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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

アルゼンチンが政策金利を40%に引き上げ!
新興国通貨にバーナンキショック再来も!?

2018年05月07日(月)14:34公開 (2018年05月07日(月)14:34更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■バフェット氏がアップル株を大人買い

先週末、5月4日(金)の米雇用統計では失業率が17年ぶりの低水準に下落する一方、NFP(非農業部門雇用者数)、平均時給が予想よりもやや弱い数字に。


この結果を受けて米国株は買い戻され、アップル株は上場来高値を更新しました。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

アップル株 月足
アップル株 月足

(出所:Bloomberg)

iPhone Xの不振で業績悪化が懸念されていたアップルの決算ですが、予想を上回る数字になりました。


それだけでも驚きですが、1000億ドル(約10兆9000億円)もの自社株買いを発表したことがサプライズとなりました。

ウォーレン・バフェット氏が1月から3月にかけてアップル株を買い増して、第3位株主になったことも好感されたようですね。

バフェット氏の件に加えて、1000億ドルの自社株買いとなるとさすがに大きく下げることは想定しにくいし、アップルの背後にある部品メーカーなども持ち直してくるのかもしれませんね。


■「高値波乱」の続くNYダウ、200日線割れも間近に

でもバフェット氏だって神様ではないですし、このタイミングでのアップル株買い増しが成功するでしょうか……。


NYダウのチャートも典型的な「高値波乱」(高値圏での乱高下。下落へのシグナルとされる)ですし、200日移動平均線がかろうじてサポートしている形です。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

今年(2018年)の米国株はボラティリティが高いですね。5月3日(木)も350ドル安かと思ったら結局は陽線に。


今年(2018年)はやはりボラティリティが高いんだなと、改めて認識させられました。


■アルゼンチンが8日間で3回の利上げを実施

気になるのは新興国。アルゼンチンは5月4日(金)に緊急利上げを行ないました。8日間で3回目となる利上げで政策金利は40%へ……。

アルゼンチン政策金利
アルゼンチン政策金利

(出所:Bloomberg)

それでもアルゼンチンペソの下落は止まりません。


また、4月に利上げを実施したトルコリラも下げ止まりません。新興国通貨から米ドルへの資金還流が強まっているのかもしれませんね。

米ドル/アルゼンチンペソ 日足
米ドル/アルゼンチンペソ 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/トルコリラ 日足
米ドル/トルコリラ 日足

(出所:Bloomberg)

■新興国通貨に「バーナンキショック」の再来も!?

米金利が上昇してくると、新興国通貨はとくに打撃が大きい。先週(4月30日~)、5月4日(金)の米雇用統計も悪くない数字で6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ織り込み度は90%台とほぼ確実な情勢です。その影響が出ているのでしょう。

1997年のアジア通貨危機から始まり、翌年(1998年)のロシア危機、LTCMショックへとつながった一連の相場と現在の相似を指摘する人も出てくるかもしれませんね。

今はまだそこまでとは思いませんが、思い浮かぶのは2013年のバーナンキショック


バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長(当時)が金融緩和の縮小を示唆したことで、株価や新興国通貨が急落しました。


通貨防衛のため新興国の中央銀行は利上げで対抗しましたが、効果はありませんでした。同じような動きが今年(2018年)、起こらないとも限りません。

■武田薬品の買収交渉、8日深夜に決着か

今週(5月7日~)のイベントに目を向けると、8日(火)深夜には武田薬品とアイルランドの製薬大手シャイアーの買収交渉が期限を迎えます。

【参考記事】
武田薬品の英シャイアー7兆円大型買収の行方に注目! 巨額の英ポンド買いの噂も?(4月26日、西原宏一)

正確には日本時間5月9日(水)午前1時が期限ですね。一昨年(2016年)、ソフトバンクが英企業のARMホールディングスを3兆円で買収したときには、10円近く円安が進みました。


武田薬品のM&Aは総額7兆円規模。そのうちキャッシュ部分が約3兆円とされています。「すでに買っているのでは?」との意見があれば、「これから買っていくのだろう」という人もいるし、通貨についても「米ドル/円の買いになる」、「いや、英ポンド/円だ」とさまざまな憶測が飛び交っています。


先週(4月29日~)の米ドル/円は110円に迫りましたが、それが武田の買いが主導した上昇だった可能性もあり、いずれにせよ、正式に決まってから考えたいところ。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

■BOE政策発表、SQ、イランの核合意期限などイベント多い

英ポンドがらみでは、今週(5月7日~)10日(木)、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の政策発表もありますね。

一時は織り込み度90%台と利上げがほぼ確実な情勢だったのですが、足もとでは10%台まで低下しています。

同じく10日(木)には米CPI(消費者物価指数)が、前日の9日(水)には米PPI(生産者物価指数)の発表もあります。インフレ関連の指標は注目度が高まっていますから反応するかもしれませんね。

 

また、5月9日(水)には日中韓の首脳会談が東京で開催されます。

今週(5月7日~)はSQ(※)もありますね。メジャーSQではありませんが、ボラが高まっているため、要注意です。

(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。また、その価格を算出すること自体や算出する日のことを俗に「SQ」と呼ぶこともある)

週末の12日(土)は、イランと欧米6カ国が結んだ核合意の期限。トランプ米大統領は離脱する意向をほぼ固めたとの報道も出て、原油価格は高値を更新しています。

 

足もとでは原油と米国株の相関が切れているので、地政学リスクからの原油高は金融市場全般に悪影響となる可能性もありそう。


■ユーロ/米ドルは1.15ドル台も

イベントの多い1週間ですが、今週(5月7日~)の戦略はどう考えますか?

米ドルへの資金の還流が続くのだとすれば、注目はユーロ/米ドル。昨年(2017年)9月に1.2095ドルの高値をつけて当局者からのユーロ高牽制発言が強まりました。


その後、米通商政策の影響で1.25ドルまで上昇しましたが、現在は1.20ドル割れ。欧州の当局者は1.20ドルでも牽制コメントを出してくることからすると、1.15ドル程度までの調整があってもおかしくないでしょう。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

(出所:Bloomberg)

株価の下落が強まれば、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落もともなって、さらにわかりやすい動きになってくると思います。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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