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エミン・ユルマズの「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」

トルコ中銀は年内にさらなる利上げが必要!?
米国人牧師の釈放期待後退で相場要注意

2018年10月10日(水)12:18公開 (2018年10月10日(水)12:18更新)
エミン・ユルマズ

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■トルコ中銀は今年中にさらなる利上げの必要性も

 先週(10月1日~)発表されたトルコの9月のCPI(消費者物価指数)は6.3%という、市場コンセンサスのほぼ倍となる驚きの数字となりました。

トルコCPI(前月比)
トルコインフレ率(前月比)

(出所:Bloomberg)

 これでCPIは年率で24.5%に達しましたが、トルコ政府が2週間前に発表した新経済計画で設定された今年(2018年)のインフレ目標である20.8%を大きく超えてしまいました。

トルコCPI(前年比)
トルコのインフレ率(前年比)

(出所:Bloomberg)

 9月ですでに24.5%を突破したということは、新経済計画のインフレ目標の達成はほぼ不可能と考えてもいいと思います。

 また、9月13日(木)にトルコ中銀は政策金利を625bpも引き上げ、24%にしましたが、足元のインフレの加速を考えると、24%の政策金利でも足りないということになり、年内にさらなる利上げの必要性が生まれました

【参考記事】
トルコ中銀は、6.25%利上げで満額回答! トルコリラ/円が20円超えを目指すには…!?(9月14日、エミン・ユルマズ)

トルコ政策金利

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

■トルコ政府が打ち出したインフレ対策とは?

 今回、個人的にもっとも注目したのは、PPI(生産者物価指数)です。PPIは年率で46%を超えました。CPIとPPIの乖離が大きくなっているということは、CPIが今後も上昇し続けることを意味します

トルコPPI(前年比)
トルコPPI(前年比)

(出所:Bloomberg)

 トルコ政府は、モノやサービスの値段を上げないように生産者や販売者に圧力をかけていますが、これらの業者は、価格に転嫁させないと経営が悪化することになります。しかし、ちゃんと転嫁させたら、CPIは年率で30%を超えることになるでしょう。

 昨日(10月9日)、トルコ財務省によるインフレ対策の発表がありました。アルバイラク財務相によって発表されたインフレ対策は、小売企業が年末までに10%の値下げを実施するというキャンペーンでした。国としても、電気料金と天然ガスの料金を年末までに値上げしないということです。

 このキャンペーンに参加する企業は、店のフロントガラスなどにキャンペーンのシールを貼ることになるそうです。任意の参加とはいえ、シールを貼らせることで半強制的な措置になってしまう懸念もあり、業者側から苦情が出てきそうです。

 この10%値下げキャンペーンに対しては、市場からも批判が相次ぎ、あまり期待されていませんが、私は、経済的な効果よりも政治的な効果が大きいと考えています。

来年(2019年)3月の地方選挙まで、なんとか景気を持ちこたえさせたいという現政権の意向がはっきり見えます。

 国にとって、もう1つの大きなメリットは、このキャンペーンによって年末までに、ある程度インフレを下げることができれば、来年(2019年)度の公務員の給与や年金の引き上げ金額を低く抑えることができるという点です。公務員の給与と年金は、毎年1月に、前年度のインフレ率によって金額が決まるしくみになっています。

■エルドアン大統領がマッキンゼーを解雇

 そんな中、先週(10月1日~)、エルドアン大統領から衝撃発表がありました。

 トルコ経済を立て直すために、トルコ政府に雇われたばかりである米国のコンサルタント会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーが早速、解雇されました。これは予想外の動きでした。

 また、9月のトルコのインフレ率が6%を超えたことでインフレを公表しているトルコ統計局(TUIK)の副局長も解雇されました。

 マッキンゼーの解雇理由については、まったく説明がありませんでしたが、トルコと米国の関係が悪化しているのに、トルコ経済を助けるために米国の企業が雇われたということで、国内からの批判が相次いでいたのが原因かもしれません。特に、ユーラシア派(ロシア・中国派)からの批判が大きかったのではないかと考えます。

エルドアン大統領は雇ったばかりのマッキンゼーを早速解雇……。トルコ経済を助けるのに米国の企業を雇ったことで批判が相次いだ? (C)Anadolu Agency/Getty Images

エルドアン大統領は雇ったばかりのマッキンゼーを解雇……。トルコ経済を助けるのに米国の企業を雇ったことで批判が相次いだ? (C)Anadolu Agency/Getty Images

■ブランソン牧師釈放は遠のいたか…

 この動きを見ると、10月12日(金)に予定されている米国のブランソン牧師の裁判も心配になってきました。

 以前、当コラムでエルドアン大統領のドイツ訪問後にトルコ政府と欧米の関係改善を期待して、ブランソン牧師の釈放の可能性も高まったと書きましたが、マッキンゼーの解雇を受け、釈放への期待が後退しました

【参考記事】
ブランソン牧師の10月釈放期待が高まる! 実現すれば、トルコリラ/円は20円超えへ(9月26日、エミン・ユルマズ)
エルドアン大統領のドイツ訪問は好材料! 米国人牧師釈放ならトルコリラ/円20円超え(10月3日、エミン・ユルマズ)

マッキンゼーの解雇を受けて、ブランソン牧師(中央)の釈放も遠のいたか… (C)Anadolu Agency/Getty Images

トルコ政府のマッキンゼー解雇を受けて、ブランソン牧師(中央)の釈放も遠のいたか… (C)Anadolu Agency/Getty Images

 いずれにせよ、10月12日(金)以降にトルコリラ相場が大きく動く可能性があるので、注意すべきと考えております。

トルコリラ/円 日足
トルコリラ/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足

 ブランソン牧師の釈放がなかった場合、米国から新たな制裁が課される可能性もあります。

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