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第7章 トレードスタイル

超短期決戦! トレードスキルと勝率の
高さが決め手の「スキャルピング」とは?

ストラテジー数世界1位 人気の自動売買は…

■たった数秒で終了!? スキャルピングは超短期売買

電光石火のスキャルピング

新規取引から決済取引までを数秒から数十秒、長くても数分で完結させる超短期売買が「スキャルピング(scalping)」です。

 スキャルピングはスカル(頭蓋骨)の皮を剥ぐ行為が語源になっていることから、「スカルピング」と呼ぶこともあります。数pips(銭)から多くても10pips程度の狭い値幅の利益を、まさに薄い皮を剥ぎ取るように積み重ねていく手法です。スキャルピング取引をするトレーダーは「スキャルパー」と呼ばれます。

 1回のトレードで狙う値幅が狭く、取引時間が短いので、売買回数は1日に十数回~数十回ほどになることが多いようですが、中には百回以上も取引するスキャルパーもいるみたいです。

米ドル/円 5分足チャート

(出所:サクソバンク証券

 短期的な値動きを獲りにいく手法のため、ファンダメンタルズ分析よりもテクニカル分析を重視して、エントリーや決済のポイントを探るのが一般的です。1分足や5分足、長くても15分足くらいまでの短い時間軸のチャートに、移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル指標をあわせて表示させながら取引している人が多いようです。

【参考記事】
キング・オブ・テクニカル指標。相場の動きをなめらかにする移動平均線とは?
広がったり狭まったりするバンドを使え! ボリンジャーバンドは順張りに効果大!?

 時間足や日足では、ほとんど動いていないように見える相場でも、1分足や5分足では狭い値幅ながら、一時的にトレンドが発生していることは結構あるので、他のトレードスタイルと比べると売買チャンスは多く訪れます。超短期決戦なので、たくさんトレードをしたい方、トレードできる時間が限られる方にとっても、良いスタイルかもしれません。

■動く時間帯を把握しておくことは大事

 ただし、トレードチャンスが常にあるかといえば、そうとも言いきれません。トレードする時間帯はある程度、考慮する必要があるでしょう。為替市場は24時間、休みなく開いていますが、動きやすい時間帯とそれほど動かない時間帯はあります。狭い値幅の動きならそれなりにあるとはいえ、あまり相場が動かない時間帯に一生懸命、取引画面に張り付いていても、チャンスが頻繁に訪れる可能性は低くなると思います。

 為替市場は通常、日本時間の20時ごろから翌日の1時ぐらいまでの時間帯が、比較的、値動きが活発になると言われています。ロンドン市場の午後と、NY(ニューヨーク)市場の午前が重なっているため、取引参加者が多いという理由が挙げられます。また、その時間帯は米国の重要経済指標が多く発表されるので、経済指標の結果によっては、相場が大きく動く可能性があるからです。

【参考記事】
FXは土日を除いて24時間取引できる! 眠らない為替の取引所はどこにある…?

 1日の中で、相場が動きやすい時間帯を知っておくことは、トレードをするうえで非常に大切です。これはデイトレードにも、同じことが言えます。

【参考記事】
その日のうちに取引が終わる。宵越しのポジションは持たない「デイトレード」

スキャルピングのポイント

■リスク管理が徹底できれば短期間で大きな利益も

 スキャルピングは、基本的にポジションを持っている間は相場に張り付いているため、突発的な材料やニュースで為替レートが急変したときも、即座に対応しやすいメリットがあります。相場を見ることができない時間帯に、自分のポジションをリスクに晒しておきたくない方にも向いています。

 利益を次のトレードに振り分けて、ポジション量を増やしながら勝ちを積み重ねていくことができれば、短期間で資金を何倍、何十倍に増やすことができる可能性もあります。数万円や数十万円の元手資金を、数千万円や億といった金額にまで増やしたスキャルパーのほとんどが、こうした方法で資産を築いてきたと聞きます。

 ただし、1回のトレードで狙う値幅が狭いため、効率よく資産を増やすには、レバレッジを高めに設定しがちになります。リスク管理には細心の注意を払うように心がけなくてはいけません。1回のトレードで許容できる損失を抑えることができれば、積み重ねてきた利益を一気に失う「コツコツドカン」に陥る可能性は、ぐっと低くなると思います。

【参考記事】
最大25倍!? FXのレバレッジってなに? 管理できればリスクはもっと抑えられる!?

 リスク管理がしっかりできれば、他のトレードスタイルと比べて、1回の損切り取引がもたらす資産へのダメージは少なくて済みます。売買チャンスも多いので、うまくトレードすることができれば、非常に資金効率の良いトレードスタイルになります。

スキャルピングのメリット

■判断力と集中力がカギ!迷いや遅れは命取り

 スキャルピングで大きな利益を上げてきたトレーダーは確かに存在します。先ほどもお伝えしたように、他のトレードスタイルと比較すると資金効率が良く、相場の急変に対するリスクも低いことから、魅力的に思う方もいると思います。しかし、リスクはゼロではありませんし、デメリットも存在します。

 まず、スキャルピングには、即座の判断力と高い集中力が必要です。

 1日に数十回、多いときには百回以上の超短期売買を繰り返すのが一般的だと言われていますが、そこまで取引の回数が多くなくても、その都度、利益確定や損切りの判断を的確かつ瞬時に行う必要があります。ルールをしっかり守っているつもりでも、ちょっとした判断の迷いや決済の遅れが利益の取りこぼしにつながったり、利益確定のつもりが損切りになってしまうこともありえます。体力的にも大変です。

