仮想通貨の初心者でも1分でわかる!ビットコインの基礎知識

ついに仮想通貨取引所が新団体設立へ!
自主規制団体ができると何が変わる?

2018年03月05日(月)19:33公開 [2018年03月05日(月)19:33更新] 高城泰[ミドルマン] バックナンバー一覧へ>>

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■仮想通貨の取引環境が大きく変わるかも!

 仮想通貨の取引環境が大きく変わるきっかけになるかもしれない。そう感じさせたのが、マネーパートナーズ奥山泰全社長ビットフライヤー加納裕三社長が出席して3月2日(金)に開催された記者会見だ。

 記者会見の案内に書かれたタイトルは「認定自主規制団体設置に向けた新団体設立のお知らせ」。早い話、仮想通貨取引所の業界団体設立だ。

 では、なぜ、業界団体の設立でわざわざ記者会見をするのか。

■バイナリーオプションの規制も自主規制だった

 仮想通貨業界では、これまで「自主規制団体」がなかった。

 自主規制団体とは、FXだったら「金融先物取引業協会(金先協会)」だし、証券業界なら「日本証券業協会」。これらの業界団体が金融庁が認めた認定自主規制団体になっている。

 自主規制団体の役割のひとつが自主規制ルールの制定。法律で定めるほどでないけれど、投資家保護などのためにルールが必要……といった場合に、自主規制として独自ルールを定めて、違反した会社があったら処分などを行なうのが自主規制団体となる。

ザイFX!の読者だったら2013年11月に行なわれたバイナリーオプションのルール変更を覚えているかもしれない。あの変更は法律の変更ではなく、金融先物取引業協会で話し合われて施行された自主規制によるものだ。

 バイナリーオプションのルール変更は、規制前は最短10分だった満期までの時間が最短2時間へと延長されるなど大幅なルール変更だったが、自主規制団体の力はそのくらい大きい。

【参考記事】
現行バイナリーオプションは11月で廃止! 新バイナリーの取引は判定2分前までOK?
11月末からは、新ルールへ完全移行! 新バイナリーオプション各社対応状況は?

■新団体はどのような団体になるのか?

 今回の記者会見で発表されたのは、仮想通貨業界での認定自主規制団体をめざす新団体の設立。記者会見に出席したのはマネーパートナーズビットフライヤーの2社だけだったが、仮想通貨交換業者として登録された16社すべての合意が得られているという。

 コインチェックや世界的大手であるkraken、トレイダーズ証券グループのみんなのビットコインなど、まだ金融庁の登録を受けていない「みなし業者」については、「受け入れ体制をとっていく」(奥山氏)としているが、登録業者が「正会員」とすれば、みなし業者は「準会員」などと名称を区別していくようだ。

 設置時期は明言されていなかったが「(事務手続きに)最低でも1カ月前後はかかるのではないか」(奥山氏)というから、4月がメドとなりそうだ。

 金融庁がこの新団体を「認定資金決済事業者協会」として認めれば、正式な自主規制団体となり、仮想通貨取引の自主規制ルールづくりに着手していくと思われる。

仮想通貨交換業者「新団体」の概要
設立  4月メド
位置づけ  改正資金決済法(通称:仮想通貨法)で規定された自主
 規制団体としての「認定 資金決済事業者協会」を目指す
人事  会長:奥山泰全氏(マネーパートナーズ)
 副会長:加納裕三氏(bitFlyer)
参加者  16社(金融庁登録済みのすべての仮想通貨交換業者)
主な役割  自主規制ルール制定
 利用者からの苦情処理
 会員業者の違反に対する処分
 金融庁との意見交換

■認定自主規制団体不在のまま、2団体が併存

 今回のニュースを聞いてちょっと詳しい人なら思うかもしれない、「今までも業界団体ってあったでしょ?」と。

 たしかに仮想通貨取引所が加盟する業界団体はあった。日本ブロックチェーン協会(JBA)と、日本仮想通貨事業者協会(JCBA)だ。この2団体の特徴、ざっと説明しておこう。

 設立されたのはJBAが先で2014年。設立当時は日本価値記録事業者協会(JADA)という名称だったが、2年後に現在の名称へと変更され、現在に至る。代表理事を務めるのは、今回の記者会見にも参加したビットフライヤーの加納裕三氏だ。

