■チャート・ポイント下抜けで「売りシグナル」が2回点灯した
今度は、ユーロ/米ドルの日足チャートをご覧いただきたい。
これは300本足(300営業日分)のチャートだ。
目先、5月上旬のユーロ/米ドルは、高値を更新して上昇していた。もちろん、高値更新は「買いシグナル」である。
しかし、高値更新の際に、高値圏での乱高下と映る値動きが見られる。
必ずというわけではないが、高値圏での乱高下は天井を示唆するケースとなる場合が多い。
ただし、5月5日(木)のようなユーロ/米ドルの棒下げの値動きは、ゴールデン・ウィークなど、市場参加者が極端に少ない時期に起こる「動きの読めないランダムな値動き」の典型例だ。
それでも、結論から言えば、事前に察知したとおりの展開となっていて、高値圏での乱高下は天井を示唆していたと考えている。
また、日足チャートを見ると、1.18ドル台の安値からの上昇において、ユーロ/米ドルが緑の破線のサポートラインに従っていることが読み取れる。
それまでの高値であった1.4280ドル近辺を明確に上抜けたことで、再度「買いシグナル」を発し、もう一段の上昇も見ている。
さらに、2011年1月頃から5月上旬までの上昇は加速しており、青の破線のサポートラインが引けた。
日足チャートで見るかぎり、この青の破線で示したサポートラインが有効な間は、「買い」から入って、適宜、売り逃げること(=できれば利食い、しかし、利食いとは限らない)がセオリー(戦術)だった。
しかし、この青の破線で示したサポートラインを下に割り込むような場合は、ユーロ/米ドルに「売りシグナル」が点灯する。
青の破線のサポートラインを明確に下に割り込む場合は、「売り」でついて行くことになる。
日足チャートに示したように、青の破線で示したサポートラインを明確に下に割り込んだので、その時点で「売りシグナル」が発せられたと考えている。
さらに、チャート・ポイントであった1.4280ドルを明確に下抜けたので、その時点でも「売りシグナル」が点灯したことになる。
■1.4ドル割れで、改めて「売りシグナル」が点灯した
最後に、ユーロ/米ドルの180本足(180営業日分)の日足チャートをご覧いただきたい。
前述のように、1.4280ドルを明確に下抜けたので、改めて「売りシグナル」が点灯している。
5月9日(月)も、5月10日(火)も、一時的には1.4280ドルを下抜けることはあったが、その時点では、明確に下抜けたとは言えない状況だ。
5月11日(水)に1.4280ドルを明確に下抜けたところで、「売りシグナル」が発せられたと考えている。
ユーロ/米ドルは、青の破線のサポートラインを明確に下に割り込んで「売りシグナル」を発し、さらに、チャートポイントであった1.4280ドルを割り込んで、さらに「売りシグナル」を発した状況だ。
つまり、便宜的なストップ・ロス・オーダー(損切り注文)を置いて、「ユーロ売り・米ドル買い」をするべきところだ。
ストップ・ロス・オーダーを置くところを具体的に挙げると、5月9日(月)の高値である1.4441ドルを上抜けたあたり、つまり、1.4450-60ドルに置くことになる。
しかし、1.4450-60ドルでは遠過ぎると考える場合は、適宜、便宜的なストップ・ロス・オーダーを置く戦術が有効だ。
ポジションを小さくして、1.4460-80ドルにストップ・ロス・オーダーを置くのが正攻法だろう。
5月4日(水)につけた高値の1.4940ドルから、5月23日(月)の安値である1.3968ドルまでを計算すると、すでに約1000ポイントも下落している。
1.40ドル台から1.43ドル台までのリバウンド(反発上昇)は、1.49ドル台から1.40ドル台までの下落スピードが速かったので、その調整だろうと考えている。
5月23日(月)に1.4000ドルを割り込み、安値(下値)を更新したことで、改めて「売りシグナル」が発せられたと考えている。
■欧州の不良債権問題は簡単には解決できない
最近になって、折からのギリシャ問題の再燃、スペインの隠し負債が明るみに出る可能性、イタリアの格下げの可能性など、欧州の不良債権問題が改めてクローズアップされてきた印象だ。
その隠ぺい体質を考えると、欧州の抱えている不良債権問題は、簡単に短時間では解決できないと考えている。
マーケットでユーロが売られる展開になれば、欧州の関係者からリップサービスが出て、何らかの対処法が発表されるだろう。
だが、それらは根本的な解決にはならない。
それらの対処法は単なる問題の先送りで、先々に行けば、むしろ、不良債権は拡大することになり、ますますひどい状態になる。
適宜、ストップ・ロス・オーダーを置いて、「ユーロ売り・米ドル買い」しか思いつかない。
(2011年5月25日 東京時間6:20記述)
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