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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?

持田有紀子さんに聞く相場見通し(2)
ユーロ/ドルの1.6ドルはもう見られない!?

2009年10月15日(木)11:27公開 (2009年10月15日(木)11:27更新)
ザイFX!編集部

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(「持田有紀子さんに聞く相場見通し(1)為替レートって、実はいくらでも構わない!?」からつづく)

■円高と日本の株安、どっちが先?

 今の為替相場で、いちばんカギを握っているのは株だと思います。なぜ株かと言えば、リスクテイクするのか、しないのかという象徴の意味での株だと思うんです。

 だから、株の値動きによって、為替の値動きもだいぶ変わってくると思います。

 たとえば、米ドル/円が70円台をつける時は、株式市場がものすごく下がっている、あるいは、下がる方向にある時でしょう。

 株と為替、どちらが先かというのはわかりません。

 日本の株式市場に関わる人は、株安を為替のせいにする人が多いけれど、米国の場合、為替の値動きで株が上がったり、下がったりすることはありません。
日経平均 日足と米ドル/円 日足
(日経平均のチャートの出所:株マップ.com
(為替のリアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 米国の株、他の国の株の動きが、まわりまわって日本に来ている話なので、その結果として、ドル安や円安につながっているだけなのです。私はそのように考えています。

——最初に米国株が動いて、それを見て日本株が動いて、さらに米ドル/円が動く…

 ただ、日本に来た時には、いっしょになっています。

 大本の部分である、経済の良い、悪い、また、リスクをマーケットの中で取っていく、取っていかないという、マーケットの根本にあるのは、基本は海外の動きなんですね。

 とにかく、今のマーケットの状況が、リスクテイクの方向に向かっているのか、リスク回避に向かっているのかが重要なポイントで、それさえ見ていれば、そんなに難しいことにはならない。

——リスク回避だと円高になるということですね。

 その時は、当然ながら株も下がります。

■日本の株式市場の二番底は避けられない!?

——米ドル/円が80円割れの場合、日経平均はどこまで下がっているのでしょうか?

 どうなるんでしょうねぇ。難しいところですね。

 向こう3カ月を見た場合に、出口戦略をどうするのかについて、各国がどうとらえているのかが重要です。

 また、日本に限って見ると、民主党政権の行方が重要で、海外の投資家も当然それを見ていて、民主党政権のありようがどうなのかが、最大のポイントになるでしょう。

 ただ、良いのか、悪いのかは別として、お金のパイ全体で考えても、本来はプラスでもマイナスでもないけれども、民主党政権が、自民党政権と大きく違うのは、企業を通して世の中におカネをバラまくのではなく、個人に直接バラまくということです。スタンス、アイデンティティの違いですね。

 そうすると、経済指標で見た場合に、数字だけで結果を見ると、現在の状況はマイナス方向でしか表れず、決してプラス方向にはならないでしょう。

——鉱工業生産やGDPに表れるのは、だいぶ後になるということですね。

 来年ぐらいから、民主党政権が行う政策の効果がだんだん出てくるでしょう。

 国家戦略室とか、期待は高いけれども、今は前政権からの移行期で、当面は動けない。本格的に動き出すのは年が明けてから。現在の状況が経済統計に出てくるため、プラス方向には出にくい。

 だから、株式市場の二番底というのは、あり得ると思います。

 ただ、その深さがどのぐらいなのか、いつ二番底に向かうかは、それは政策当局の意思で回避できる部分もあるだろうし、いろいろな要素があるため、具体的にはわかりません。

 しかし、二番底があると構えていて、ちょうど良いぐらいだと思います。

■原油も金も、この先の値動きはドル次第

——続いて、原油価格ですが、ニューヨーク原油は70ドル近辺で小動きとなっています。

 当面は高止まりすると思います。

 ただ、ここまで観察して思っているのは、原油の反発は株高にもつながったものの、75ドルを超えてくると今度は株にマイナスの影響があって、そういう意味では上にはいきづらいように見えます。

 リスクテイクという動きの中で買われるけれども、それを超えるとマイナスの影響があるため、今の世界経済では、75ドルを超えていくほどの体力はない。今の経済状態では75ドルぐらいまでがせいぜいという裏返しでしょう。
 ただ、産油国をはじめとして、70ドル近辺であれば資金の巡りが良くて、その水準が居心地が良いので、当面は下がりもしない。これがもうしばらく続き、景気にマイナスの話などが出てくることで、多少の調整はあるかもしれません。

