銭原則固定で、業界トップ水準だ。

 なお、上表に出てくるFX会社はすべて、中国本土外(香港)で流動性を持たせて取引されるオフショア人民元(CNH)のみ取り扱っている。

 突如、対米ドルでの基準値が引き下げられたことで急落した中国人民元。いったん落ち着いた動きになっているが、中国人民銀行は、算出方法の変更によって、短期的には基準値の変更が大きくなるとも指摘している。ということは、再び中国人民元が急落する可能性もあるのだろうか…。

米ドル/中国人民元(CNH) 日足
米ドル/中国人民元(CNH) 日足

(出所:IG証券

 中国人民元は、もともと流動性が低い通貨なので、相場が急変した場合はスプレッドが急拡大してしまうこともあり得るが、今回の中国人民元の動きにうまく乗れれば、かなりの利益を得られるチャンスがあった

 中国人民元の取引に興味のある方は、取引する際のリスクも考えながら、取引通貨に加えるか検討してみてはどうだろう。

 また、すぐに中国人民元を取引しないにしても、いざというときのために、どのFX会社なら中国人民元を取引できるか、把握しておく、さらには口座を開設しておくと良いのではないだろうか。その際、本記事をご参考に。

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(ザイFX!編集部・庄司正高)

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