 JBAに加盟する企業を見ると、仮想通貨取引所は意外と少なく、テクノロジー寄りの企業が目立つ。下表に名前を書いたのはJBA​の「仮想通貨部門」だけだが、もうひとつ「ブロックチェーン部門」もあり、そちらにはマイクロソフトや日本IBMなどの名前も並んでいる。

 一方、マネーパートナーズの奥山氏が会長を務めるJCBAには仮想通貨取引所の多くが加盟するほか、「準会員」には短資会社や証券会社、信託銀行などの名前が並ぶ。

 おおざっぱに色分けすれば、「IT系のJBA」と、「金融系のJCBA」だ。

業界2団体の会員企業
日本ブロックチェーン協会
(JBA、旧JADA)
日本仮想通貨事業者協会
(JCBA)
       
  bitFlyer【代表理事】   マネーパートナーズ【会長】
  コインチェック【監事】   ビットバンク【理事】
  Payward Japan(Kraken)【理事】   QUOINE【理事】
  GMOコイン   テックビューロ(Zaif)【理事】
  バイクリメンツ(Lemuria)   SBIバーチャル・カレンシーズ【理事】
  BitExpress   コインチェック【理事】
  来夢   Payward Japan(Kraken)【理事】
  VALU   GMOコイン
  イノベーター・ジャパン   DMM Bitcoin
  ガイア   ビットポイントジャパン
  日本瓦斯(ニチガス)   ビットトレード
  DasCoin   フィスコ仮想通貨取引所
  BitOcean   BTCボックス
  フジクリプト   ビットアルゴ取引所東京
  スマートアプリ   Xtheta
      みんなのビットコイン
      CAMPFIRE
      バイクリメンツ(Lemuria)
      FXトレード・フィナンシャル
      カブドットコム証券
      ペイビット
      フィンテック

※JBAは「仮想通貨部門」の会員、JCBAは「正会員」を記載。【墨付カッコ】の中には、その企業の社長などが当該団体の役員を務めている場合にその名称を記載。(カッコ)の中には会社名とその会社が運営する取引所名が大きく異なっている場合などに、取引所名を記載。

■カルチャーの違いが2団体の統合を妨げた?

 この2団体は、いずれも金融庁からの認定を目指していた。JBAの公式サイトにも、「当協会は、改正資金決済法が定める『認定資金決済事業者協会』となることを目指してまいります」と明記されている。

 しかし、ひとつの業界に2つの自主規制団体があったらややこしい。ひとつにまとまれば話はスムーズなのだが、なかなか統合の動きが進まなかった。

 筆者は、「そうはいっても金融庁が仮想通貨交換業者としての登録を発表する2017年9月には、まとまるだろう」と考えていた。仮想通貨交換業者の登録申請用紙には、「加盟する認定資金決済事業者協会の名称」を記入する欄があるからだ。

仮想通貨交換業者の登録申請用紙
仮想通貨交換業者の登録申請用紙

 しかし、結局2団体がまとまることはなかった。IT系と金融系のカルチャーの違いは、そう簡単に越えられるものではなかったわけだ。

■コインチェック事件で金融庁がしびれを切らした可能性

 統合の動きが一向に見えず、やきもきしているうちに起きたのが2018年1月のコインチェック事件だ。新団体が取り組むべき課題について、奥山氏は記者会見でこう話していた。

「まず、昨今問題となっている技術的なセキュリティ面を含む内部管理の部分に取り組む必要があろうかと思います」(奥山氏)

 もっと早く2団体が統合し、仮想通貨保管体制などの自主規制ルールを作っていれば、コインチェック事件は防げたのではないか……。そんな声もある。

 このタイミングでの新団体設立となったのは、2団体が併存し、自主規制団体が決まらない状況にいらだった金融庁が何らかの力を働かせたのかもしれない

■新団体が作成する「ホワイトリスト」

 新団体にとって喫緊の課題がセキュリティや管理体制であることは明らかだが、ほかにどんな自主規制ルールを整備していくのか、記者会見での発言から考えてみよう。

マネーパートナーズの奥山泰全氏

「取り扱う仮想通貨のガイドラインや線引き、またICOには詐欺コインのようなものも含まれていますので、ホワイトペーパー(のガイドライン)整備も急ぐ必要があると思います」(奥山氏)

