■2011年はユーロの材料で、マーケットが右往左往した
相場は常に難しいものだが、今年はとりわけ難しく感じた。
その主な原因はユーロにあったのだろうと考えている。
ユーロ/米ドルを例に取ってみよう。
ギリシャ危機が初めて取りざたされた2010年に、ユーロ/米ドルは大きく下落した。
ただ、この段階では、ギリシャ問題はいずれ解決するテーマであると、マーケットは甘く見ていた。そして、2011年に入り、ユーロの政策金利が引き上げられたことを材料に、ユーロ/米ドルは上昇トレンドに変わった。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
ところが、2011年の年央に突然ピークアウトして、トレンド転換した。
遅れてギリシャ危機が再燃し、燎原(りょうげん)の火のように欧州全体に拡大した。
これは、マーケットが事前にユーロ危機を察知し、売りに転じたと言えるのかもしれない。
そうした状況でも、ドイツやフランスをはじめとするEU(欧州連合)の動きは鈍かった。対症療法に終始して根本的な対策を打たなかったため、新たな材料が出るたびに、マーケットは右往左往した。
それが、相場を一層難しくしたと考えている。
■2012年は「優しい相場の始まり」になる
一方、米ドル/円については、1年を通じて下落トレンドが続いたものの、為替介入が相場を混乱させた。
1ドル=80円を切る相場では、介入警戒感が高まる。そのために売るに売れず、そうかといって、米ドル安・円高トレンドが持続している状況下では、介入をアテにして買うことも愚策であり、できなかった。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
人為的に相場が歪められ、非常にやりにくい状態が続いた。
そして、2011年12月下旬の現時点においても、そういった状態が続いている。
また、ユーロ/円も年前半は上昇が続き、途中でトレンド転換的な動きがあって、結果としてみれば売りだったというような、難しい展開だった。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 週足)
それでは、来年はどうなるのか?
筆者は「優しい相場の始まり」になるのではないかと期待している。
ただし、「優しい相場」であって「易しい(簡単な)相場」ではなく、市場参加者にとって「意地悪ではない」という意味であることにご注意いただきたい。
少なくとも、今年のような難しい相場つきは徐々に影を潜めていくのではないだろうか?
その前に、現時点は「クリスマス相場」であるために、相場は難しさを増している。ポジションをスクエア(ポジションなし)にして、来年に備えることを考えたほうがよい。
「休むも相場」である。
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