■「ボックス相場」を下抜けた場合のターゲットを達成した
「フェイル(だまし)」であるのか、否かは、後でわかることで、その時点ではわからない。
だから、ここは「フェイル(だまし)」であろうとも、「売り」でついて行くところだ。
こういったケースでは、ストップ・ロス(損切り)がついて実損が出るだろうが、それでよい。個人的には、こういったところで損を出さないと、利益も出せないと考えている。
日足チャートを見てのとおり、7~8月の夏休み相場を経て、9月上旬に1.3968ドルを割り込み、その時点で「売りシグナル」を発した。
さらに、7月12日(木)安値1.3836ドルをも割り込み、安値更新の時点で、再び「売りシグナル」を発したことになる。
1.3836ドルを割り込んでから、ユーロ/米ドルは1.31ドル台まで下落した。しかし、ターゲットである1.29ドル台には届かずに反転した。
調整反発の上値メドとして、日足チャートに示した1.3968ドル(あるいは1.4000ドルレベル)を見ていたが、現地時間10月26日(水)のEU首脳会議で、ユーロ圏の債務危機打開に向けた包括策が合意に達したことを材料に、節目の1.4000ドルを上抜けた。
この時点では、売り方はいったん損切りを敢行し、改めて売り場を探すところだった。
大局での「ユーロ売り戦略」に変化はないが、最近のユーロ/米ドルは、欧州債務危機に関する材料で大きく振幅しており、無理をするのは危険だ。
ところが、日足チャートに示したように、緑の破線で示した短期のサポートラインを割り込み、「売りシグナル」を発した。
あまりにもアップダウンが激しく、右往左往するが、ここは「ユーロ売り」でついて行くところだった。
これだけ振幅が激しいのだから、改めて、1.41ドル台や1.42ドル台があれば、そこも売る覚悟がないと、サポートラインを割り込んだ1.38ドル台で売るのは難しい。ストップ・ロスは、今回の戻り高値である1.4246ドルよりも上に置く必要があった。
(出所:米国FXCM)
また、1.41ドル台や1.42ドル台、あるいは1.40ドル台でも売ることができるように、ポジションをコントロールするべきだ。
1.38ドル台で再度「売りシグナル」を発したが、ストップ・ロスは1.42ドル台に置かざるを得ず、かなり遠い。よって、1.42ドル台にストップ・ロスを置くにふさわしい水準でも売れるように、ポジションをコントロールするべきであった。
なお、ユーロ/米ドルは、2011年12月14日(水)に節目の1.3000ドルを割り込み、1.2945ドルまで下落した。
これにより、下値が1.39ドル台ミドル、上値が1.49ドル台ミドルの青の破線で囲んだ「ボックス相場」を下抜けた場合のターゲットを完全に達成したと判断している。
■大勢は「ユーロ安・米ドル高」のトレンドで変わらない
続いても、ユーロ/米ドルの日足チャートをご覧いただきたい。
ギリシャなど欧州の不良債権問題には、いろいろと対応策が出ている。だが、関係各国や関係機関の思惑が一致せず、根本的な解決策とならないものばかりだ。
現地時間10月26日(水)のEU首脳会議で、ユーロ圏の債務危機打開に向けた包括策が合意に達したことで、目先の状況は変わったが、それも根本的な解決策にはならなかった。
ギリシャ問題を解決できなければ、欧州の不良債権問題はイタリアや周辺国に拡大する可能性が高い。その旨、このコラムでも何度も記述してきたが、実際にイタリアや周辺国にも波及した。
結論を言えば、ギリシャ問題は解決できない。基本的には、「ユーロ売り・米ドル買い」の方向でポジションを作るべきだ。
(出所:米国FXCM)
ユーロ/米ドルはEU首脳会議後の10月27日(木)に損切りを巻き込み、吹き上がった。これにより、様子を見て、改めて、売り場を探すべきだと考えていたが、相場の変化が速いのには驚いている。
だが、相場は待ってくれない。
昨年10月31日(月)時点で、ユーロ/米ドルは改めて急落しているのだから、ついて行かざるを得ない。ここは勇気を持って、「ユーロ売り」を行うしかなかった。
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