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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

2019年の米ドル/円は105円台へ下落か。
リスクオフ相場到来なら100円近くまで想定

2018年12月27日(木)15:53公開 (2018年12月27日(木)15:53更新)
西原宏一

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■2019年のテーマ「米ドル安・円高」はすでに始まっている

 米ドルは、円とスイスフランに対して下落。

 米ドル/円は、サポートであった111.80円を割り込むと下落が加速し、一時110.00円まで下落しました。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 米ドル/スイスフランも、0.98フラン台ミドルまで下落。

米ドル/スイスフラン 日足
米ドル/スイスフラン 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/スイスフラン 日足

 つまり、「株安・円高・スイスフラン高」となって、急速にリスクオフ相場が展開されたわけです。

 この一連の米ドル安は、多くの米系銀行の2019年のテーマである「米ドル安・円高」相場が、年が明ける前から始まっているとも言えます。

 ただ、この米国株の急落に動揺しているのは、マーケット関係者だけではなく、トランプ大統領も同じ。

■トランプ大統領の戦略変更により米国株が急反発

 トランプ大統領は、就任以降の米国株の急騰を自身の政策の成果として喧伝してきました。

 逆の見方をすれば、今回のように米国株が急落すると、大統領再選も危ういものとなります。

 前述のように、トランプ大統領は米国株の急落は「FRBの責任」というスタンスをとってきましたが、それだけでは、実際に急落した米国株が元の上昇トレンドに戻るわけではありません。

 そこで、トランプ大統領は戦略を変更したようで、一転してパウエル議長への信頼を表明

「当局の利上げペースは速すぎる。それが私の意見だ。ただ信頼しているのは確かだ。状況は是正されると思う」とコメント。

 そして、ムニューシン財務長官についても、「とても才能のある男、とても賢い人物だ」と評します。

写真はムニューシン財務長官。トランプ大統領はムニューシン財務長官について「とても才能のある男、とても賢い人物」と評している (C)Bloomberg/Getty Images

写真はムニューシン財務長官。トランプ大統領はムニューシン財務長官について「とても才能のある男、とても賢い人物」と評している (C)Bloomberg/Getty Images

 さらに、今回の米国株の暴落について、「最近の米国株の大幅下落は投資家にとって買いの好機」とコメント。加えて、「米国には世界でも有数の優れた企業があり、こうした企業は非常によくやっている、今はとてつもない買いの好機」だと表明。

 こうした彼のコメントがマーケットに一定の安心感を与え、株式市場の動揺は沈静化。

 ハセットCEA(米大統領経済諮問委員会)委員長が、「パウエル氏の議長ポストは100%安全だ」と述べたことも、マーケットに安心感を与え、12月26日(水)の米国株は一転して急騰しました。

 S&P500は5%上昇、ナスダック総合指数は5.8%急騰、NYダウは1000ドル超(5%)もの暴騰を見せました。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

 原油も、8%急騰。

 リスクオンで、米ドル/円も111円台を回復しています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 クリスマス前後に米国株は急落と暴騰を演じ、マーケットのボラティリティは急騰しています。

■リスクオフマーケットの中、日経平均も荒い値動き

 ここまで、米国株についてご紹介させていただきましたが、リスクオフマーケットの中、日経平均も荒い値動きが続いています。

 日経平均はマーケットの強気なセンチメントの中、10月2日(火)に2万4488円の高値に到達後は、一転して暴落。12月26日(水)には1万8948円の安値に到達しました。

 2カ月弱で、5540円もの暴落劇を演じています。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

 その後、日経平均は米国株同様、12月26日(水)には急反発。本稿執筆時点では、2万円台を回復しています。

 米ドル/円も、同様です。

 10月4日(木)に114.55円の高値つけた後、急反落。

 12月25日(火)には、110.00円の安値に到達したあと(高値から4.55円下落)、日経平均と同様に急反発し、本稿執筆時点では、111.00円レベルで推移しています。

 米ドル/円は、米国株や日経平均同様に過去2カ月弱で大きく値を下げ、12月26日(水)はその反動で値を戻しています(ただし、米ドル/円は、米国株や日経平均と比較すると、まだまだボラティリティは戻ってきていませんが…)。

■2019年のドル/円は105円台を想定。リスクオフなら100円も

 12月の米国株は、「炭鉱のカナリア」が示唆したとおり暴落を演じましたが、トランプ大統領のコメントがマーケットを沈静化させたことなどから、年末年始には、大きく値を戻す局面があるかもしれません

 日経平均、米ドル/円も同様の値動きを想定しています。

 ただ、以前コラムでご紹介させていただいたように、BIS(国際決済銀行)の実効為替レートが示すとおり、米ドルは大幅に買われすぎていること、そして、来年(2019年)はFRB(米連邦準備制度理事会)の政策がハト派に変わり、米ドル金利が低下する可能性が高まっていることから、2019年の米ドル/円は105円に向けて下落すると想定しています。

【参考記事】
米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年にかけて、米ドル弱気派が急増するワケは?(11月22日、西原宏一)

BIS算出の名目実効為替レート 日足
BIS算出の名目実効為替レート 日足

(出所:Bloomberg)

 今月(12月)のように米国株が急落して、リスクオフ相場となれば、米ドル/円の下値はさらに深くなり、100円近くまで下落する局面もあるかもしれません。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:Bloomberg)

 2017年、2018年と2年間にわたる「調整相場・膠着相場」を終え、大きな変動が期待できる2019年の米ドル/円相場に注目です。


 今回のコラムで「ヘッジファンドの思惑」は、2018年最後の投稿となります。

 本年もご愛読ありがとうございました。

 2019年もどうぞよろしくお願いします。

 良い年をお迎えください。


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