引き続き、米ドル/円の基本的な考え方は変わっていない(「79.5円を下抜けたドル/円。買っているならいったん損切り、『夏休み』も立派な戦略」など参照)。
今回のコメントは、前回のものとほとんど同じだが、それはマーケットの状況が変わっていないからだ。
言い換えれば、前回のコメントが正しかったので、書き直す必要がないと考えているためである。
2007年6月以来、ずっと「米ドル安・円高トレンド」が続いており、現在に至るまで、一度として転換したことはない。
まる4年もの間、「米ドル安・円高トレンド」のままであり、このことが大前提となる。
■目先は米債務上限引き上げ問題を材料にドル売りが続く
外国為替市場の「年間スケジュール」を考えると、毎年、米国の独立記念日である7月4日から「夏休み相場」が始まる(「『年間スケジュール』を知っていれば、ムダなリスクは誰でも避けられる!」を参照)。
つまり、米国の独立記念日を過ぎると、世界中の市場参加者が順番に夏休みを取るということだ。
ただ、今年のマーケット(外為市場)は難しい展開だったので、多くの市場参加者は十分な利益を上げられていないだろう。だから、彼らはすぐに夏休みを取るわけにはいかない状況なのだと思う。
それでも、7月上旬時点では「夏休み相場スタート」とは言えないのだろうが、徐々に市場参加者が少なくなっていることは明らかだ。
7月下旬には、カンペキに「夏休み相場」に突入すると見ていたが、今週はその7月下旬で、すでに、なんとなく、「夏休み相場」の雰囲気が漂っている。
毎年、「夏休み相場」はポジションを取らずにのんびりすればよいと考えているが、今年も同様である。
準備万端に夏休み体制が整ったならば、8月下旬まで何もしないで、ポジションを取らず、休暇を取ることもすばらしい戦略である。
もちろん、「夏休み相場」でも真摯に相場に向かい、マーケットの動きを追いかけてこのコラムを書き続けるつもりだ。それは、「夏休み相場」の明けた時期が1年の中で最も重要なシーズンであり、その時期にベストな状況で戦いたいと考えるからだ。
また、「夏休み相場」のシーズンであっても、利益を狙える場合には相場をやって構わないとも考えるためである。
さて、7月26日(火)東京市場午前の米ドル/円は、77円台後半まで下落し、一段の円高水準を見ている。
オバマ米大統領が現地時間の25日夜(日本時間26日午前)に、米国の債務問題について演説したが、問題解決への進展が見られないことから「米ドル売り・円買い」となった。
このままでは、米国がデフォルト(債務不履行)に陥るとの懸念が強まっており、さらに、格付け会社が米国債を格下げする可能性があることも「米ドル売り」の材料となっている。
個人的には、米国はデフォルト(債務不履行)を回避するために妥協し、債務上限引き上げは行われると予測している。ただ、目先はこの問題が「米ドル売り」の材料とされるのだろう。
■レジスタンスラインを上抜ける可能性が出てきた
それでは、米ドル/円の週足チャートからご覧いただきたい。
これは300本足(300週分)のチャートだ。
現在のレジスタンスラインを緑の破線(太線)で示したが、米ドル/円は、2007年6月から現在に至るまで、ずっと、この緑の破線(太線)のレジスタンスラインに従っていることがわかる。
しかし、米ドル/円が足元で、この緑の破線(太線)のレジスタンスラインに迫っていることも事実であり、これを明確に上抜ける場合は「買いシグナル」が点灯する。
繰り返すが、この緑の破線(太線)のレジスタンスラインは、現時点ではまだ有効であり、上にブレイクされていないし、ブレイクされたこともない。現在のトレンドは「米ドル安・円高」のままで変化はない。
つまり、2007年6月から2011年7月に至るまでの4年以上の間、「米ドル安・円高トレンド」のままで、今のところ、一度も「反転のシグナル」を発したことがないということになる。
米ドル/円の週足チャートを見ると、今回の米ドル/円の下落の起点が2007年6月高値の124円台であることがわかる。それから4年以上もの間、このレジスタンスラインの傾きに従って、一定のスピードで下落を続けている。
しかし、3月18日(金)に行われたG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の臨時会合で協調介入の合意がなされたことで、反転の兆し(トレンド転換を示唆するシグナル)の可能性が出てきた。
今のところ、この協調介入は米ドル/円の相場水準を押し上げることを意図していないと考えているが、このまま76.25円の歴史的最安値を更新することなく、米ドル/円が「横ばい」を続ければ、時間の経過に伴って、緑の破線(太線)のレジスタンスラインを上抜ける可能性が出てくる。
週足チャートでの明確な「反転の兆し」というには、この緑の破線(太線)のレジスタンスラインを上抜ける必要を感じている。
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