たとえば「資料3」をご覧ください。
これは米国の長短金利差、つまり、2年債と10年債の利回り差を見たものです。

「100年に一度の危機」と呼ばれた局面での株安の始まりは2007年10月ですが、「資料3」では、赤いマルをつけた位置になります。
つまり、「100年に一度の危機」における株安と景気後退の始まりは、長短金利差が小幅な状況下で始まっていたことがわかります。
なぜ、この時に長短金利差が小幅だったかといえば、短期金利、すなわち政策金利が高かったからです。当時、米国の政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)レートは5%を上回っており、それは2006年まで、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを続けてきたためでした。
要するに、「100年に一度の危機」の前から、米国で景気減速と株安が始まっていて、それはFRBが利上げを続けて金利が高くなっていたからであり、その意味では当然の結果だったのです。
■米国は景気指標の割りに金利が下がり過ぎている
一方で、最近にかけてFRBは「ゼロ金利」という超低金利政策を続け、利上げを行っていません。だから短期金利は低く、その結果として「資料3」のように長短金利差は大幅に開いているのです。
利上げのような人為的に景気を減速させる行為に動いておらず、何もしないのに景気が減速し、さらにリセッション(景気後退)に転落するということが本当にあるのでしょうか?

日本のようなデフレでないにもかかわらず、米国は利上げもしないのに、リセッションに転落してしまうのでしょうか?
「資料4」は米国の代表的な景気指標の1つであるISM製造業景況指数と米国の実質金利を重ねたものです。
これを見ると、景気指標の割りに金利が下がり過ぎている感じがします。
■「史上最大の米金利下がり過ぎ」後、為替はどう動いたか?
「資料5」も金利下がり過ぎの可能性を示唆しています。これは米国の長期金利である10年債利回りの90日移動平均線からのカイ離率を見たものですが、8月に入って一時マイナス30%程度まで拡大しました。

これは2008年12月に次ぐ2番目の大幅なマイナスでしたから、その意味では「史上2番目の下がり過ぎ」の可能性があったのです。
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