ユーロ/円に関して、基本的な考え方には変化はない(「ユーロ/円の下落トレンドに変化はないが、108円台のボックスの下限では買い戻しか」を参照)。
基本的には「ユーロ売り・円買い」で戦うべきだと考えている。
■現在も「売りシグナル」が継続中で、トレンドは「下落」
それでは、ユーロ/円の300本足(300週分)の週足チャートからご覧いただきたい。
ユーロ/円は、2006年半ばから2008年半ばにかけて、下限が149円レベル、上限が170円レベルの「ボックス相場」を形成した。
この「ボックス相場」は結果的に「ヘッド&ショルダー(※)」を完成させ、その後の大暴落(クラッシュ)の原因となった。週足チャートには、この「ボックス相場」をピンクの水平線で表示している。
また、2008年の大暴落(「ヘッド&ショルダー」のクラッシュ)の後、2008年後半から2010年4月まで、ユーロ/円は上限が140円レベル、下限が112円レベルの「ボックス相場」を形成した。週足チャートには、その上限と下限を青の水平線で表示している。
その後、2010年5月に下限の112.00円を下に割り込んだことで、ユーロ/円は再び「売りシグナル」を発した。「ボックス相場」を下抜けたのだから、さらなる急落があっても不思議ではない状態が続いた。
しかし、112.00円を割り込んでからのユーロ/円は、2010年4月ないし5月頃から今年の3月28日(月)に至る期間、今度は下限が105円レベル、上限が116円レベルの「ボックス相場」を形成した。週足チャートには、その下限と上限を緑の水平線で表示している。
そして、3月29日(火)に上限の116.00円を上抜けて、この時点で「買いシグナル」を発した。
ユーロ/円の大きな下落トレンドを考えると、下限の105円を下抜ける可能性が高いと考えていたが、3月に行われた協調介入によって相場の流れが変わった。
だが、116.00円を上抜けて上伸したものの、高値は123円台ミドルにとどまり、改めて上値が重い展開に移行した。
そして、5月6日(金)にチャートポイントだった116.00円を下に割り込み、一転して「売りシグナル」を発した。
その後もトレンド転換を示唆する動きはなく、現在も「売りシグナル」が継続している。つまり、トレンドは「下落」である。
ちなみに、3月29日(火)以降も116.00円は重要なチャートポイントだったと考えているが、その後の値動きを含めて全体を俯瞰(ふかん)すると、ユーロ/円は上限が124円レベル、下限が105円レベルの「ボックス相場」を形成したと考えている。
そのために、116.00円は緑の水平線(細線)で表示した。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
■引き続き、118.00円がレジスタンスになっている
続いて、ユーロ/円の日足チャートをご覧いただきたい。これは300本足(300営業日分)のものだ。
ユーロ/円は、3月4日(金)に、それまでの高値であった115.70円を更新し、115.95-00円をつけている。
高値更新は、通常ならば「買いシグナル」となるが、このときは高値を20~30ポイント更新したものの、一瞬の動きだけで、その後はすぐに値を戻している。
明確に上抜けていないため、3月4日(金)の時点では「買いシグナル」が点灯したとは言えないだろう。
この時点では、ユーロ/円は引き続き、下限が105円レベル、上限が116円レベルの「ボックス相場」にあった。
ユーロ/円は、3月4日(金)の115.95-00円から反転急落し、米ドル/円が歴史的最安値を更新する76.25円をつけた際には、106円台前半まで急落した。
しかし、3月18日(金)朝方に行われたG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の電話会議で、協調して「円売り・米ドル買い」の市場介入を行う合意がなされた。
この3月18日(金)の時点で、目先でユーロ/円の売りポジションを保有していた場合は、いったん買い戻しをして、ポジションをスクエアにするのがセオリーだった。
実際のところ、G7による協調介入が実施されてからのユーロ/円は、激しく上昇している。
ユーロ/円は2011年になってから、1日の間でも大きな値幅となるケースが多々あり、激しい値動きもあり得るため、相応の覚悟をもってポジションを持たないと危険だ。
無理をせずに、ポジションを小さくすることも、乱高下する相場への対応策の1つと言える。
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