■4月5日の「買いシグナル」は正しかった
まずは、米ドル/円の日足チャートをご覧いただきたい。
これは、直近の日足チャートの拡大版だ。
4月1日(金)に84.50円を上抜けたことで、目先の「買いシグナル」を発したが、翌営業日の4月4日(月)は調整の下落となった。4月1日(金)の高値は84.73円、安値は83.12円だった(「ドル/円がトレンド転換する可能性は高い!86.00円突破ならば『買い』から入る戦術へ」を参照)。
日足チャートを見ると、調整の下落となった4月4日(月)の日足は、4月1日(金)の日足にスッポリと収まっている。
つまり、典型的な「はらみ(はらみ寄せ)」を形成した。チャートには「はらみ寄せ(1)」と表示している。
この「はらみ(はらみ寄せ)」のセオリーは、母線(この場合は4月4日の日足)の高値を抜けたら「買い」、安値を抜けたら「売り」となる。
だから、翌日の4月5日(火)に母線の高値であった84.73円を上抜けた時点で、再び「買いシグナル」を発している。
なお、4月6日(水)に85.53円まで上昇していることから、この「買いシグナル」は正しかったと考えている。
また、4月7日(木)、8日(金)、11日(月)の3営業日で、米ドル/円は日足チャートで「三羽烏(さんばからす)」を形成した。
これは、陰線が3本続くチャートの形状で「売りシグナル」となり、チャートには「三羽からす(1)」と表示している。
4月12日(火)の値動きを見ると、「三羽からす」のシグナルどおりに急落している。これは、介入期待などで、目先で米ドル/円を買った市場参加者のポジション調整が主な原因だろう。
つまり、チャート・ポイントの86.00円(85.94円)の上抜けを狙って「米ドル買い・円売り」をしたものの、目先、ターゲットまで届かなかったので、ポジション調整が起こって下落したということだ。
84.50円を明確に下に割り込んだので、目先で米ドル/円をロング(買い持ち)にしていた向きのストップ・ロス(損切り)が出たと考えている。
■積極的に米ドル/円を売り難い状況に変わりはない
米ドル/円は「三羽からす(1)」で「売りシグナル」を発し、下落した後で、再び「はらみ寄せ」を形成した。チャートには「はらみ寄せ(2)」と表示している。
4月13日(水)の日足は、4月12日(火)の日足にスッポリと収まっており、このケースでは4月12日(火)の日足が母線となる。そのレンジは83.46~84.78円だ。
前述したとおり、「はらみ寄せ」の場合は、母線の高値を上抜けたら「買い」、母線の安値を下抜けたら「売り」がセオリーとなる。
米ドル/円は、4月14日(木)東京市場の午前中に83.25-30円を見ている。
その時点で母線の安値を下に抜けており、「売りシグナル」を発したということになる。
引き続き、80.00円を割り込む場合は、日本の当局による介入が実施される可能性があり、積極的に米ドル/円を売り難い状況であることには変わりない。
しかし、4月に入ってチャート・ポイントの86.00円を目指した上昇の過程で、米ドル/円のロングポジション(買い持ち)は、かなり膨らんだと考えられる。
つまり、この時点でも、84円台や85円台のロングポジションは、かなり残っていた可能性が高い。
筆者は、そういったポジションが、いったん損切りさせられる水準まで、もう一段下落すると考えていた(「ドル/円はトレンド転換の可能性高いが、目先80円台までの下押しはあり得る」を参照)。
要するに、「はらみ寄せ(2)」の「売りシグナル」どおりに、もう一段、下押しすると考えたのだ。
しかし、80.00円レベルや79円台まで下押しする場合は、日本の当局による介入が行われる可能性があるため、この時点では、そこまでの深押しはないだろうとも考えた。
4月14日(木)以降の値動きを見ると、結局、下落しており、「はらみ寄せ(2)」の「売りシグナル」は正しかったと言える。
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