■ユーロ円が激しく乱高下している印象だが…
ユーロ/円に関して、基本的な考え方は変わっていない(「欧州各国政府高官の発言はウソばかり!ユーロ/円のボックス相場はいずれ終わる」を参照)。
しかし、ユーロ/米ドルが1.28ドル台から1.37ドル台に急騰した影響で、ユーロ/円は106円台から114円台に上昇している。
特に、1月27日に格付け機関のS&P(スタンダード&プアーズ)が日本国債の格付けを「AA」から「AA-」に1段階引き下げ、米ドル/円が82.00円レベルから83円台前半に急騰したため、ユーロ/円も112円台から114円台に急騰している。
だが、114円台をつけてからは111円台まで急落しており、ユーロ円が激しく乱高下している印象を持っている。
ユーロ諸国や欧州各国の金融機関が抱えている不良債権問題は、簡単には解決できない。
ユーロ諸国やECB(欧州中央銀行)が都合のよいことを発表したり、あるいは、ユーロの金利引き上げ期待が高まったりして、そのつど、ユーロが乱高下しているだけだと考えている。
そういった場面に、日本国債の格下げというニュースが出たので、ユーロ/円がかく乱されたのだろう。
■今後、さらなる急落があっても不思議ではない状態に
それでは、ユーロ/円の週足チャートをご覧いただきたい。
これは300本足(300週分)のチャートだ。
ユーロ/円は、2006年半ばから2008年半ばにかけて、上限が170円レベル、下限が149円レベルの「ボックス相場」を形成した。
この「ボックス相場」は結果的に「ヘッド&ショルダー(※)」を完成させ、その後の大暴落(クラッシュ)の原因となった。チャートには、この「ボックス相場」をピンクの水平線で表示している。
2008年の大暴落(「ヘッド&ショルダー」のクラッシュ)の後、2008年後半から2010年4月まで、ユーロ/円は上限が140円レベル、下限が112円レベルの「ボックス相場」を形成した。チャートには、上限と下限をそれぞれ青の水平線で表示している。
その後、2010年5月に112.00円を下に割り込んだことで、再度「売りシグナル」を発したが、直近を週足チャートで見ると、112円を中心とした「保ち合い(もみ合い)」が続いている。
しかし、2010年5月に上限が140円レベル、下限が112円レベルの「ボックス相場」を下抜けたのだから、今後、さらなる急落があっても不思議ではない状態が続いている。
なお、直近のユーロ/円は、上限が115円レベル(116円レベル)、下限が105円レベルのボックス相場を形成している。チャートには、緑の水平線でその上限と下限を表示している。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
■ストップ・ロスを115円台に置いて「ユーロ売り・円買い」
続いて、ユーロ/円の日足チャートをご覧いただきたい。
これは180本足(180営業日分)のチャートだ。
日足チャートを見ると、この約8カ月の期間、ユーロ/円はずっと、上限が115円レベル(116円レベル)、下限が105円レベルの「ボックス相場」に収まっている。チャートには、緑の水平線で「ボックス相場」を表示している。
目先のユーロ/円は上下動しているが、引き続き、上限が115円(あるいは116円レベル)、下限が105円レベルの当面の「ボックス相場」のインサイド(内側)にある。
したがって、ストップ・ロス(損切り)を115円台ミドル、ないし115円台後半に置いて、「ユーロ売り・円買い」とするのが正攻法だと考える。
なお、このところの急騰で115円台が近づいてきたことは事実だが、それでも、115円台のストップ・ロス(損切り)は遠いと感じることも事実だ。
ストップ・ロスが遠い場合はポジションを小さくしたり、あるいは、便宜的に、もっと手前にストップ・ロスを置いて、適宜、臨機応変に対応するといったテクニックが要求される。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)