■11月の店頭FX取引額は3カ月ぶりの増加
社団法人金融先物取引業協会が2011年12月14日に「平成23年11月の店頭FX月次速報値」を発表した。これは、取引所FXではなく、店頭FX取引による11月の取引高および売建玉・買建玉の月末残高の速報値だ。
これによると、11月の全通貨ペアの円建て取引額は143兆4704億円(前月比8.9%増)と3カ月ぶりの増加となった。

次に、11月末のポジションについて確認すると、売建玉は1兆29億円(前月末比5.9%減)、買建玉は2兆2256億円(同16.4%増)となった。
そして、いわゆる「円キャリー額(円売建玉から円買建玉を差し引いたネットの円の売建額)」は1兆1989億円(同37.59%増)となった。円キャリー額の増加は2カ月ぶり。

ただし、11月の円キャリー額は、10月の減少(前月末比53.74%減)からは若干持ち直したものの、引き続き、低水準となっている。
■特に変動の目立つ通貨ペアは?
次に、通貨ペア別に円ベースの取引金額を確認してみよう。

通貨ペア別に円ベースの取引金額を見ると、主要な12通貨ペアのうち前月より減少したのは次の5通貨ペアだ。米ドル/円(前月比14.0%減)、英ポンド/円(同9.8%減)、NZドル/円(同5.2%減)ユーロ/スイスフラン(同9.9%減)、加ドル/円(同7.3%減)。
一方、前月からの増加の特に目立つ通貨ペアとしては、ユーロ/米ドル(同39.6%増)、豪ドル/米ドル(同51.1%増)、英ポンド/米ドル(同16.3%増)の3通貨ペアが挙げられる。これらは2ケタの増加率だった。
そこで、この3通貨ペアを中心に、ポジション動向を円ベースの金額で確認してみた。
■売り建てでは豪ドル/米ドルが3ケタの大幅増加!
売り建て(ショートポジション)では、豪ドル/米ドル(前月比244.9%)が3ケタの増加率、ユーロ/米ドル(同44.5%増)、英ポンド/米ドル(同19.5%増)が2ケタの増加率だった。

なお、このほかの通貨ペアでは、米ドル/スイスフラン(同43.4%増)、ユーロ/スイスフラン(同32.7%増)、豪ドル/円(同14.4%増)の3通貨ペアが2ケタの増加率だった。
また、減少で目立ったところでは、スイスフラン/円(同46.1%減)、米ドル/円(同31.3%減)、英ポンド/円(同24.5%減)、加ドル/円(同10.9%減)の4通貨ペアが2ケタの減少率となっている。
■買い建ても豪ドル/米ドルが714%増とケタ違いの増加率!
次に、豪ドル/米ドル、英ポンド/米ドル、ユーロ/米ドルの3通貨ペアについて、買い建て(ロングポジション)の動向を確認すると、豪ドル/米ドルが前月と比べて714.1%増という極めて大幅な増加率となったほか、英ポンド/米ドル(前月比229.8%増)も3ケタの増加率。
また、ユーロ/米ドル(同61.2%増)が2ケタの増加率だった。

このほかの通貨ペアでは、スイスフラン/円(同53.3%増)、NZドル/円(同51.6%増)、ユーロ/円(同20.3%増)の4通貨が2ケタの増加率だった。
なお、前月からポジションが減少した通貨ペアは、米ドル/円(前月比7.3%減)、ユーロ/スイスフラン(同21.1%減)、米ドル/スイスフラン(同15.0%減)のみだった。
こうしてみると、豪ドル/米ドル、英ポンド/米ドル、ユーロ/米ドルの3通貨ペアは、売り建て・買い建てとも、ほかの通貨ペアとの比較で、大きく増加していることがわかる。
特に、豪ドル/米ドルは、売り建て・買い建てともに3ケタの増加率だ。
そこで、豪ドル/米ドルのチャートを確認してみると…
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