■1.4246ドルの上にストップ・ロスを置いて、ユーロ売り!
直近のユーロ/米ドルは、1.3144ドルの安値をつけてから、一時は1.4246ドルの高値まで大きくリバウンド(反発上昇)した。だが、大局で考えて、これは下落途中の調整反発だと見ていた。
EU(欧州連合)首脳会議で、ユーロ圏の債務危機打開に向けた包括策が合意に達したことを材料に、10月27日(木)に節目の1.4000ドルを上抜け、その後もストップ・ロス(損切り)を巻き込んで急上昇した。
当初、10月23日(日)に予定されていたEUサミットが26日(水)に延期されるなど、事前の予測では、合意は難しいと見られていた。しかし、一転して合意に達したため、ユーロの買い戻しがストップ・ロス(損切り)を巻き込んだと見ている。
EUサミットでは、EFSF(欧州金融安定化基金)の融資能力を1兆ユーロに拡大させること、ならびに、銀行側との協議によってギリシャ国債の保有者が自発的に50%の損失を負担することが決まった。
ただ、これで問題がすべて解決したわけではない。
大局で見れば「ユーロ売り・米ドル買い」で戦うべきであるものの、10月27日(木)の時点では、一時撤退し、改めて、ユーロの売り場を探すところであった。
「売り場探し」でユーロを売るタイミングを探していたが、ユーロ/米ドルは、すぐに急落した。その結果、改めて「売りシグナル」が点灯したと考えている。
すぐに、少額でショートポジション(売り持ち)を作り、1.40ドル台、1.41ドル台までのリバウンド(反発上昇)がある場合は、その水準で「売り増し」のポジションを作る戦術でよいと考える。
ただし、ユーロのショートポジションを持つならば、今回の戻り高値である1.4246ドルを上抜けるようなときは、必ず、損切り(ストップ・ロス)を敢行する必要がある。
■ギリシャはすでに破綻し、デフォルトの状態にある
先週は、ギリシャのパパンドレウ首相が、「ギリシャ支援の包括案を受け入れるか、否か?」を、国民投票にかけると表明したことで、金融市場全般が混乱した。
結局、多方面からの反対によってギリシャの国民投票は行われないことになったが、金融市場全体が「ギリシャの国民投票」に振り回された印象がある。
また、フランスでG20サミット(20カ国・地域首脳会議)が開催されたが、ギリシャ問題に振り回されたため、具体的な合意はなされなかった。ただ、ギリシャ問題による混乱がなくても、何も具体的な合意はできなかっただろう。逆に、これが「よい言いわけ」になったとも感じられる。
さらに先週は、11月3日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会で、ユーロの政策金利を0.25%引き下げ、1.50%から1.25%に利下げすることも発表された。
事前予想は「据え置き」が多数だったので、予想外の利下げ、緊急の利下げと言えるだろう。
ただ、今のところは、この利下げに伴う大きな反応はない。今後のマーケットにおいて、影響が出てくると見ている。
ギリシャでは、パパンドレウ首相が辞任し、大連立政権を発足させ、ギリシャ支援の包括案を受け入れる方向でまとまっているようだ。
ところが、今回のギリシャ問題で混乱したこともあり、今度はイタリア国債が下落(利回りは上昇)し、新たな(さらなる?)「ユーロ危機問題」として、マーケットに認識され始めた。
ギリシャ問題は解決にはまだまだほど遠い状態で、債務危機問題がイタリアに波及すると、ますますひどい状態になる。
現段階では、多くの市場参加者がイタリアに波及しないことを願い(願望し)、波及しないと思っている(夢想している)のだろうが、現実問題としては、すでに波及していると筆者は見ている。
ちなみに、一般的なコメント・認識では、ギリシャはまだ破綻していないことになっている。
それは本当だろうか?
筆者は、他者がどう言おうと、ギリシャはすでに破綻し、デフォルト(債務不履行)の状態にあると判断している。
ギリシャ救済の包括案で、各金融機関が、保有するギリシャ国債の50%を債権放棄をすることが決まった。これは、デフォルト(破綻)以外の何ものでもない。
「ギリシャはデフォルト(破綻)していない」とするコメントは、明らかなウソであり、詭弁に過ぎない。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)