仮想通貨の初心者でも1分でわかる!ビットコインの基礎知識

コインチェックはマネックスの子会社へ!
買収金額は36億円。意外と少ない理由とは?

2018年04月09日(月)19:43公開 [2018年04月09日(月)19:43更新] 向井友代[ザイFX!副編集長] バックナンバー一覧へ>>

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■コインチェックはマネックスの100%子会社へ

 2018年4月6日(金)、仮想通貨NEM(ネム)の不正流出事件を起こしたみなし仮想通貨交換業者のCoincheck(コインチェック)が、ネット証券大手・マネックス証券擁するマネックスグループ(以下、マネックス)の完全子会社になることが正式に発表されました。

 これを受けて、コインチェック、マネックスの経営陣が揃って同日16時から記者会見を実施。

 今後のコインチェックの経営体制やサービス全面再開、金融庁への仮想通貨交換業者登録へ向けた方針などについて詳細が語られました。

マネックスグループとコインチェックの共同記者会見

コインチェック、マネックスの経営陣が揃って記者会見を実施。コインチェック買収劇のあらましや今後の展望が語られた (C)Bloomberg/Getty Images

【参考記事】
コインチェックでNEMの補償に伴う日本円返金。総額466億円! 一部サービス再開も
コインチェック事件は全額返金で一転解決!? 消えた580億円分の仮想通貨NEMどうなる?

 すでに、多くの報道がなされている中ではありますが、当記事では、改めて、今回のコインチェック買収劇のあらましと、明らかになった今後の展開について、ざっとまとめておきたいと思います。

 なお、当記事でお伝えするポイントをまとめると、以下のとおりです。


【マネックスによるコインチェック買収劇のポイント】

・ 2018年4月6日(金)マネックスによるコインチェック買収を発表
・ 株式の譲渡は4月16日(月)を予定
・ コインチェック和田社長と取締役COOの大塚氏は退任し、新生コインチェックの執行役員に就任
・ コインチェック買収額は36億円
・ コインチェックの仮想通貨交換業登録とサービスの全面再開は、2カ月後程度を目指す


■和田社長と大塚COOは退任し、執行役員へ

 巨額のNEM流出事件を起こしたものの、対象顧客に対して総額466億円もの補償をやってのけたコインチェック。

 補償のやり方について、なんで日本円なんだよ? と、一部で物議は醸しましたが、めっちゃ儲けていたんだなぁこの会社…お金あるんだなぁこの会社…と、補償できちゃったことに驚きを感じた人も多かったのではないでしょうか?

【参考記事】
コインチェックでNEMの補償に伴う日本円返金。総額466億円! 一部サービス再開も

 その後、コインチェックは、仮想通貨交換業登録とサービスの完全再開を目指して、引き続き、事業を継続していましたが、今後は、上述のとおり、マネックス傘下のブランドとして、再スタートを切ることとなります。

コインチェックのウェブサイト
コインチェックのウェブサイト

 子会社化を受けて、コインチェックの社長・和田晃一良氏、取締役COO・大塚雄介氏は退任。現状、コインチェック株は、和田氏が45.2%、大塚氏が5.5%保有していますが、その他株主保有の49.3%を含め、きれいさっぱりマネックスへ譲渡されることになります。

 4月6日(金)の正式発表時点で、株式の譲渡契約は締結済み。実際の譲渡は、コインチェックの臨時株主総会が開かれる4月16日(月)に予定されており、和田・大塚両氏の退任も同日となるそうです。

 ちなみに、和田・大塚両氏は、退任後、執行役員として経営陣には残るみたい。コインチェックの新社長には、マネックスの取締役兼常務執行役の勝屋敏彦氏が就任する予定です。

予定されている新生コインチェックの経営陣(クリックで拡大)
予定されている経営体制及び執行体制

※マネックスグループ「株式取得によるコインチェック株式会社の完全子会社化に関するお知らせ」より

■買収額は36億円。これはマネックスにとっていい買い物?

