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FX情報局

【全文書き起こし1/3】 店頭FX業者の
決済リスクへの対応に関する有識者検討会
(第4回)

2018年05月01日(火)19:37公開 (2018年05月01日(火)19:37更新)
FX情報局

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 現在、金融庁では「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」が行われています。2018年5月1日(火)までに合計4回の有識者検討会が開かれました。

ザイFX!では、その模様を以下のとおり、毎回お伝えしてきました。

【参考記事】
●2018年2月13日開催 第1回有識者検討会…日経は新レバレッジ規制の結論を知ってる!? 「第1回有識者検討会」で話されたこととは?
●2018年3月12日開催 第2回有識者検討会…有識者から新レバレッジ規制必要なしとの声も!?春に規制ありとした日経新聞は誤報?
●2018年3月29日開催 第3回有識者検討会…有識者検討会に新たな参加者もレバレッジ規制強化の声はなく…!?
●2018年4月13日開催 第4回有識者検討会…風雲急!店頭FX原則禁止論まで飛び出した第4回検討会。レバ規制強化派が優位に!?

 このうち、有識者検討会(第4回)では、日本のFX業界を根底から揺るがすような討議がなされました。上記のとおり、その模様はすでに記事でお伝えしていますが、改めて有識者検討会(第4回)の内容を全文書き起こして公開すれば、ザイFX!読者の参考に資するところ大と考え、ここに公開いたします。

 分量が多いため、今のところ、3回に分けて公開する予定です。今回は参考人としてこの有識者検討会に出席した学習院大学大学院の神田秀樹教授がさまざまな意見を述べてから、途中退出するまでを書き起こしの対象としています。

 書き起こしについては細心の注意を払っておりますが、録音した音声が必ずしも鮮明ではない部分もあり、書き起こした文に誤りのある可能性もないとは言えません。その点はあらかじめ、お断りさせていただきます。また、どうしてもわからない箇所は【聞き取り不明】と記載しています。そして、話し手の言い回しを厳密にそのまま再現しているとは限らず、意味が違ってしまわない範囲で、どうしても冗長となりがちな話し言葉を簡潔な表現にしている部分もあります。

 文中に挿入した小見出しはザイFX!編集部で作成したものです。

 有識者検討会は配布された資料に基づいて行われています。文中にはその資料を適宜挿入しました。その中には第4回以外の有識者検討会で配布された資料も含まれています。

 資料は金融庁の以下のウェブページでも見ることができます。

【参考ページ】
店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(金融庁公式サイト)

 ちなみに有識者検討会の議事録は2018年5月1日(火)現在、第1回有識者検討会のものだけが上記の金融庁のウェブページで公開されています。第2回以降は公開されておりません。

 なお、著作権法第三十二条では、国などが一般に周知させることを目的として作成した著作物は、説明の材料として新聞などに転載してよいとされています(ザイFX!編集部)。


「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」
(第4回)
日時:平成30年4月13日(金)13時30分~15時30分
場所:中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室


池尾和人座長(立正大学経済学部 教授。以下、「池尾座長」と記載) 松井メンバーの到着が遅れていらっしゃるようですが、定刻になりましたのでただ今より「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」第4回会合を開催します。

 皆様にはご多用中のところご参集いただきまして誠にありがとうございます。はじめに、今回の会合に参考人としてご参加いただく方を事務局よりご紹介します。

事務局 メンバーの皆様方の右側にお座りいただいております学習院大学大学院の法務研究科教授でいらっしゃる神田秀樹様です。

 また、今回メンバーやオブザーバーの中に所属や社名の変更のあった方がいらっしゃいます。資料1としてメンバーの名簿をお配りしておりますのでご確認いただければと思います。以上です。

第4回「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」参加者

 
池尾和人氏 立正大学経済学部 教授



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上柳敏郎氏 東京駿河台法律事務所 弁護士
勝尾裕子氏 学習院大学経済学部 教授
黒沼悦郎氏 早稲田大学法学学術院 教授
坂勇一郎氏 東京合同法律事務所 弁護士
永沢裕美子氏 Foster Forum 
良質な金融商品を育てる会 事務局長
松井秀征氏 立教大学法学部法学科 教授
※メンバー表には掲載されているが欠席
弥永真生氏 筑波大学ビジネスサイエンス系 教授



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星野昭氏 三菱UFJ銀行 金融市場部長
伊藤渡氏 東京金融取引所 代表取締役専務
山崎哲夫氏 金融先物取引業協会 事務局長
鬼頭弘泰氏 GMOクリック証券 代表取締役社長
高村正人氏 SBI証券 代表取締役社長
松田邦夫氏 セントラル短資FX 代表取締役社長
緒方健太郎氏 財務省国際局為替市場課長
重本浩司氏 日本銀行金融市場局為替課長
     


