■目先のポジションを取りようがなかった直近の米ドル/円
ごく直近の米ドル/円の値動きを見ていると、協調介入が実施された3月18日(金)から28日(月)まで、ほとんど動きらしい動きとなっていない。
3月18日(金)時点で、すでに協調介入が実施された以上、いつ何時、介入が出ても不思議ではない状況だ。
だから、目先の相場で米ドル/円を売り込んでも、介入が出れば負けることになり、積極的に米ドル/円を売る市場参加者は少ない。
一方、介入を期待して米ドル/円を買っても、現実のマーケットでは、介入が実施されたのは3月18日(金)だけで、その後の介入は行われていない。
一般の市場参加者は、高値を追いかけて買うことはない。その結果、米ドル/円の目先のロング(買い持ち)がたまると、自律的に下落し、目先のロングは80円台での損切りを余儀なくされた。
さりとて、3月28日(月)までは、80.00円を割り込むことはなく、かつ、協調介入の際の高値である81円台後半を上抜けることもできず、82円台に乗せられなかった。
つまり、やりようがないので、ほとんど動きらしい動きにならなかったのだ。
この状況では、米ドル/円に関しては、目先のポジションを取りようがなかったと考えている。
ただ、3月29日(火)になって、米ドル/円は82円台に乗せてきたので、上昇を始めたようにも映る。
これは、米国の出口戦略が早まるのではないかといった期待感の高まりが主な要因だと判断している。
■福島の原発事故は、明らかな「円売り材料」だが…
東北関東大震災の影響は、当然ながら、日本経済にマイナスだ。
日本にとって、こういった自然災害は負の影響であり、米ドル/円で言えば「円売り材料」となる。
しかし、外国為替市場では、こういった大災害を材料に、その被災した国の通貨を売り込むことは、長続きしない傾向がある。
自然災害は仕方がないことだし、いずれ復興すると考えるからだろう。
個人的には、東北関東大震災を材料にした「円売り」は持続しないと考えている。
なお、福島の原発事故も自然災害がきっかけであるが、事故が起こった原因と事故発生後の対応の誤りは自然災害ではなく、人災だと考えている。
マーケットも同様に、原発事故を人災だと考えている市場参加者が多いのではないだろうか?
今後、原発事故が収まったならば、東京電力にその損害を賠償する責任が出てくる。その損害額は莫大で、東京電力に支払い能力があるのか、疑問だ。
このように考えていくと、今後の展開が読めない。
個人的には、東京電力を解体し、国有化することも視野に入れるべきだと考えているが、その前に、責任の所在を明らかにするなど手続きに時間や手間がかかるので、今後の展開が読めない。
ただ、現時点では、原発事故を収束させることが第一で、その点だけに集中すべきだ。
福島の原発事故は、明らかな「円売り材料」である。だが、今のところ、原発事故は時間の経過に伴って、いずれ収束するだろうといった考え方が多いのだろうと思っている。
しかし、この原発事故が解決せず、最悪の事態を迎える場合は「円売り材料」として、より鮮明になるのではないかと危惧している。
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