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ザイFX!で2015年を振り返ろう!(1)
2つのショックの背後に大きなテーマあり

2015年12月18日(金)13:35公開 (2015年12月18日(金)13:35更新)
ザイFX!編集部

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■SNBが防衛ライン撤廃! ユーロ/スイスフランが大暴落!

 次に、ここからは2015年の金融市場を襲った2つの「ショック」について、振り返ってみよう。

 まず、2015年の年始に市場を震撼させたのが、1月15日(木)に発生した、スイスショックだ。

 2011年9月より、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])は、スイスフラン高を進ませないために、ユーロ/スイスフランにおいて、1ユーロ=1.2000フランという下限の防衛ラインを設定していた。

【参考記事】
為替介入で大暴落したスイスフラン! 大損失を被った個人トレーダーも!?
スイス中銀の防衛ライン1.2フランに超接近! ユーロ/スイスフランはなぜ下落している?
【警戒】スイス中銀の防衛ラインに接近! ユーロ/スイスフランを取引できる口座は?

 ところが、1月15日(木)になって突然、SNBはユーロ/スイスフランで設定していた防衛ラインを撤廃したのだ。

【参考記事】
ユーロ/スイスフランが約3800pips大暴落!スイス中銀が防衛ラインの撤廃を発表!

 SNBの発表を受けて、ユーロ/スイスフランは防衛ラインとなっていた1.2000フランを割り込むと、およそ3800pipsも大暴落することとなった。そして、そこまで下落するのにかかった時間はわずか20分程度。歴史に残るような、かなり強烈な動きだった…。

【参考記事】
プライスが消えた…。現役インターバンクディーラーが語ったスイスショックの瞬間

ユーロ/スイスフラン 週足
スイスショックでユーロ/スイスフランは約3800pipsの暴落

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 週足

 その後はやや落ち着きを取り戻すと、ユーロ/スイスフランは、1.05フラン近辺まで買い戻され、年末まで1.05~1.10フランを中心としたもみ合いを続けた。

■中国人民銀行が実質的に人民元切り下げ

 そして、実質的な通貨(中国人民元)切り下げに踏み切ったのが中国だった。2015年8月11日(火)、突然、中国人民銀行[中国の中央銀行]が対米ドルでの基準値を大幅に引き下げたことで、中国人民元は急落した。

米ドル/中国人民元(CNH) 日足
中国人民銀行が対ドルでの人民元の基準値を大幅に引き下げた

(出所:CQG)

 中国人民銀行はこの決定について、中国人民元の基準値の算出方法を変更したことによるものだと説明していた。

【参考記事】
中国人民銀行はなぜ人民元安に誘導したのか? 人民元を取引できるFX会社はどこ?

 ただ、市場関係者の間では、中国経済の減速が著しい中、この施策は輸出のテコ入れ策として行われたとの見方も多かった。そして、これをきっかけに、世界同時株安となり、「チャイナショック」が起こったのだった。

【参考記事】
中国発のリスク回避強まり世界同時株安!南アランド/円は乱高下、一時10%超暴落!

 2015年8月21日(金)の海外市場では、NYダウが前日比500ドル以上急落。週明け、8月24日(月)の東京市場でも、リスク回避は収まるどころか、さらに強まるような動きをみせる中、アジアの株式市場も総崩れ。震源地の中国では、上海総合指数が大暴落となった。

【参考記事】
田代尚機氏に聞く中国経済(1) 上海株の暴落は中国経済減速が原因ではない!
田代尚機氏に聞く中国経済(2) 世界同時株安の背景に中国の米国債大量売り懸念

上海総合指数 日足
チャイナショックで上海株は大暴落した

(出所:CQG)

■スイスショックとチャイナショックに意外な共通点?

 さて、このように2015年の金融市場を震撼させた、スイスショックとチャイナショックだが、これらにはある共通点があったりする。

 それは、震源地となった中国、スイスのどちらもある程度、固定的な為替政策を採っていたということだ。

 SNBはユーロ/スイスフランの下限レートを1.2000フランに固定して、スイスフラン高がそれ以上、進まないようにしていた。

 また、中国人民銀行は公式には複数の通貨に連動させるバスケット制をとっている、とされていたが、実際には対米ドルで一定の範囲の中でだけレートを動かし、さらにあまり、レートが急激に動かないようにしていた。

 それが、スイスフランであれば、ECBが金融緩和を進めてユーロ安がどんどん進む中で、SNBがスイスフラン高を押さえ込むことができなくなって、防衛ラインを突如撤廃。スイスショックが起こるという展開になった。

ユーロ/スイスフラン 週足
SNBが防衛ラインを撤廃し、スイスショックが起こった

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 週足

 また、FRBが利上げを模索し、全般的な米ドル高が進む中、米ドルに対して、事実上、狭い範囲でしか動かないように操作されていた中国人民元は、米ドルといっしょに上昇していき、米ドル以外の諸外貨に対して割高となっていった。

 たとえば、以下はユーロ/中国人民元のチャートだが、ユーロに対して、中国人民元高が着実に進行してきたことがわかる。

ユーロ/中国人民元 週足
ユーロ/中国人民元 週足

(出所:CQG)

 その結果、中国人民銀行も従来どおりの固定的な為替政策は維持できなくなり、実質的な変動幅を拡大させることになったと見られる。そして、その結果として、チャイナショックが起こってしまった。

米ドル/中国人民元(CNH) 日足
中国人民銀行が従来どおりの為替政策を維持できず…。その結果、チャイナショックが起こってしまった

(出所:CQG)

 欧州(ユーロ)と米国(米ドル)、それぞれにひもづいて、固定的な相場が維持されていたスイスフランと中国人民元。しかし、欧州(ユーロ)と米国(米ドル)の金融政策の方向性の違いがより鮮明となる中で、両国当局はついに耐えきれなくなって、固定的な相場は崩壊した。

 つまり、2015年に起こった代表的な2つの「ショック」は、2015年の大きなテーマであった、欧米の金融政策の方向性が違うことを背景として起こったものであり、ある意味、起こるべくして起こったとも言えそうなのである。

 その意味で、「スイスショック」と「チャイナショック」は単に相場の変動が大きかったというだけでなく、まさに2015年の金融市場を象徴する印象的な出来事だったと言えるのではないだろうか。

「ザイFX!で2015年を振り返ろう!(2) 「黒田ライン」意識で伸び悩んだ米ドル/円」へつづく)

(ザイFX!編集部・庄司正高&井口稔)

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