その当時から中国株や日本株を売買していた鬼頭さんだったが、「今はFXが盛り上がってますよ」と「ザイFX!」が話をしたら、「全然やったことないけど、面白そう。やってみたい!」と意欲的な返事が返ってきた。

というわけで、鬼頭さんは早速、FXの勉強をはじめたのだが、やっぱり、どうも難しくてわかりにくいところがあるとのこと。そこで、今回は元ディーラーであり、為替の専門家であるマット今井さんを鬼頭さんが訪問、FXの指南をしてもらうことになったのだった……。
(構成/ザイFX!編集部・井口稔)
鬼頭 今日はよろしくお願いします。私は世界遺産の仕事をしていて、これまで20ヵ国以上に行ったことがあるので、通貨を取引するFXにはそういう経験が生きるかな? と思ったんですが…。
今井 う~ん、世界遺産を見てるだけだったら、あまり関係ないですかね。通貨というのはその国の力みたいなもので、その国が良くなっていくか、悪くなっていくかを考えればいいんです。ですから、その国に実際行ってみて、その国の「勢い」を感じることは意味があるかもしれません。
■これからどの国が良さそうかを考えるゲーム
今井 たとえば、アフリカの何とかという国がこれからすごく経済が伸びそうだと思われているとします。そうすると株だって上がるし、不動産だって上がるでしょう。
すると、外国からドンドンお金が入ってきますが、外国人はその国の通貨を持っていませんから、自分の国の通貨をその国の通貨と交換して、株や不動産に投資していくわけですね。ということは、その国の通貨を買うわけです。
モノというのは買われれば、買われるほど上がります。だから、「この国は伸びる!」とみんなが思って、たくさん投資資金が入ってくると、その通貨はドンドン上昇することになります。

逆に「こんな国ダメだ!」と思われると、お金がダーッと逃げ出して、その通貨は下がってしまうわけです。
だから、どの国がこれから良さそうで、どの国がこれからダメそうかということを考えるゲーム……FXは基本的にそんなふうにとらえておけばいいと思いますよ。
鬼頭 だけど、今は金融危機が起きてしまって、どこの国もダメな気がするんですが…。
■金融危機でどこの国もダメな時はどの通貨が上がる?
今井 為替は2つの通貨を交換する取引。Aという国とBという国の相対的な力関係が問題になります。だから、AもBもダメなんだけど、Aの方がまだマシという状況なら、Aの通貨が上がるわけですね。こういうのを「不美人投票」というんですが…。
鬼頭 へぇ~、「不美人投票」なんですか。
今井 もう一つ、これも理屈としては同じなんですが、それまですごく良くなるという「期待」で買われてすごく上がっていた通貨について、もう期待できないという「失望感」が広がってしまうと、一気に下がるパターンもあります。
これは為替でも株でも同じことで、株についていえば、昨年以降の中国株バブル崩壊が典型例ですね。
■バブルが崩壊した豪ドル相場はこれからどうなる?
今井 通貨で例を挙げれば、豪ドルでしょうか。日本の金利がすごく低いのに対して、オーストラリアの金利は高くて、しかも景気が良くて、金利はさらに上がっていきましたから、金利が低い円を売って豪ドルを買えば儲かると、ワーッと豪ドルが買われて、上がっていったのです。
ところが、オーストラリアの経済がこれから悪くなっていく、それで金利が下がっていくという流れになってくると、日本の経済が全然いいわけじゃないのに、お金のものすごい逆流が起こりました。豪ドルを売って、円を買う激しい動きがこの夏以降、起きたんです。
鬼頭 だから今、すごく円高になってるわけですね。この円高は続くんでしょうか?
