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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?

持田有紀子さんに聞く相場見通し(3)
相場急変は絶対にある!きっかけは?

2009年10月19日(月)11:37公開 (2009年10月19日(月)11:37更新)
ザイFX!編集部

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(「持田有紀子さんに聞く相場見通し(2)ユーロ/ドルの1.6ドルはもう見られない!?」からつづく)

■マーケットを知るには、株を見ることが大事!

 ポジションを持つ時は、レートがいくらというより、その日、その日のマーケットを見ながらトレーディングをするのがメインで、1日、1時間程度のスパンで、戦略を立てています。

 今は、為替の動きを見る際には、株を見ることがいちばん大事ですね。

 世界的に株価はだいぶ戻りましたけど、今後、株が下がりそうな悪い経済指標が出てきたり、景気にとって悪い話が出てきたり、またそのような雰囲気が出てきたりする時には、為替市場も要注意です。

 特に、これから、米国企業の決算シーズンが本格化しますよね。米国企業に対するマーケットの業績予想と、実際の結果とのズレの部分、そのようなものの様子を見ながら、売ったりします。

■利上げ再開は、主要国ではなく周辺国から

——ここで、個人投資家に人気の高い、豪ドル/円のお話を聞かせてください。

 日本人は、豪ドル/円が大好きですね。

 ここ1~2年の金融政策で起こったことを振り返ると、最初に金利を下げたのは、先進国の中では、いちばん体力の弱いニュージーランドでした。

 だから、一連の景気対策の出口戦略がどうなるかを考えた場合、主要国ではなく周辺から、たぶん金利が上がることになるでしょう。たとえば、ノルウェーとかスウェーデンとか、小さいところからです。
豪ドル/円 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 週足

 その意味では、豪ドル/円の最近の戻りは、そういったことを織り込みながら、上昇しているのだと思います。確かに、金利差で買われることはあり得る。

 ドルも上げない、ユーロも上げないという状況で、いち早く金利が上がっていく可能性が高いので、豪ドルやニュージーランド・ドルは独歩高となる可能性はあります。

 しかし、利上げを織り込みながら上昇しているのだから、「利上げします」と言った前後が上昇のピークとなることも、あるでしょう。

 そこが売りどころです。商品市況が本格的に上がる状況でないと、本格的な上昇を期待するには無理があると思っています。

 ユーロが1.6ドルまで上昇できないのと同じように、金利差で買われることはあっても、原油価格が100ドルを目指すような展開にならなければ、本格上昇は期待できません(※)。

 ここが狙いどころだと考えています。

(※編集部注:持田さんへの取材は、10月5日に行いました。その翌日の6日に、豪州は0.25%の利上げを発表しています)

■オバマ政権は、結局、何もできていない

——株式市場の話に戻りますが、ニューヨークを含めて海外市場は堅調なのに、日本だけ、上値が重い感じがします。

 日本だけは、財政支出を削っている方向であることの影響が出ているようです。

 ニューヨークをはじめ、今の海外株式市場は高原状態です。これをどこまでキープできるかがカギで、逆に下がってきたところでは、ユーロ/米ドルもユーロ/円も売りですね。

 ただし、どの程度下がるかとなると、それは材料次第です。

 企業業績がイマイチだとか、そのようなものが材料になるのでしょうけれども、金融機関、特に、アメリカ国内は処理が進んでいて、悪材料は出尽くしたと見ています。

 それでは何がきっかけになるかと言えば、まず、失業率が高く、今後も上昇していくというところから出てくる問題、そして、あまり問題が解決していないと見られる商業用不動産のあたりから、悪材料が出る可能性があると思います。

 オバマ政権になって10カ月近く経ち、今は医療保険やアフガン増派など混乱していく方向にあります。政権が発足してから、結局、何もできていません。

■相場急変のきっかけは、債券暴落? 新興国ショック?

