ユーロ/円に関して、考え方に変化はない(「ユーロの不良債権問題はますます悪化へ。118円の上にストップを置いてユーロ売り!」を参照)。
目先のマーケットは、ギリシャ問題への対応や報道で右往左往している印象がある。
ギリシャ議会において、6月下旬に780億ユーロの財政緊縮案と財政緊縮の実行に向けた具体的な措置を盛り込んだ法案が採決された。
仮に、これらの法案が否決された場合は、ギリシャのデフォルト(債務不履行)に直結する可能性が高いと考えていが、結局、法案は通った。
しかし、法案が可決されても、一時しのぎの対処法に過ぎない。根本的な解決にはならないと考えている。
つまり、単なる「時間稼ぎ」「問題の先送り」に過ぎないものだ。
ギリシャは議会の採決を経て、8月までの資金繰りを確保した。だが、ギリシャ問題の解決には、まったくほど遠い状況である。
■ユーロ/円は118.00円を明確に上抜けるまでは買えない
まずは、ユーロ/円の日足チャートをご覧いただきたい。
これは180本足(180営業日分)のチャートだ。
総じて見れば、ユーロ/円は目先で、113円台から117円台で上下動を繰り返しているだけだ。
このような値動きの場合の対応方法を表す格言として、「相場保ち合いとなれば、同数の取り合いなり、逆向かいを可とする」というものがある。
つまり、目先の「ボックス相場」は113円台ミドルから117円台後半で推移しているのだから、113円台後半では「買い」、117円台ミドルでは「売り」というテクニックとなる。
ユーロ/円はこれまで、日足チャートに示した青の破線(細線)のレジスタンスラインと赤の破線(細線)のサポートラインによって「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成していた。だが、この「三角保ち合い(ウェッジ)」は結果的に、サポートラインを下に割り込んだ。
現在は、新たに赤の破線(太線)で示したサポートラインが機能している。
その後は、青の破線(細線)で示したレジスタンスラインと赤の破線(太線)で示したサポートラインによって「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成していたが、今度は、青の破線(細線)のレジスタンスラインを上抜けている。
このレジスタンスラインを上抜けたことで、弱い「買いシグナル」が点灯したと考えることもできるが、ユーロ/円は引き続き、下限が113円台、上限が117円台後半(118.00円)の「ボックス相場」にある。
したがって、118.00円を明確に上抜けるまでは、「買い」でついて行く気持ちにはなれない。
また、この日足チャートには、下値で113.00円、上値で118.00円のピンクの破線(水平線)を表示した。
この2本のピンクの破線(水平線)で示した「ボックス相場」に注目するならば、青の破線(太線)のレジスタンスラインを上抜けても、118.00円近辺がレジスタンスになることに変わりはない。
■現在も「売りシグナル」が継続中で、トレンドは「下落」
続いて、ユーロ/円の週足チャートをご覧いただきたい。
これは300本足(300週分)のチャートだ。
ユーロ/円は、2006年半ばから2008年半ばにかけて、下限が149円レベル、上限が170円レベルの「ボックス相場」を形成した。
この「ボックス相場」は結果的に「ヘッド&ショルダー(※)」を完成させ、その後の大暴落(クラッシュ)の原因となった。週足チャートには、この「ボックス相場」をピンクの水平線で表示している。
2008年の大暴落(「ヘッド&ショルダー」のクラッシュ)の後、2008年後半から2010年4月まで、ユーロ/円は上限が140円レベル、下限が112円レベルの「ボックス相場」を形成した。週足チャートには、その上限と下限を青の水平線で表示している。
その後、2010年5月に下限の112.00円を下に割り込んだことで、ユーロ/円は再び「売りシグナル」を発した。「ボックス相場」を下抜けたのだから、さらなる急落があっても不思議ではない状態が続いた。
しかし、112.00円を割り込んでからのユーロ/円は、2010年4月ないし5月頃から今年の3月28日(月)に至る期間、今度は下限が105円レベル、上限が116円レベルの「ボックス相場」を形成した。週足チャートには、その下限と上限を緑の水平線で表示している。
そして、3月29日(火)に上限の116.00円を上抜けて、この時点で「買いシグナル」を発した。
ユーロ/円の大きな下落トレンドを考え、下限の105円を下抜ける可能性が高いと考えていたが、G7(先進7カ国)による協調介入によって相場の流れが変わったのだ。
だが、116.00円を上抜けて上伸したものの、高値は123円台ミドルにとどまり、改めて上値が重い展開に移行した。
そして、5月6日(金)にチャートポイントだった116.00円を下に割り込み、一転して「売りシグナル」を発した。
現在も「売りシグナル」が継続しており、トレンドは「下落」となっている。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
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