 
神田秀樹氏 学習院大学大学院法務研究科教授
※検討会の前半ではさまざまな意見を
述べたが、後半は退出

※金融庁配布の「資料1」を基本としつつ、ザイFX!編集部が松井秀征氏の欠席と参考人の神田秀樹氏を書き加えた。

池尾座長 どうもありがとうございました。私自身も所属が変わっています。

 では、議事に移ります。本日は引き続き関係者からのヒアリングを行います。前回、前々回に比べたらヒアリングの時間を短めにして、その分、議論、討論のほうに時間を取りたいと思いますのでよろしくお願いします。

 それではまず時間の都合から、神田教授からご説明いただいて、その内容についての質疑を先にやらせていただきたいと思います。そしてその後、この前のヒアリングの際にいただいたご質問に対するご回答を、金融先物取引業協会の山崎さん、セントラル短資FX 松田オブザーバー、東京金融取引所の伊藤オブザーバー、そして三菱UFJ銀行 星野オブザーバーからそれぞれ補足をいただいて、その後、先ほど言いましたように改めて討論したいと思います。

 なお、討論に当たっては、今回の分だけということではなく、今回に限らず、前回までのヒアリングの内容も踏まえてできるだけ幅広く議論していただければと思います。

 それではさっそくですが神田教授よりご説明をよろしくお願いします。

神田秀樹参考人(学習院大学大学院法務研究科教授。以下、「神田参考人」と記載) 本日はこのような会にお招きいただきましてどうもありがとうございます。お手元に資料2として私の骨子、レジメを用意させていただきましたので、それに沿ってこの分野で皆様方が検討しておられることを私が【聞き取り不明】しているところに関する私の意見めいたものを申し上げたいと思います。皆様方の今後のご審議の参考にしていただければ大変光栄です。

 
資料2
 
「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」における意見
 
2018年4月13日
学習院大学 神田秀樹
 
問題があるとした場合におけるそれに対する処方箋
 
1(ありうる問題)システミックリスク
 
(状況)
・市場規模等にかんがみると、店頭FX取引が決済不能を起こすとシステミックな問題を惹起する可能性を否定できない。
 
(処方箋)
・業者に対する財務規制の強化とストレステストの強化で臨む。
・取引データ等の情報の協会や当局への報告義務を強化して早期是正措置等を期待する。
・スワップ取引などの店頭デリバティブ取引に関するG20/FSBの処方箋を採用する。
①電子取引基盤の利用、②取引情報の保存および当局への報告、③CCP(中央清算機関)を通すか、または証拠金強化(変動証拠金=時価変動相当額・当初証拠金=取引の相手方が将来デフォルトした際に取引を再構築するまでに生じうる時価変動の推計額)。
 
2(ありうる問題)業者の破綻(システミックな問題を惹起しない場合)
(状況)
・一般に、自己責任という場合、2つのことを区別すべき。①締結した契約が履行された場合の相場変動による損失、②締結した契約が履行されないことによる損失。①の損失は自己責任といえるとしても、②も自己責任(業者の選択も自己責任)としていいか。この点の説明義務を業者に負わせたとしても(「私が締結する契約は履行されないかもしれません。そのことによる損害も私が破綻したら取れません」と説明することになる)、それだけでは個人投資家相手の取引については十分とはいえないように思われる。
 
(処方箋)
・証拠金の保全に加えて何らかの措置を検討することが望ましい。
・セーフティネット(補償基金制度など)は実現しないであろうから、業者破綻時においてもポジションの他の業者への移管等により契約の履行が確保されるような制度の整備をすることが望ましい。
1
 
 
3(ありうる問題)個人顧客にとっての取引の不透明性
 
(状況その1)
・バケットショップ(顧客を相手方として自己が取引すること)を自由にしているため生じる懸念である面が大きい。
・次に述べる非対称性から不公正な取引が行われやすい。
 
(状況その2)非対称性
・取引価格は業者側が提示するため、リアルタイムでしかも顧客側の取引に応じて変動できるようなプログラムを自ら構築して取引を実行できるが、顧客側はそのようなプログラムの詳細な内容を知ることができない。
・業者側は顧客のすべての注文状況を把握できるため、顧客側には業者側の提示する仕組みや業者のポジションがわからないようなプログラムを使って取引を実行できる。
・そもそも業者と顧客間の取引を実行するネットやコンピュータ上のプログラムは業者が作ったものであり、それが透明・公正なものであるかどうか、当局も把握しにくい。
 