 また、100ドルを大きく超えていくように上げていくには、世界経済に、まだ体温が足りません。

 その分、ドルが下がってドル資産が目減りするのをヘッジするとか、そういう意味での資金は、金とか銀に流れる傾向が続くと思います。

——金価格は1000ドル近辺で高止まりしています。

 金価格がこの先、1100ドル、1200ドルへと上がっていくかどうかは、やはりドル次第でしょう。

 ドルが本格的に調整するならば、金価格はもっと上がる。ただ、今の状況だと、1000ドルぐらいで止まってしまいます。

 また、金は、インドや中国での需要でみると、1000ドルくらいが限界のフトコロ具合という感じがします。1100ドル、1200ドルまで上昇してしまうと、彼らは金を買えなくなってしまいます。特に、インドは厳しいでしょう。

 あとは、投機的な資金だけで、金価格がどこまで上がるかです。

 これまでは、ETFなどを通して資金が流入し、上昇してきた経緯がありますが、ドルの先安観へのヘッジと、財政政策によってハイパーインフレが訪れるという見方がどこまで広まるかどうかです。

 今後の金価格の上昇についても、「出口戦略」とドル次第です。

 ただ、原油価格や穀物といったフードアンドエナジーの上昇とは違って、貴金属は実際の生活にはまったく影響のないものなので、人々の心理的な影響で予想外に上がってしまう可能性も秘めています。

■ユーロは通貨だけでまとまっていて、本当はバラバラ

——そうすると、米ドルが中心となって、マーケット全体が動いていく…

 基本的にはそうです。前回の基軸通貨の話もそうですが、ドル以外が積極的に買われるかとなると、そう簡単な話でもない「持田有紀子さんに聞く相場見通し(1)為替レートって、実はいくらでも構わない!?」参照)

 実需の部分では、貿易の決済で、ドル以外の通貨の直接決済は増えるかもしれませんが、完全にドルの受け皿となり、ユーロが基軸通貨になるといったことは考えにくい。そんなことが今の状態のまま実際に起これば、大混乱になるでしょう。

 ユーロ圏は政治的に統制が取れていなくて、財政規律もバラバラな国の集合体でしかありません。それこそ、マフィアとか、変なものが暗躍することにもなりかねない。

 そう考えると、ユーロが基軸通貨になることはあり得ない。

 ユーロ圏が通貨だけでまとまっている状況では難しいです。また、ユーロ圏以外への排他性という側面を持ち合わせている点もあります。

 今でも、不良債権の処理自体は、たぶん、米国のほうが進んでいると思います。

 ユーロ圏は、経済共同体みたいなところで、あの中では互助意識が強くて、地域的に入るメリットはあると思いますが、世界的に見れば、あくまでも、ユーロという試みは、欧州の復権には役立ったということに過ぎないと思います。

——これから、通貨危機を起こしたアイスランドや、東ヨーロッパの国々が入ってくると、ますます不安定になりそうです。

 そう思いますね。あの中でも、内部的には、いろいろなことが起こっていると思います。それを今はうまく隠していて、ソフトランディングの方向に着地させようとしている。

 つまり、アメリカのように、ドラスティックな方法では解決しない。ある意味では、ヨーロッパ的なんでしょうけどね。

■ユーロ/米ドルの1.6ドルは、もう見られない!

 個人的には、ユーロ/米ドルが、昨年つけた高値の1.6ドルを超えることはすぐにはないと見ています。高値を更新するほどの強さは、今はない。

 今の対ドルでのユーロ高は、リスクテイク、要するに、ユーロ円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が引っ張っている形でのユーロ高だと思うんですよ。

 そういう意味では、ユーロ/米ドルが力強い戻りになるかと問われれば、疑問です。
ユーロ/米ドル 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足

 3月安値の1.25ドルから戻る過程の今は、あくまで、クロス円相場の上げに伴う、対ドルでのユーロ高です。ユーロが主力というよりも、クロス円に引っ張られる形でのユーロ高。それはしばらく続くかもしれません。

 ただ、1.6ドルまで上昇した時は、ユーロ自体に力強さがありました。あの時は、原油も150ドル近くまで上昇していたし、マーケットのエネルギーが極度に高まった状況でした。

 現在の経済の体温は、そこまで高まっていません。マーケットのエネルギーが極度に高まらない限り、ユーロ/米ドルの1.6ドルは、もう見ないだろうと考えています。

(「持田有紀子さんに聞く相場見通し(3)相場急変は絶対にある!きっかけは?」に続く)

(取材・文/ザイFX!編集部・小林由二  撮影/和田佳久)
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