■ユーロ/米ドルは週足で大きな「三角保ち合い」を形成中
まずは、ユーロ/米ドルの週足チャートをご覧いただきたい。
これは300本足(300週分)のチャートだ。
ユーロ/米ドルは、赤の破線で示した中長期のレジスタンスラインを4月上旬に上抜けており、その時点で「買いシグナル」を発した。
なお、赤の破線(細線)は赤の破線(太線)の平行線である。
ユーロが4月上旬に対米ドルで上昇した要因は、米国(=米ドル)が政策金利(短期金利)の引き上げを実施しなかったのに対して、欧州(=ユーロ)は今後も政策金利(短期金利)を引き上げるだろうという思惑によるものと考えている。
4月中のマーケットでは、「ユーロ買い・米ドル売り」が一段と進んだ格好となった。
ところが、ゴールデン・ウィーク中の5月5日(木)のマーケットで、大方の市場予想どおりに、ECB(欧州中央銀行)が政策金利を1.25%に据え置くことを決定。早期利上げ期待は後退し、ユーロ/米ドルは急落した。
チャートには、ユーロ/米ドルが5月5日(木)以降に大きく急落したので、中長期のレジスタンスラインとして青の破線(太線)を加筆した。青の破線(細線)はその平行線である。
その後、6月9日(木)の理事会でも、ECBはユーロの政策金利を1.25%に据え置くことを決定したが、このときは理事会後の記者会見で、トリシェ総裁は7月利上げを示唆した。
筆者は、ユーロの政策金利は7月開催の理事会で、ほぼ確実に、0.25%の利上げが実施されると考えている。
しかし、ECBのユーロ金利の引き上げ幅は、今後はそれほど大きくないといった思惑が市場関係者の間に広がっている。そのため、ユーロ/米ドルのロングポジション(買い持ち)の解消が出て、「ユーロ売り」となっている。
前述のように、トリシェECB総裁が7月利上げを示唆したため、そのとおりに、7月開催の理事会で利上げが決定されると筆者は考えている。
しかし、それでも、トリシェECB総裁の記者会見が行われた6月9日(木)以降、ユーロ/米ドルは下落している。
とりあえず、青の破線(太線)で示した中長期のレジスタンスラインは、今のところは有効のようだ。
一方、2010年6月安値の1.18ドル台を起点として、ユーロ/米ドルは上昇を続けている。そのサポートラインをピンクの破線(太線)で、その平行線をピンクの破線(細線)で示すことができる。
つまり、ユーロ/米ドルは現在、青の破線(太線)のレジスタンスラインとピンクの破線(太線)のサポートラインに挟まれて、大きな「三角保ち合い(ウェッジ)」を作っていると言えるだろう。
■「ヘッド&ショルダー」が完成する可能性は十分に高い
再び、ユーロ/米ドルの300本足(300週分)の週足チャートをご覧いただきたい。
ユーロ/米ドルは、中長期のチャートの形状から「ヘッド&ショルダー(※)」の可能性を考えていたが、ユーロが1.18ドル台から大きく上昇しているので微妙になっていた(「5月に入って3回も『売りシグナル』点灯のユーロ/ドルは『売り』しか思いつかない!」を参照)。
個人的な思惑だが、5月4日(水)の高値である1.4940ドルが右肩の高値となるケースを想定して、「ヘッド&ショルダー」の「3つの山」が示唆されていると考える。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
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