 「ココだ!」と思ったときに、すぐにエントリーや決済ができる、スピード面のスキルも必要です。

 また、1回のトレードで狙う値幅が狭いので、資産を大きく増やそうと思って売買回数が膨らんでしまったり、レバレッジを高く設定してしまいがちになります。

■高い勝率を維持するのは結構大変…

スキャルピングは勝率が命

 スキャルピングは勝率が極めて重要です。

 たとえば、利食いと損切りの幅を同じにして、一定のポジション量でトレードを続けたとします。その結果、10回のトレードで6勝4敗、100回のトレードで51勝49敗なら、どちらも勝率は5割を越えます。しかし、最終的な収益がプラスになるかといえば、おそらくそうではないでしょう。取引コストも考えなければいけないからです。

 今や、FXの売買手数料は無料が主流ですが、FXでは買値と売値の差の「スプレッド」が取引コストになります。2019年初頭の、原則固定における米ドル/円の業界最狭水準スプレッドは0.3銭あたりですが、0.3銭のスプレッドで10回トレードしても、それだけで計3銭のコストがかかります。

【参考記事】
激安! FXの取引コストはわずか0.3銭!? 1つの通貨ペアになぜ2つのレートが…?

【参考コンテンツ】
FX会社徹底比較!:取引コストで比べる【米ドル/円スプレッドが狭い順】

 利食い幅を3銭に設定すれば、取引コストだけで1回分のトレード利益が持っていかれることになります。米ドル/円のスプレッドは、主要通貨ペアの中でもっとも狭い水準ですから、他の通貨ペアでスキャルピングをすれば、それ以上のコストがかかります。

 トレード回数が多くなればその分、コストはかさんでいくので、6勝4敗や51勝49敗では、トータルの収支はプラスにならないでしょう。スキャルピングに適した通貨ペアも、必然的に限られてきます。

 利食いの幅を広く、損切りの幅を狭く設定すれば、それほど高くない勝率でも、トータルの収支がプラスになるかもしれません。しかし、損切りの回数が増えて、利食いの回数が減る可能性が高まります。一段と精度の高いエントリースキルも必要になってくるでしょう。

 超短期売買であればあるほど、勝率を高く保つトレードを継続的に続けていかなければ、コスト負けになる可能性も高く、うまい具合に収益が積み上がっていかないのです。

スキャルピングのデメリット

■FX会社選びも重要。口座凍結の恐れも!?

スキャルピングで大切なことは?

 スキャルピングは、どこのFX会社で取引するかも大切です。

 スキャルピングはシステムに大きな負荷がかかったり、カバーを取りづらかったりという理由もあって、はっきり許容しているFX会社はそれほど多くありません。一部には、頻繁にスキャルピングを行っている投資家の口座は、凍結させられるなんて話も聞きます(本当かどうかはわかりませんが…)

 多くはありませんが、自社の公式サイト上でスキャルピングを許容しているFX会社がありますので、そういったFX会社で取引するのも、1つの方法だと思います。

 スプレッドが狭いFX会社を選ぶことも重要ですが、単に狭いだけでは安心できません。狙ったレートと実際に約定したレートに差が出る「スリッページ」や、単純に注文を受け付けてくれない「約定拒否」の発生率が高ければ、思ったとおりにトレードできず、想定していた収益が得られなかったり、売買チャンスを逃すことにもなりかねません。約定力に定評があるFX会社を使ってトレードすることも、大切になってきます。

【参考記事】
なにを基準にFX会社を選べばいいの? ここだけは押さえておきたいポイントとは?
初心者がFX会社を選ぶときにもっとも大切にしたい3つのポイントってなに?

 ほかにも、通信環境のあまり良くない場所や、スペック(処理能力)がそれほど高くないPCから注文を出すと、発注そのものができなかったり、FX会社に注文が届くのが遅れてしまうなどといった事態が生じることもあり得ます。トレードする環境も、しっかり整えて臨みたいですね。

■安易な気持ちではじめず、準備することを忘れずに!

スキャルピングは、テクニックや取引環境に収益が大きく左右されるスタイルです。

 リスクをしっかり管理できれば、1回のトレードでマーケットからの撤退を余儀なくされるような致命傷を負う可能性はそれほど高くありませんし、取引できる時間が限られる方や、ポジションを長く持ち続けたくない方にも向いていると思います。

 ですが、ある程度のトレード回数をこなしながら、その中で高い勝率を維持する必要があるため、勘と度胸だけでイキナリはじめるのは、ちょっと難しい面もあります。相場の値動きのクセを体に覚え込ませて、素早い発注ができるようになってから、スリッページや約定拒否の少ないFX会社でデビューするのがおすすめです。

 最後に余談になりますが、証券投資用語のなかにもスキャルピング(スカルピング)という言葉があります。これは、自らが先回りして買っていた銘柄を顧客に買い推奨し、顧客の取引によって価格が上昇したところで、自らが保有していたものを決済し、利益を得るという、投資顧問法によって禁止された不正行為のことを指します。ご紹介した、超短期売買手法のスキャルピングとは別物です。

FX初心者のための基礎知識入門目次

第1章 FXをはじめるには
第2章 FXの基礎知識を身に付ける
第3章 FXをはじめよう
第4章 チャートの見方
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