 466億円もの補償をやってのけたコインチェックですので、気になるのは買収金額ですが、これは36億円という意外に小規模な金額(?)に留まっています。

 今回、おそらく初公表されたコインチェックの経営成績や財政状況は2015年3月期~2017年3月期のものだけ。仮想通貨大ブームが起きた2017年中盤以降の業績は含まれていませんでした。

 ただ、4月6日(金)の日経新聞電子版は仮想通貨大ブームの時期を含む2018年3月期に、コインチェックは1000億円程度の営業利益があったとみられる、と報じています。そんな会社を36億円で手に入れるとは、お買得だったのでは? という印象。

2015年~2017年3月期のコインチェックの経営成績及び財政状態
2015年~2017年3月期のコインチェックの経営成績及び財政状態

※マネックスグループ「株式取得によるコインチェック株式会社の完全子会社化に関するお知らせ」より

 この点、記者会見の中で出た「今回のコインチェック買収は、いい買い物をしたという認識か?」という質問に対し、マネックスの松本社長は、「M&Aは結婚みたいなもの。買い物ではなく、ファミリーとして新しいサービスを作っていくということにエキサイトしている」と語っていたワケですが…。

 改めて、記者会見の中身を見ると、今回のコインチェック買収劇は、あくまで相思相愛の関係で行われた友好的なものであろうことは伝わってきます。しかしながら、いくら円満な買収劇とはいえ、すごい利益を上げていたお相手に対する結納金として36億円は、あまりにも少ないのでは? と思わざるを得ません。

 買収金額36億円の根拠は、いったいどこにあるのでしょうか?

■仮想通貨交換業の登録業者ではないし、訴訟リスクも…

 記者会見での松本社長の発言をみると、これには、コインチェックが、まだ仮想通貨交換業の登録業者ではないということが、深く関わっているようです。

 仮想通貨交換業の登録が、もし、このままでポシャってしまえば事業継続できなくなりますし、そこから見込めたはずの収益も得ることができなくなってしまう…。買収する側として、これは見逃せないリスクでしょう。

 そこで、そうしたリスクを考慮し、今回のコインチェック買収に当たっては、アーンアウトという手法を用いることにしたそう。なんじゃそら? という感じですが、これは、M&A実施時の価格決定に使われる手法の1つ。

 買収した事業が一定の業績を上げるまで、それに見合う対価は支払いません。その代わり、一定の業績を上げればその業績に見合う対価を追々、旧株主のみなさんに支払います、という約束のことを言います。

 一般的に、高く買ってほしい売り手(買収される側)と安く買いたい買い手(買収する側)の間で譲渡価格に折り合いがつかず、M&Aが破談になることを回避するために使われる手法みたいです。

 今回のケースに当てはめて考えると、今後、仮想通貨交換業未登録の状態でマネックスの子会社となるコインチェックが無事に登録され、一定の利益を生み出すことになれば、今発表されている36億円という買収額以上の金額を、旧株主に支払うということだと思われます。

 詳しいところは、はっきりとはわかりませんが、どうやらそういう事情があるため、買収金額が小さめに見えるということのようです。

 さらに、コインチェックが、NEMの流出事件に絡んだ訴訟リスクを抱えているというのも、買収金額を抑える要因になった面があるのではないでしょうか。

■どうして、マネックスを買収先に選んだのか?

 アーンアウトという条件付きではあるものの、36億円で買収されることになったコインチェック。実は、コインチェックの買収に意欲を示していたのは、マネックスだけではなかったようです。

 コインチェックの和田社長自身、記者会見の中で、複数社候補があったことを認めています。

 その中で、なぜ、マネックスに決めたのか? という点については、内部管理体制や経営体制という点を強化するためのサポートを得られ、かつ、何かとテンポが速い仮想通貨業界において必要な意思決定は迅速に行うことができそうだ、ということで決断したみたい。

 内部管理体制や経営体制を強化するため、という言葉の中に、やはり買収劇のきっかけになったであろう、NEM流出事件の存在を強く感じます。

 コインチェックは、前回2018年3月の記者会見の際、NEM流出の原因について、事の始まりは、攻撃者がコインチェック従業員のパソコンにマルウェアを仕込み感染させたことにあったと説明していました。

 その後、サイバー攻撃への対応策として、ネットワークやサーバーを再構築し、セキュリティを強化。さらに、全従業員のパソコン端末の入れ替えを実施するなど再発防止に向けて精力的に取り組んできたようです。

写真は、NEM流出事件直後、2018年1月に実施されたコインチェックの記者会見の様子 (C)Kyodo News/Getty Images

【参考記事】
金融庁がみなし業者含む7社に行政処分。コインチェックの月間取引高は約4兆円!?

 このように、直接的なNEM流出原因は、外部からのサイバー攻撃ではありましたが、和田社長自身、その根本原因は、自社の内部管理体制の甘さなどにあり、そこを強化していくことがコインチェックの課題であると、今回の記者会見でも述べていました。

 事件後に取り組んできた再発防止策に加え、今後は、マネックスという母体の支援を受けることで、システム面を含め、より強固な管理体制でサービスが提供されるのではないでしょうか。

 この点は、新生コインチェックに期待したいところです。

■一部出金&売却を再開。全面再開と業登録は2カ月後?

