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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?

欧州で懸念される「2つのドミノ」に警戒!
美子さんの注目通貨は米ドル/スイスフラン

2017年11月23日(木)12:00公開 (2017年11月23日(木)12:00更新)
ザイFX!編集部

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「教えて、美子さん! 英ポンドはどう動くの? 1992年の屈辱を避ける利上げやるやる詐欺」からつづく)

■英ポンドの「通貨の天秤」はどうなっている?

 Brexit交渉の難航や利上げによる個人支出の低迷、通貨安による物価高、それに企業の英国流出など、暗い話ばかりの英国。短期的な乱高下はあっても長期的な上昇余地は限定的なのかも。

 「私の書籍でも紹介した『通貨の天秤』で考えても、ファンダメンタルズ、とくに政治の部分で売り

 金融政策は引き締めというより正常化にすぎないし、利上げ余地も少ないことを考えると、英ポンドの天秤は売りの側に傾いていますよね」

最新版の「英ポンドの天秤」

■欧州で懸念される「2つのドミノ」とは?

 じゃあ、離脱される側のユーロはというと、こちらも明るい材料はない。懸念されるのは独立ドミノと離脱ドミノ、2つのドミノだ。

 「カタルーニャ情勢は日増しに悪化して驚かされましたが、注目してほしいのが独立運動の旗を振っていたプチデモン前カタルーニャ州首相がベルギーに出国していたこと。

 ベルギーのフランダース地方は独立機運が高まっている地域。ベルギー政府は寝た子を起こしてほしくないでしょう」

写真はカタルーニャの独立を求めて実施されたデモの様子。その後、旗振り役となっていたプチデモン前カタルーニャ州首相はベルギーへ出国…

写真はカタルーニャの独立を求めて実施されたデモの様子。その後、旗振り役となっていたプチデモン前カタルーニャ州首相はベルギーへ出国していた (C)David Ramos/Getty Images

 スペインでも独立運動が懸念される地域がある。

 「スペインのバスク地方では以前から独立運動がくすぶっています。『独立ドミノ』のような形で波及していくとユーロの不安要因ですよね」

 さらには中欧でも火種が。

 「ポーランドやハンガリー、チェコ、スロバキアの4カ国は仲がよく、『ヴィシェグラード・グループ』を形成しています。

 10月に行われたチェコの総選挙で反EUのポピュリズム政党が大勝しました。ハンガリーでも反EUへの機運が高まっています。

 きっかけは難民問題です。この2カ国に感化され、ヴィシェグラード・グループ全体が反EUに染まっていくことも考えられます」

「独立ドミノ」を警戒する松崎さん。

「独立ドミノ」と「離脱ドミノ」、2つのドミノを警戒する松崎さん。これが波及していくとユーロの不安要因になるそうだ

 ポーランドの通貨、ポーランドズロチはFXプライム byGMOが2018年1月20日からの取り扱い開始(予定)を発表するなど、隠れた注目通貨。ザイFX!でも以前に取り上げたことがある。

【参考記事】
JPモルガン棚瀬氏に聞く新興国通貨(2) 2017年のおすすめ新興国通貨はコレだ!

■「マクロン効果」と「メルケルのつまずき」

 さて、こうした離脱ドミノを食い止めようと必死なのがドイツやフランス、それにイタリアだ。

 「先日の選挙で苦戦したのがメルケル独首相。EUの中心であるメルケルのつまずきは懸念材料です」

 「欧州の落第生」と美子さんに言われていたフランスとイタリアは?

 「フランスは『マクロン効果』が出ています。PMI(購買担当者景気指数)が上昇傾向で、マクロン大統領も統合の深化をめざして頑張っている。落第生からイチ抜けた感じがあります。

 イタリアはというと、来年(2018年)春の総選挙を前に、選挙法の改正を進めているのがプラス材料。前回総選挙で注目されたポピュリズム政党『5つ星運動』の政権獲得が難しくなり、政治的な不安材料は払拭されつつあります。

