執筆時点では、ドルインデックスは引き続き安値圏で推移しているものの、11月25日につけた74.17の安値を下回ってはいない。また、ユーロ/米ドルも、同日の高値である1.5144ドルを超えていない。
■リスク選好度の低下で、米ドル買いは当面続く
前回のコラムでも指摘したように、テクニカルの要素から米ドル全体を見れば、基本的には、このあたりでリバウンドが始まってもおかしくない時期であると言える(「今回の急落はセリング・クライマックス。米ドルは底打ち完了で、リバウンドへ!」を参照)。
日本時間で今夜発表となる、米国の雇用統計が材料として利用される可能性に注目したい。
もっとも、雇用統計の結果次第で、短期スパンにおけるマーケットの反応は違ってくるだろう。
だが、筆者の見通しが正しければ、すなわち、市場の内部構造が米ドル全体の反発をすでに決定していれば、雇用統計の結果の好悪とは関係なく、いずれにしても、米ドル買いの材料として解釈されるだろう。
とはいえ、基本的に、米国の雇用状況の悪化は、米ドルにはプラスに作用するとみる。
■リスク回避の米ドル高が、米国株安につながる
リスク選好度の低下が米ドルを押し上げるといった構図は、当面続くだろう。この意味では、最近は、米国株の動向もかなり気になっている。
一時的とは言え、急浮上したドバイ問題が緩和したことで、ニューヨーク市場のダウ指数は、ザラバ(取引時間中)ベースで、12月1日(火)、2日(水)と、2日続けての年初来高値更新となった。
だが、12月3日(木)の取引では続伸できず、反落に転じた。ここから、目先、市場関係者の慎重さがうかがえる。
ドバイ問題がこれからどうなるかは不透明だが、その一方、米国株の過熱感は相当なもので、基本的には、米ドル高になれば、初期段階においては米国株安とリンクすることになるだろう。
■米ドル安が一服! その根本にあるものは?
それでは、最近急騰していた円の値動きはどうなるか?
前回のコラムで、米ドル/円の85円割れへの急落も、ドルインデックスと同様に、セリング・クライマックスに位置づけられると述べた(「今回の急落はセリング・クライマックス。米ドルは底打ち完了で、リバウンドへ!」を参照)。
足元の相場を見ると、そのとおりの値動きになっていて、米ドル/円は急反発している。

米ドル/円は、11月26日につけた年初来安値の84円82銭から、12月3日の海外時間には88円48銭までの急反発を見せており、底割れのリスクは後退している。
その背景には、日銀の新たな量的緩和策や、日本の当局による市場介入への警戒感があるだろう。それらが、円買いポジションの手仕舞いにつながったという側面は否定できない。
だが、根本にあるのは、米ドル/円の値動きのサイクルが、米ドル安を一服させているのだと思う。
■月足で見ると、このあたりで相場が変わる?
サイクル論の解釈は、なかなか奥が深い。
これは体系的に、広域かつ複雑な要素が絡むことも多いので、詳しい説明をここでは省く。
シンプルに言えば、相場は固定した周期で高値と安値を形成していて、そうであれば、その周期は一定の期間内で繰り返されやすいという考え方だ。要するに、相場にはリズムがあるということである。
実際、米ドル/円の月足チャートを観察すると、史上最安値をつけた1995年から、ほぼ5年のサイクルで動いていると見て取れる。
上の米ドル/円の月足チャートを見ると、1995年の安値から1999年の安値まで、56カ月の周期を要していることがわかる。そして、1999年の安値から2005年の安値までは63カ月を要している。
この2つを平均すれば、おおむね59~60カ月のサイクルとなるが、なんと、2005年安値から先週の安値までが、ちょうど59カ月目を数えるのだ!