 このインタビューの最初のほうで話題になった、米国の金利がポイントになることもあり得るでしょう「持田有紀子さんに聞く相場見通し(1)為替レートって、実はいくらでも構わない!?」参照)

 米国の債券市場は、ずっと金利が低下していますが、落ち着いた動きをしています。為替市場もドル安は続いていますが、今年は昨年などと比べて、荒れ狂うような動きはしていません。

 市場関係者の大半が、当面はあまり動きがないと思ってしまっているような時には、何かをきっかけに急激な動きをするというような場面にも出くわしやすいものです。

 「出口戦略」の話がきっかけとなって、債券市場が荒れて、その影響をドル相場がもろに受けるというようなこともあるかもしれません。
 また、世界経済をけん引してきた中国が、実は良くなかったとか、「新興国ショック」みたいなものが、世界中に波及する可能性もあるかもしれません。

 もし「新興国ショック」があるとすれば、リオデジャネイロ五輪が決まったブラジルではなく、やはり、中国発のほうがインパクトは大きいものになります。

 特に、中国はこの先、IPO(株式市場の新規公開)が増えていくし、その需給要因がマーケットを圧迫する可能性は十分にあり得るし、少し崩れたところから、大きく崩れていくこともあり得ます。

 そのようなことがいつ起きてもいいように、身構えておく必要が、絶対にあります。

■投資対象で、為替がいちばんわかりづらい!?

——最後に、持田さん自身が関わっていらっしゃる投資案件のことをお聞かせください。

 私が関わっているファンドで取り扱っているのは、株式では、日本と米国の先物、為替では、米ドル、ユーロ、円といったメジャー通貨、債券では、米国の10年国債と30年国債、そして、日本国債もたまには扱います。商品では、原油と金を中心に、銀を扱うこともあります。

 株は先物取引がほとんどですが、しばらく寝かせて置くつもりで、現物株を3月に買ったこともありました。

 そして、日々のマーケットを見続けていくと、タイミングを逃さないものですよ。本当に。

 今から1年後にどう動くかはわからないけど、あす1円、2円どちらに動くかはわかります。そういうのを繰り返していく。先のことはわからないので、日々の1つ、1つの短いトレードの積み重ねで、利益を得ています。

 誰も、先のことはわからない。だから、ファンドのポリシーとしては、あまり長くポジションを持たないようにしています。

 米ドル/円のポジションを持っている時間は、短ければ30分ぐらいです。あまり長く持っていても、先々がわからない。為替がいちばんわかりづらい。持っている時間が短いから、結果的に為替ではあまり損はしませんね。
米ドル/円 30分足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足

 株も、あまり長くはポジションを持たないようにしています。長くても1週間ぐらい。

 昨年のサブプライムショックで、世の中のヘッジファンドのなかには数十パーセント単位で損失を被ったものもザラにあったようですが、それではヘッジの冠が泣いてしまいます。

■マーケットは、人間の目で見ることが大事

——売買を行う際の根拠を教えてください。ヘッジファンドの中には、システムトレードを行っているところもあるようですが?

 システムトレードには興味がありません。一時はやったけれど、ダメでした。

 我々の結論としては、怖さがないので、人間が買えないところを買っていけるメリットはあるけれど、それがイケイケのトレンドならば良いものの、微妙な動きをする時には向いていない。だけど、実際のマーケットは微妙な動きをすることが多いので、ムリかなぁと。

 マーケットは、人間の目で見ることが大事です。チャートも確かに見るけれど、マーケットの動きがすべてだと思います。

 もちろん、マーケットの動きを補完する意味で、ファンダメンタルズを頭の中に入れているし、それなりのビューを持って臨んではいます。

 しかし、取引に入る瞬間は、あくまでもマーケットの値動きを見て行います。

■マーケットの情報をすべて知ることはできない

 逆に、マーケットが動いた時、その根拠となった情報は、後からわかることのほうが多いです。実際、マーケットにある情報をすべて知ることはできません。

 何かが起こっているとか、違うことが起きているとか、マーケットの値動きを通して感じることができます。そのためには、為替だけでなく、マーケット全体を見ることが大切です。

 それを見て、「上がるぞ」とか、判断する。またテクニカルを見てみて、これがサポートだとか、チャートを見て狙うことも、たまにはあります。

 また、基本的にはナンピンはしませんが、材料を集めた中で、大丈夫だと思ったら、自信を持ってナンピンすることもあります。

 ただし、相場の王道はあくまで順張り。だから、順張りで入ろうと思って、マーケットに向き合うのが基本的なトレードのスタンスなんですよ。

(取材・文/ザイFX!編集部・小林由二  撮影/和田佳久)
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