 取引所がどの仮想通貨を扱うのか、これまでは取引所が個々に判断し、それを金融庁が認めたら取扱開始という流れだった。

 けれども、本来、改正資金決済法(通称:仮想通貨法)が想定していた流れは違う。

「当局(注:金融庁)は、仮想通貨交換業に係る取引の適切性及び取り扱う仮想通貨の適切性等について、申請者(※:取引所)に対して詳細に説明を求めるとともに、認定資金決済事業者協会の公表する情報等を参考としつつ、登録の申請の審査等を実施するものとする」
(金融庁作成の仮想通貨交換業者向け「事務ガイドライン」より)

 下線を引いた部分からも明らかなように、仮想通貨法は認定資金決済事業者協会(自主規制団体)の存在を前提としている。それは取り扱う仮想通貨の決定においても同様だ。

 自主規制団体が生まれれば、新たな仮想通貨を上場させるときは、自主規制団体が発表する仮想通貨のリスト(通称「ホワイトリスト」)を作成→取引所がホワイトリストを参考にしつつ取扱通貨を決定→金融庁に申請……といった流れになりそうだ。

■苦情処理も新団体の役割

 これ以外にも、自主規制団体が取り組むべき課題は山積みだ。

「システム障害の問題もありますし、入出金のトラブルなどお客さまからの苦情対応といったところの整備も急ぐ必要があります。諸課題に対して、どれも優先順位は高い」(奥山氏)

 仮想通貨を頻繁に取引するなら、サーバーの反応の遅さにイラっとしたり、それどころかサーバーダウンで「502 Bad Gateway」と表示されたりしたことがないだろうか。「FXだったら業務改善命令が出るだろうな」というレベルの障害が少なくないのが仮想通貨取引所の現状だ。

 そうしたシステム障害への対策、基準作りも急務だろう。

■仮想通貨FXでもレバレッジ規制の可能性大

 また、加納氏は自主規制の課題として、9つの分野を挙げていた。

ビットフライヤーの加納裕三氏

「JCBAでは、従前より自主規制について議論を重ねています。(1)利用者管理、(2)仮想通貨インサイダー情報管理、(3)不公正取引防止のための取引管理体制、(4)注文管理体制、(5)仮想通貨交換業に関与する従業員の規則、(6)広告等の表示および景品等の提供に関する規則、(7)仮想通貨差金決済取引、(8)セキュリティ、(9)AML(マネーロンダリング防止)・CFT(テロ資金供与対策)の9つです」(加納氏)

 注目したいのが、7番目の仮想通貨差金決済取引の部分。FXではレバレッジ上限を10倍に抑える議論が進んでいるが、仮想通貨の証拠金取引は野放しのままで、取引所によっては25倍のレバレッジをかけて取引することも可能だ。

【参考記事】
FXのレバレッジが25倍→10倍へ引き下げ!? 日経報道は真実? 個人投資家への影響は?
日経は新レバレッジ規制の結論を知ってる!? 「第1回有識者検討会」で話されたこととは?

 25倍なら現状のFXと同じ倍率だが、ビットコインのボラティリティはケタ違いだ。為替なら1日1%動けば「よく動いたな」という印象だが、ビットコインでは5%や10%程度の値動きはザラ

 1日5%の値動きに25倍のレバレッジをかければ、1日で2倍にもゼロにもなるから、急落時には1000万円単位の追証がかかったとする「悲報」を見かけることも頻繁だ。そう考えれば、仮想通貨のレバレッジ取引に対しても自主規制をかけていく可能性は高いだろう

 仮想通貨業界はまだまだ未成熟だし、イノベーションが早いから法律では追いつかない部分も多い。悪質な業者もうごめいている。そう考えると、新団体が担う役割は非常に大きい。安心して仮想通貨に投資できる環境整備、一刻も早く進めてくださいませ!

(取材・文/ミドルマン・高城泰 編集担当/山口学&ザイFX!編集部・井口稔)

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