米ドル/円は、想定されるレンジ内での小動きが続いており、「やりようがない相場」「手の出しようがない相場」が2011年夏頃から続いている。
2011年から2012年へと新しい年に変わったが、考え方に変わりはない(「10月の介入当日のレンジにとどまり続けるドル/円。クリスマス相場で参入見送りか」など参照)。
こういった相場が続くとイライラするが、「やりようがない相場」とは、イコール「やらないほうがよい相場」でもある。ガマンして手を出さず、心を落ち着けて、相場が変わるのを待つことが肝要だ。
「まったく、つまらない相場だ!!」というのが私自身の本音である。だから、前述したことは、私が自分自身に言い聞かせている言葉でもある。
半年以上も変わりはないが、いずれ、相場は必ず動き出す。それまではじっとガマンだ。
大半の市場参加者が「どうせ動かないよ」「どうせ大した相場じゃないよ」などと言い出したら、チャンスが近づいている兆しである。
当コラムでのコメントは従来と同じで、特段に目新しい内容はない。とても残念に思うが、何もないときには「何もない」とお伝えすることが正しいと考えている。
■介入が行われても、米ドル/円のトレンド転換はなかった
まずは、米ドル/円の週足チャートからご覧いただきたいが、2007年6月以来、ずっと「米ドル安・円高トレンド」が続いており、現在に至るまで、一度として転換していないことが読み取れる。
まる4年以上もの間、「米ドル安・円高トレンド」のままであり、このことが大前提となる。当然のことながら、今現在も、トレンドは「米ドル安・円高」である。
2011年は、G7(主要7カ国)の協調介入や日本の単独介入が実施された。昨年10月31日には日本の当局による「円売り・米ドル買い」介入が行われたが、今のところ、トレンド転換を示すシグナルは出ていない。
(出所:米国FXCM)
週足チャートに、現在のレジスタンスラインを緑の破線(太線)で示したが、米ドル/円は、2007年6月から現在に至るまで、ずっと、この緑の破線(太線)のレジスタンスラインに従っていることがわかる。
だから、週足チャートを見るかぎりでは、米ドル/円のトレンドは「米ドル安・円高」で変わっていない。
しかし、米ドル/円がこの緑の破線(太線)のレジスタンスラインを明確に上抜ける場合は「買いシグナル」が点灯する。
ただ、「買いシグナル」が点灯しても、トレンド転換が起きたとは言えない。今までのレジスタンスラインの傾きが緩やかになるだけで、トレンド転換が起こらない場合もあり得るためだ。
■引き続き、86.00円を明確に上抜けられるかに注目
次に、米ドル/円の日足チャートをご覧いただきたい。
(出所:米国FXCM)
米ドル/円は、昨年3月のG7による協調介入をきっかけに上昇が続き、チャートポイントであった84.50円を4月上旬に明確に上抜け、それからすぐ に85.50-55円の高値をつけた。そのため、この84.50円はチャートポイントではなくなった。
この時点では上昇傾向が強く、次のターゲットとして、2010年9月15日に行われた日本の当局による単独介入の際につけた85.94円の高値が意識された。
つまり、昨年4月上旬の時点では、チャートポイントの85.94円を明確に上抜けられるか、否かに注目が集まっていた。
ちなみに、為替レートのチャートポイントというのは正確な数値ではない。だから、目安(メド)として、86.00円を明確に上抜けるかが注目された。
しかし、米ドル/円は85.94円(86.00円)に届くことなく下落に転じており、目先の高値は2011年4月6日につけた85.50-55円となった。
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