新しい年を迎えて1カ月以上が経過した。
2011年が始まって以降、相場全体を振り返るならば、現状は方向性がハッキリしない難しい相場つきになっていると感じている。
なぜ難しいのか? 問題点を整理してみよう。
■「ギリシャが返済できるのか?」といった不安は残る
まずは欧州だ。
ギリシャ、アイルランドに代表される経済的弱小国の財政危機問題は、一向に解決に向かっておらず、しかも、その水面下には欧州金融機関の抱える不良債権問題が隠れている。
経済的弱小国の国債を保有している金融機関は大きな損失を被っており、このままギリシャやアイルランドを破たんさせると、欧州全体を巻き込む金融危機に発展してしまう可能性がある。
破たんさせないためには資金調達が必要だが、通常の方法では調達できない。したがって、欧州各国の保証をつけた新しい起債方式が用いられた。
これでひと息ついたのだが、要は借金が増えただけのことだ。
「果たして返済することができるのか?」といった不安が残る。
また、米国は景気回復に向かっていると言われているが、失業率を見るかぎり、景気が上向いているといえる状況ではない。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
景気が上向いていれば、それに伴って金利も上昇するはずだが、それほど大きくは上昇しておらず、ほとんど横ばいと言っていい状態だ。
過去に例のない大規模な量的緩和を行っても、この程度なのだ。
このところ、よく耳にする「景気回復の兆しが見える」という指摘は、どうも納得できない。
そうした中でもNYダウだけは堅調で、不気味な「不景気の株高」が起こっている。
■この先お金がどういう方向に流れていくのかを注目すべき
日本の景気が一向に回復しないことは、誰もが肌で感じていることだろう。
失業率の算定の方法が米国と違うので低くは見えるが、多くの新卒者の就職が決まらないなど、雇用環境はかなり厳しい状況にある。
財政問題も深刻だ。
日本政府は、2011年度末の国の借金が約998兆億円にのぼることを明らかにした。1000兆円突破は目前だ。
ただ、個人資産が1400兆円あり、国債の大半を国内で消化しているので、海外から見ればマシに見えるために避難通貨として円が買われているが、投資する状況ではない。
国内市場はデフレが続いているために内需拡大が思うようにいかず、企業は輸出に活路を見出すしかないが、為替が円高傾向にあり、苦しい環境が続いている。
その半面、経済が好調な新興国の中でも、中国は過熱気味と思えるほど景気が良く、人民元の切り上げ圧力は高まるばかりだ。
だが、中国は投資先としては有望だが、政治的要因などにより市場が自由化されておらず、実質的には投資することができない。
「米欧日は景気が芳しくなく、好調な中国には投資しづらい」という状況で、投資先探しは堂々巡りしてしまい、投資判断ができない状態だ。
簡単に答えは出ないが、まずは現状を整理して、この先お金がどういう方向に流れていくのかを見つけることから始めるべきだと考えている。
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