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吉田恒の「データが語る為替の法則」
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G7緊急声明とバフェットの言葉を読み解く。
米金利上昇→ドル上昇の可能性はあるか

2011年08月09日(火)14:24公開 [2011年08月09日(火)14:24更新]

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 史上初の米国債の格下げ、G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)による緊急声明、日本の為替介入など、ビッグニュースが相次いでいます。

 G7声明を見る限り、日本の介入だけで「円高・米ドル安」を終了させるのは厳しそうで、今後は米国債の格下げで米国金利が上昇するかどうかが焦点でしょう。

 先週末の米国雇用統計が市場予想よりも良かったことから、じつは「良い米金利上昇」になる兆しもなくはないので、それが「米ドル高・円安」へ反転するいちばん近い手掛かりだと思っています。

■G7声明でやりにくくなった日本の単独介入

 まず、8月8日(月)の午前中に出されたG7の緊急声明から考えたいと思います。

 この中の為替に関する言及を「資料1」に示しましたが、これを見ると、残念ながら日本の「円高阻止介入」は、やりにくくなっていると感じざるを得ません。

資料1

 その理由は、何よりも、8月4日(木)に行われたばかりの日本の当局による「円売り介入」にまったく言及されていないということです。

 これまでのG7の為替声明のパターンからすると、協調介入とならないまでも、単独介入をG7が容認している場合は、「日本の円高懸念を共有する」といった表現が含まれるのが普通でした。ところが、今回はひと言も触れられていません。

 それどころか、「市場において決定される為替レートを我々が支持する」との表現が入りました。こういった表現がG7声明に入った例は珍しいですし、私の記憶だと初めてだと思います。

 かつて、2002~2003年に日本政府が「円高阻止介入」に動いた際、それを米国政府が本音では不快と思っている場合に使われることが多かったと記憶しています。

 その意味では、欧米が今回の日本の単独介入を不快に思っていることが再確認された可能性もありそうです。

 また、8月4日(木)の日本の単独介入の後、ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁が「為替介入は多国間の協議で決めるもの」といった趣旨の発言を行ったことが報道されました。

 これは、今回のG7の為替声明の中にあった「我々は、為替市場における行動に関して緊密に協議し、適切に協力する」といった一文と似たニュアンスを感じさせるものです。

 以上からすると、欧米当局は8月4日(木)の日本の単独介入を不快に感じており、それをこのG7声明で再確認したと読むのが基本ではないでしょうか?

 介入を意味する「為替市場における行動」に関して、「緊密に協議」しているようですが、それを受けた協調介入以外は、基本的に、日本の「円高阻止介入」を容認しないといった意味のように感じられます。

■なぜ、日本は8月4日に単独介入に踏み切ったのか?

 今回の介入については、このような話もあります。

 経団連会長が政府の経済対策会議を欠席して、円高無策を批判したことから、日本政府があわてて「円高阻止介入」に踏み切ったというものです。

 とりわけ、節電対策によって木・金曜日に実質休業となる輸出企業が多い中、輸出予約の「米ドル売り」が入らないことがあり、だからこそ木曜日である8月4日に介入に動いたというのです。

 その意味では、輸出予約の「米ドル売り」が再開する週明けに80円台に乗せ、米ドルの売り場を提供することが1つの目標だったと推測されますが、その意味では、今のところは介入が失敗だったと言えるでしょう。

 それどころか、単独介入に踏み切った8月4日(木)に世界の株式市場が急落したことで、「世界株安の日本原因説」も一部でささやかれているようです。確かに、今回のG7声明はそれを受けた動きのように見えなくはありません。

 ちなみに、76円台には日本企業のデリバティブ取引の損切りポイントが集中しているとされています。つまり、76円台よりも「米ドル安・円高」となると、日本企業の「円高」による業績下振れがより深刻化すると見られています。

 米国金利が上昇して米ドルが自律反発に転じない限り、日本の当局の政策対応としては、日本政府がどんな備えで、どのように動くかに焦点が移ったのかもしれません。

■日本国債が最高格付けを失った後は円高になった

 次は、史上初となった米国債の格下げの影響について考えてみたいと思います。

 基軸通貨国の国債が最高格付けランクを失うといったことは、史上初めての事態であり、その影響を予測することは簡単ではなさそうです。

 ただ、今から思えば、米国の政府と議会が時間切れ寸前のギリギリのタイミングでデフォルト(債務不履行)を回避したにもかかわらず、むしろその後に世界の金融市場が一段とリスク回避に向かったのは、この「米国債ショック」を織り込む動きだったと思います。

 ところで、基軸通貨国ではありませんが、日本が国債の最高格付けを失ったのは1998年11月でした。この時を振り返ると…

吉田恒の「データが語る為替の法則」
吉田 恒 (よしだ・ひさし)

1985年、立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長、また、投資情報事業を展開するT&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役などを歴任。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。また、「M2J FX アカデミア」の学長も務めている。
一方、国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的におこなっている。2000年のITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年の円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。著書に『さよなら円高』『YENの悲劇』(ともに廣済堂出版)、『投資に勝つためのニュースの見方、読み方、活かし方』(実業之日本社)、『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)、共著に『通貨大動乱』(総合法令)がある。また、DVDに『こうすればFX予想は当てられる!』(パンローリング)がある。

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