■欧州の吐いた「ウソ」の「しっぺ返し」が必ずある!
今月行われたポルトガルとスペインの新規国債の発行がうまくいったこと、また、今月1日に発足した欧州銀行監督機構(EBA)主導により、欧州の銀行を対象とした2回目のストレステスト(資産査定)を2月から3月にかけて実施することが明らかになったことを材料にして、ごく目先のユーロ/米ドルは急上昇している。
ユーロの関係者は、起債の成功と新たなストレステストの実施により、ユーロの健全性が明らかになると公言している。
しかし、個人的には、まったく信用できないと考えている。
だが、ユーロ/米ドルが1.28ドル台から1.36ドル台まで急騰したことは事実だ。
たとえ、欧州高官やECB(欧州中央銀行)の発言の内容が「ウソ」であろうとも、それを材料にしてマーケットが動くならば、それに対応する必要があることも「マーケットで生きる」ということなのだろう……
余計な損をする必要はないと考えているが、ユーロを買う気持ちにはまったくなれない。
外国為替市場は、清濁飲み干す「きたない市場」でもあるが、その浄化作用もものすごいものがある。
欧州の吐いた「ウソ」の「しっぺ返し」が、今後、どのような形で現れるのか、とても楽しみだ。引き続き、必ずこのツケを払うことになるはずだと見ている。
■「ヘッド&ショルダー」の可能性を考える必要が出てきた
まずは、ユーロ/米ドルの週足チャートをご覧いただきたい。
これは300本足(300週分)のチャートだ。
ごく目先のユーロ/米ドルは急上昇しているが、それでも、全体を見るならば下落基調にある。
また、チャートの形状から、「ヘッド&ショルダー(※)」の可能性を考える必要が出てきた。
ただし、現時点では、その発想は時期尚早だと言うこともできる。
「ヘッド&ショルダー」は、それが完成した時点で粛々と対応すればよい。
つまり、「ヘッド&ショルダー」はネックラインを明確に割り込んだ時点で対応すべきで、「ヘッド&ショルダー」を作るかもしれないといった予見(予測)でポジションを取ると、失敗することがよくある。
また、現時点でネックラインを、1.2300ドル近辺と考えるのか、それとも1.1850ドル近辺と考えるのか、はっきりとはわからない。
週足チャートには緑の破線で1.2300ドルと1.1850ドルの両方を表示したが、このようなケースでは、実際に、1.2300ドル近辺を割り込んだ時点でどのような値動きになるのかを見てから、判断する必要がある。
1.2300ドルを割り込んで、その後、すぐに大きく急落するようならば、ネックラインが1.2300ドル近辺だと判断すればよい。
半面、1.2300ドルを割り込んでも急落しないならば、ネックラインが1.1850ドル近辺であると考えるべきだろう。
欧州の財政問題を材料にしてユーロが下落を続けるならば、「ヘッド&ショルダー」が完成する可能性は高い。
ただし、繰り返しとなるが、「ヘッド&ショルダー」はそれが完成した時点で粛々と対応すればよいだけのことだ。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
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