 お伝えしてきたとおり、仮想通貨交換業者として、いまだ登録が完了していないコインチェックですが、マネックスはコインチェック買収後、新しい経営体制の中で、早々にサービスの全面再開と仮想通貨交換業登録の完了を目指すとしています。

松本社長が目標として掲げた期間は、2カ月程度。さらに、将来的には、IPO(新規株式公開)も目指したいとの意向も示しています。

 松本社長の目標どおりにいけば、早ければ、2018年6月にもコインチェックの業登録が完了し、サービス全面再開の運びとなるのかもしれませんし、将来的にはコインチェックが上場する可能性もあるのかも。

 なお、コインチェックは、マネックスの完全子会社化を正式発表した4月6日(金)、一部のアルトコインの出金と売却を再開しています。

<一部仮想通貨の出金・売却再開について>

・ 再開日時 : 2018年4月6日(順次)
・ 再開機能 : 一部仮想通貨の出金・売却(入金、購入は対象外)
・ 出金&売却再開対象仮想通貨:REP、DASH、ZEC

※REP=オーガー、DASH=ダッシュ、ZEC=ジーキャッシュ

 2018年4月9日(月)現在、コインチェックでは、このほか、以下のアルトコインについて、出金と売却再開のアナウンスがされています。いずれも、入金と購入は対象外です。

<そのほか出金・売却が再開された仮想通貨>

・ 出金再開 : ETH、ETC、XRP、LTC、BCH、BTC、LSK、FCT
・ 売却再開 : ETH、ETC、XRP、LTC、BCH、LSK、FCT

(BTCは当初より停止していない)
※BTC=ビットコイン、ETH=イーサリアム、ETC=イーサリアムクラシック、XRP=リップル、LTC=ライトコイン、BCH=ビットコインキャッシュ、LSK=リスク、FCT=ファクトム

<出金・売却が停止されたままの仮想通貨>

・ XMR(モネロ)
・ XEM(NEM、ネム)

 引き続き、一部のサービスは停止したままですので、最新情報については、必ずコインチェックのウェブサイトなどを確認するようにしてください。

■マネックスといえば、これまでにもいろいろと…

 さて、マネックスといえば、これまでにも、いくつもの企業買収や新規サービス導入などを果敢に実施してきた金融グループです。

マネックスグループのウェブサイト
マネックスグループのウェブサイト

 記者の記憶に残っているところでは、米オンライン証券のトレードステーションの買収やMT4(メタトレーダー4)、tradable(トレーダブル)といった取引ツールの導入などが挙げられます。

 ただ、ここに挙げたものは、いずれも簡単に特大ヒット! とはならなかったみたい。

 たとえば、MT4(メタトレーダー4)やtradable(トレーダブル)は、大々的に導入した割に、早々に撤退することとなってしまいましたし、トレードステーションは、長い間、業績赤字が続いた時代も…。近年は黒字化に成功しているようですが…、なんと言うか、新しいサービスの導入や買収した事業を盛り立てていくのって、簡単なことじゃないんですね…。

 今回のコインチェックの子会社化は、どうでしょうか?

 マネックスが金融グループとして培ってきた信頼性やノウハウとコインチェックが持つ大きな顧客基盤とブランド力が合わされば、もしかしたら、相乗効果で大躍進を遂げる可能性も…と、今は期待したいところ。

 今後の動向に注目です。

■ひっそりと業務停止や業務改善命令が下った業者があった

 ちなみに、4月6日(金)は、マネックスによるコインチェック買収劇という大きな話題の裏側で、ひっそりと仮想通貨交換業者への行政処分も発表されていました。

 行政処分の対象となったのは、すべて登録申請中のみなし業者で、「FSHO」と「エターナルリンク」に業務停止命令、「LastRoots」に業務改善命令が出ています。

 「FSHO」は、3月にも業務停止命令と業務改善命令を受けていた業者です。

【参考記事】
金融庁がみなし業者含む7社に行政処分。コインチェックの月間取引高は約4兆円!?

 いずれも、今回の処分で、マネーロンダリングなどへの対策や経営、システムリスクの管理体制などで問題が指摘されています。

 一部では、仮想通貨交換業者への登録申請を取り下げる業者も出てきており、ここからさらに、仮想通貨交換業者の淘汰は進むのかも しれません。

 いずれにしろ、業界全体として、より健全に、ユーザーが安心して利用できる環境作りに注力していってもらいたいですね。

コインチェックの買収を発表したマネックスには、他の主要業者などと協力し、ぜひ、そのけん引役になっていってもらいたいものです。

(ザイFX!編集部・向井友代)

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