 ただ、イタリアは銀行の不良債権問題が深刻。破たんせずに解決できるのかどうかが気がかり。落第生から抜けるのはもう少し先になりそうです」

仏製造業・サービス業PMI

■政治不安はありながらも「ユーロは買い」

 独立と離脱の不安はありながらも、美子さんのユーロに対する目線は「買い」だ。

 「政治的な不安がありながらもテーパリング(※)へと動き出したことが大きい。

 景気を見ても2017年のGDP予想はプラス2.2%。主要国の中ではアメリカに次いで景気がいい。

 今年(2017年)はずっとユーロ/英ポンドの買いで攻めていますが、BOEやECB(欧州中央銀行)の金融政策に大きな変更がないかぎり、買いの継続でいいかなと思っています」

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

松崎さんのユーロに対する目線は「買い」。今年はずっとユーロ/英ポンドの買いで攻めているそうだ

松崎さんのユーロに対する目線は「買い」。政治不安はあるとしながらも、今年(2017年)はずっとユーロ/英ポンドの買いで攻めているそうだ

■ユーロ/英ポンドのチャートポイントは?

 「ユーロ/英ポンドは0.83ポンドから0.88ポンドのレンジをいったん上抜けたのですが、抜けきれずに戻ってきたところです。0.88ポンドを明確に上抜けできるかどうかですよね」

 (※編集部注:この取材は10月31日(火)に行なっています。ユーロ/英ポンドは11月15日(水)に一時0.90ポンドの大台を回復する場面が見られましたが、その後、0.89ポンド台へ反落しています)

ユーロ/英ポンド 週足
ユーロ/英ポンド 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 週足

■英ポンド/円は米ドル/円次第か

 日本で取引する人が多い英ポンド/円の見通しはどうだろうか。

 「基本的には138円から150円のレンジと見ています。難しいのはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は米ドル/円の影響を受けること。

 米ドルがどうなるのか、○○ショック的なリスクオフがあるのかどうかで変わってきますよね」

英ポンド/円 週足
英ポンド/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足

■美子さんが今注目している意外な通貨ペアとは?

 もうひとつ、美子さんが注目している通貨ペアがある。

 「上に抜けようとしている米ドル/スイスフランです。チャートを見ていただきたいんですが、ユーロ/米ドルの上下をひっくり返すと、米ドル/スイスフランとよく似た形になるんですね」

松崎さんが注目している通貨 ペアが米ドル/スイスフラン。 そして、米ドル/スイスフランの上昇のカギを握る通貨ペアは…

ザイFX!だとユーロ/米ドルだけでなく、米ドル/ユーロのチャートも表示できるので比べやすいはず。

 参考までに米ドル/ユーロと米ドル/スイスフラン、2つのチャートを並べると、以下のようになる。

米ドル/ユーロ(上)と米ドル/スイスフラン(下) 週足
米ドル/ユーロ(上)と米ドル/スイスフラン(下) 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足

 「ユーロ/米ドルがヘッド&ショルダー(※)になって下抜けしたのと同じタイミングで米ドル/スイスフランも上昇しています。

 このまま上抜けるようだと、上昇余地は大きそうです」

(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)

■スイス中銀の介入と市場の「オートブレーキ」

 ただ、スイスといえば、2015年のスイスショックが頭をよぎる。チャートを見ても、ショックの爪あとがはっきり残されているわけで……。

【参考記事】
ユーロ/スイスフランが約3800pips大暴落! スイス中銀が防衛ラインの撤廃を発表!

ユーロ/スイスフラン 週足
ユーロ/スイスフラン 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 週足

 「SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])が注目しているのはユーロ/スイスフラン。

 いまだにスイスフラン高が急速に進むとスイスフラン売り介入を行なっています

 そのため、ユーロ/スイスフランは下落が急になると『自動運転』のようにブレーキがかかるんです」

市場の「オートブレーキ」があるならば、スイスフラン売りのポジションは安心感がありそう。

 注目イベントが多い英国と欧州。普段、米ドル/円を中心に見ている人も英ポンドやユーロ、スイスフラン、それにポーランドズロチなどに目を向けるとチャンスが広がりそうだ。

(取材・文/ミドルマン・高城泰 撮影/和田佳久 編集担当/ザイFX!編集部・庄司正高)

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