■ドル/円は落ちるのを待ってから、取引を行うべき!
8月以降、米ドル/円は76円~77円台の狭いレンジ内に抑え込まれており、外国為替市場では「蚊帳の外」扱いとなっている。
なぜ、蚊帳の外になっているかと言えば、現在の絶対水準が76~77円台にあるためだ。75円台かそれ以下の水準まで落ちれば、日本政府・日銀が「円売り・ドル買い介入」に乗り出すことが目に見えている。
これでは、売り方は売るに売れないし、さりとて、突然行われる介入をアテにして、米ドル/円を買って待つことも難しい。
それに、これまでの下落の過程で大量の買いポジション(ロングポジション)が積み上がっており、「少しでも戻れば売ろう」と待ち構えている投資家がたくさん存在するため、買い方は買うに買えない。
米ドル/円は、にっちもさっちも行かない状態に陥っている。
それでも全体として見れば、ジワリ、ジワリと買い持ち(ロングポジション)がたまっているため、そう遠くない将来に「自重」でズルッと落ちる可能性が高い。
その時に「円売り・米ドル買い介入」が実施され、相場が動き出すだと見ている。
米ドル/円を取引するならば、自重で落ちるのを待ってから行うべきで、それまでは、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルなどに注目したほうがよい。
これらの通貨ペアは、米ドル/円とは打って変わって売買が活況な上に、取引材料も豊富なので、有効なトレードを模索することができるだろう。
どうしても対円にこだわるのであれば、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に集中したほうがよい。
■レジスタンスを上抜けると「買いシグナル」が点灯するが…
それでは、米ドル/円の分析に入ろう。引き続き、考え方は変わっていない(「9月FOMCで何が出ても円高・ドル安か。ただし、76~77円台では売る気にならない」を参照)。
2007年6月以来、ずっと「米ドル安・円高トレンド」が続いており、現在に至るまで、一度として転換したことはない。
まる4年もの間、「米ドル安・円高トレンド」のままであり、このことが大前提となる。当然のことながら、今現在も、トレンドは「米ドル安・円高」である。
しかし、目の前にある米ドル/円相場は、76~77円台での小動きに終始しており、その状態が8月上旬頃から続いている。まったく「やりようがない相場」であり、マーケットの与件を考えると、この状態は続きそうだ。
このような状態がいつまで続くのかはわからないが、ガマンして、辛抱強く次の展開を待つべきところだろう。
前述したように、現在は米ドル/円以外の通貨ペアで戦うほうが効率的だ。
米ドル/円の300本足(300週分)の週足チャートからご覧いただきたい。
現在のレジスタンスラインを緑の破線(太線)で示したが、米ドル/円は、2007年6月から現在に至るまで、ずっと、この緑の破線(太線)のレジスタンスラインに従っていることがわかる。
だから、週足チャートを見るかぎりでは、米ドル/円のトレンドは「米ドル安・円高」で変わっていないことになる。
しかし、米ドル/円がこの緑の破線(太線)のレジスタンスラインを明確に上抜ける場合は「買いシグナル」が点灯する。
この緑の破線(太線)のレジスタンスラインは、現時点ではまだ有効であり、上にブレイクされていないし、ブレイクされたこともない。現在のトレンドは「米ドル安・円高」のままで変化はない。
つまり、2007年6月から2011年10月に至るまでの4年以上の間、「米ドル安・円高トレンド」のままで、今のところ、一度も「反転のシグナル」を発したことがないということになる。
また、週足チャートには、大台である80.00円と、今のところの歴史的最安値である75.95円に水平線を引いた。節目の80.00円や、安値更新の場合のその新値水準は、大きく注目される。だから、便宜的にその水準を表示した。
しかし、誰もがすぐに相場の水準に慣れるため、80.00円といった数値(数字)は、すでに特別な意味がないと考えたほうがよいだろう。
さらに、便宜上の下値のラインとしてピンクの破線を加筆したが、現在の米ドル/円は、緑の破線(太線)のレジスタンスラインとピンクの破線にしたがって、一定のスピードで下落していると断言できる。
米ドル/円の週足チャートを見ると、今回の米ドル/円の下落の起点が2007年6月高値の124円台であることがわかる。それから4年以上もの間、このレジスタンスラインの傾きにしたがって、一定のスピードで下落を続けている。
なお、週足チャートで明確な「反転の兆し」というには、この緑の破線(太線)のレジスタンスラインを上抜ける必要を感じている。
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