一方で、これまで「円高・米ドル安」を支えてきた構図が急に変わるわけではありません。それは、空前のドル余り(「資料3」参照)とか、日米金利差(「資料4」参照)といったことです。


たとえば「資料4」のように、最近の円のポジションは5万枚を超える売り越しとなっています。
これまでに円の売り越しが5万枚を超えたのは、日米政策金利差ドル優位が2~3%以上へ大幅に開いた局面でした。
大幅な金利差といった裏づけがある中での「円売り・米ドル買い」が、本格化、継続化しやすかったのは当然だと思います。
逆に言えば、最近のように金利差がほとんどない局面で、金利差の裏づけがない中での「円売り・米ドル買い」が継続的に拡大していくことは難しいと思います。
■1年前にも「パニック」が起こったGWが重大な岐路に
最近のように、金利差がほとんどない中でも円の売り越しが5万枚を超えたケースは、昨年5月がそうでした。
ところが、日本がGW明けとなる昨年5月6日に、米ドル/円は95円手前から、わずか2~3日で88円割れへと急落する「パニック相場」となりました(「重大事件後に相場はどう動く?「パニック安値」で歴史的な大底入れも…」を参照)。
それは、足元の状況とよく似た「裏づけなき円売り」の逆回転による現象だったのです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
昨年のGWは、ギリシャをはじめとする欧州の財政問題や米国株の誤入力疑惑騒動など、いくつかのアクシデントが重なるといった不幸もありました。しかし、根本には「裏づけなき円売り」の反動があったと思います。
相場は先取りで動くものですから、金利差やドル余りのような、これまで「米ドル安・円高トレンド」を支えてきた構図が変わる前に、トレンド転換が起きても不思議はありません。
ただ、そのような先取りがカン違いである可能性もあります。
米ドル/円がすでに大底を打っているというシナリオならば、最近にかけての米ドル/円の反落は「二番底」を試す動きで、このGW前後にクライマックスを迎えるという見通しになります。
それでも、「裏づけなき円売り」というもろさを抱えた中での動きだということを、しっかりアタマに入れておく必要があるでしょう。
それとも、米ドル/円がまだ大底を打っていなかったという別のシナリオの可能性はあるのでしょうか?
何気なく過ぎる大型連休ですが、今度のGWは、じつは、米ドル/円にとっての重要な「審判のとき」なのです。
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