ユーロ/円について、基本的な考え方は変わっていない(「ユーロ/円は『売りシグナル』が再点灯!さらなる急落があっても不思議ではない」を参照)。
ユーロ圏の国々の不良債権問題は、昨年(2010年)だけでは消化できずに、今年(2011年)の大きなテーマになると考えている。
■「売りシグナル」点灯でも急落しなかったユーロ/円
まずは、ユーロ/円の月足チャートをご覧いただきたい。
これは180本足(180カ月分)のチャートだ。
ユーロ/円は、2000年10月の安値88円台から2008年の高値170円レベル(正確には169.95円)まで、約8年間にわたって大きく上昇した。
月足チャートには、その上昇の際のサポートラインを緑の破線で表示している。
だが、ユーロ/円は2008年に大暴落(クラッシュ)を起こし、高値の170円レベルから112円台まで、大きく急落した。
その後、2008年半ばから2010年4月にかけては、下限が112円レベル、上限が140円レベルの「ボックス相場」を形成した。
そして、2010年5月に下限の112.00円を割り込み、「売りシグナル」を発したのだが、米国の金融緩和策(量的緩和策)を材料にしてユーロ/米ドルが上昇したことから、ユーロ/円は急落せず、現在は112円を中心とした「保ち合い相場」となっている。
また、日本の当局(財務省・日銀)が、2010年9月15日に「円売り・米ドル買い介入」を実施したことも、ユーロ/円が下落せず、112円を中心とした「保ち合い相場」になった原因だと考えている。
■さらなる急落があっても不思議ではない状態が続いている
続いて、ユーロ/円の週足チャートをご覧いただきたい。
これは300本足(300週分)のチャートだ。
ユーロ/円は、2006年半ばから2008年半ばにかけて、下限が149円レベル、上限が170円レベルの「ボックス相場」を形成した。
この「ボックス相場」は、結果的に「ヘッド&ショルダー(※)」を完成させ、その後の大暴落(クラッシュ)の原因となった。
週足チャートには、この「ボックス相場」を青の水平線で表示している。
2008年の大暴落(「ヘッド&ショルダー」のクラッシュ)の後は、2008年後半から2010年4月まで、ユーロ/円は、上限が140円レベル、下限が112円レベルの「ボックス相場」を形成した。
その上限と下限を、週足チャートにそれぞれピンクの水平線で表示している。
だが、2010年5月に下限の112.00円を下に割り込んだことで、再度、「売りシグナル」を発した。
直近のユーロ/円を週足チャートで見ると、112円を中心とした「保ち合い(もみ合い)」を続けているが、「ボックス相場」の下限である112円レベルを下抜けたのだから、今後、さらなる急落があっても不思議ではない状態が続いている。
直近では、ユーロ/円は下値が105円レベル、上値が115円レベル(116円レベル)の「ボックス相場」を形成しており、週足チャートには、緑の水平線で表示している。
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