(処方箋)
・バケットショップを原則禁止する。
・プログラムや取引データ等の情報の協会や当局への報告を強化するなどしたうえで、不公正取引のチェック体制を強化する。
・情報開示を強化する。なお、個別の取引から業者があげる利益の額を開示させることが考えられるが、カバー取引は個別取引ごとでなくマクロでやっているとかなど、原価が不明等を理由に受け入れられないであろう。
・証拠金(倍率規制)の強化はファーストベストではないがやむをえない規制としてありうる。
 
4(その他のありうる問題)取引の射幸性(刑法185条・186条参照)
 
以上
2

■神田教授:店頭FX取引が決済不能を起こせば、システミックな問題が起こる可能性を否定できない

 神田参考人 資料2をご覧いただくと、最初に「問題があるとした場合におけるそれに対する処方箋」でという形でやりました。時間の関係もあると思いますので、私はこの店頭FX取引について、仮に問題があるとした場合にどういう制度的あるいはルール化などによる対応が考えられるかをお話しさせていただきたいと思います。

 最初の項目ですが、「システミックリスク」という問題です。これを私が最初の項目に挙げたのは、この検討会の名称が「店頭FX業者の決済リスクへの対応」となっており、おそらく少なくともこの観点からの検討会が設置されたときには有用な観点だと考えられていたのではないかと思うからです。

 このシステミックリスクの問題ですが、置かれている状況を一言で申しますと、現在の日本の店頭FXの市場規模等に鑑みると、店頭FX取引が決済不能を起こすとシステミックな問題を惹起する可能性を否定できないということではないかと思います。

 ではどういう対応が考えられるかということですが、処方箋の例としては、業者に対する財務規制を強化する、そしてまたストレステストの頻度その他を強化するということが考えられると思います。

 また、取引データ等の情報の協会や当局への報告義務を強化して、いわば早期是正措置と言うのでしょうか、必要な場合の措置等が施されることを期待することが考えられるかと思います。

 3番目に、スワップ取引などのいわゆる店頭デリバティブ取引についてはG20/FSB(※)における提言を踏まえて、日本でも金融商品取引法の体制がすでに行われていたところであります。そこでの処方箋を一部または全部、参考になることがあればさらにこちらにも提供する、採用することが考えられるかと思います。

(※編集部注:「G20/FSB」とはG20における金融安定理事会のこと)

 詳細は省略しますが、そこに書いたように、電子取引基盤を利用する、それから、取引情報の保存と当局への報告を求め、そしてCCP(※)、中央清算機関を通すか、あるいは通さないものについては証拠金を強化するということです。

(※編集部注:「CCP」とは「Central Counterparty(中央清算機関)」の略)

 具体的に最後の例について申しますと、FX取引の場合というのが例えばということだとは思いますが、カバー取引についてCCPを通すことを求めるといったことが考えられるのではないかと思います。なお、システミックリスク1番目の問題ですが、守るべきものは言うまでもなく金融システムです。決して個々の業者ではないということは強調しておきたいと思います。

■神田教授:店頭FXにおいて、一般に自己責任というときには2つのことが懸念されてしかるべき

神田参考人 次に2番目のあり得る問題ですが、システミックな問題までは惹起しない場合であっても、仮に業者が破綻すると問題が生じてくるわけです。もちろん業者さんには破綻していただきたくはないわけですが。この場合も、守るべきものは、これから申し上げますが、取引の履行の確保であり、個々の業者ではないということはそこには書いていませんが、前提として申し上げておきたいと思います。

 こういう店頭取引は自己責任だということがよく言われます。ただ、一般に自己責任と言う場合には2つのことが懸念されてしかるべきものと思います。第一は、その締結した契約が履行された場合における相場の変動による損失です。これが本来のいわゆる投資家の自己責任と呼ばれている議論だと思っています。

 それとは別に、そこに②で書きましたが、締結した契約が履行されないことによる損失ということも起きるわけです。すなわち、業者が破綻すれば約束した取引が行われないわけです。

 この2つは別でありまして、①のほうの損失は仮に自己責任と言えるとしても、②のほうも自己責任だということになると、要するに、業者を選んだのはあなただからその業者が破綻したらあなたの自己責任ですと、簡単に言うとこういうことになるわけですが、ここが説明義務みたいなものを業者に負わせたとしても、業者さんも一般にはそういう説明はされていると理解していますが、そこに書いたように、業者としては「当社が締結する契約は履行されないかもしれません。そのことによる損害も、当社が破綻したら取れません」、こう説明することになるのですが、ちょっとそれだけでは不親切ではないかというか、ルールということでやや不十分だという気がします。

 どうしたらいいかですが、処方箋ですけれども、証拠金の保全ということがあるかと思いますが、それに加えて何らかの措置が必要な気がします。

 2つ目の【聞き取り不明】に書かせて…

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