相変わらず、米ドル/円は想定されるレンジ内での小動きに過ぎない。「やりようがない相場」「手の出しようがない相場」が、2011年夏ごろから続いている(「なぜ、ドル/円はやらないほうがよいのか?答えは介入以降の『はらみ寄せ』にあり!」を参照)。
この「やりようがない相場」は、イコール「やらないほうがよい相場」である。
我慢して手を出さず、心を落ち着けて、相場が変わるのを待つことが肝要と、自分自身に言い聞かせている。
■「覆面介入」が判明し、「参加しないほうがよい相場」に
直近の値動きを見ると、78.00円を上抜けた際に短期のレジスタンスラインをブレイクしたように見えたが、結局のところ、再び76円台前半まで下落している。
78.00円を上抜けた際に「買いシグナル」点灯と判断して買った人が、76.50円割れで損切り(ストップ・ロス)を強いられた格好だ。
このような短期のレジスタンスラインは、『明確に』上抜けたと判断できるか、否かが重要である。結果として、今回の78.00円の上抜けは「買いシグナル」ではなかったということになる。
つまり、今回の「上値トライ」(=78.00円を上に抜けたこと)を踏まえると、「買いシグナル」は79円台ミドルを明確に上に抜ける場合であって、当面のところ、78円台では「買いシグナル」にはならないと見ている。
また、安住財務大臣が「覆面介入(隠密介入)」について言及した。具体的な水準や金額は正確にはわからないが、実施されたということは確認できた。
目先の相場では、76.00円レベルを安値に底堅い値動きになっているが、この底堅さも「覆面介入」である可能性が高い。
日本の介入によって、米ドル/円の相場は歪められている。本来の値動きではないので、相場を読むことは非常に難しい。
介入によって、ますます「参加しないほうがよい相場」になったと言えるだろう。
■「買いシグナル」点灯でも相場は動き出さなかった
まずは、米ドル/円の日足チャートからご覧いただきたい。
『従来の短期のレジスタンスライン』を緑の破線(細線)で表示したが、2011年10月31日(月)に行われた日本の当局による「円売り・米ドル買い」の単独介入で、上にブレイクした。
その結果、『短期のレジスタンスライン』は、青の破線で表示したラインに、上にシフトしたと判断している。
この2011年10月31日(月)の介入で『従来の短期のレジスタンスライン』を上にブレイクしたことから、その時点で、米ドル/円は「目先の買いシグナル」を発して上昇した。
しかし、トレンド転換は起こらず、新たなレジスタンスラインとして青の破線が出現したのだろう。
(出所:米国FXCM)
直近の値動きを見ると、改めて引き直した青の破線のレジスタンスラインを、『少しだけ』上抜けた。
しかし、相場は動き出さなかった。チャートポイントを上抜けた時のように、上昇しなかった。
青の破線のレジスタンスラインを上抜けて「買いシグナル」が点灯したのだから、本来ならば、もっと力強く上昇してもよいはずであった。それなのに、そういった値動きにはならなかった。
■79.53円を上抜けるまで「買いシグナル」は点灯しない!
また、この2011年10月31日(月)が母線となって、「はらみ寄せ」を形成している。母線のレンジは、高値は79.53円、安値は75.32円だ。
「はらみ寄せ」の「買いシグナル」は母線の高値を上抜ける場合であり、今のところは、79.53円を上抜けるまで「買いシグナル」は点灯しないと判断している。
そこで、改めて引き直した青の破線のレジスタンスラインの傾きを、今回の高値水準に合わせて、少し上方にシフトさせている。
日足チャートを見てもわかるように、単独介入であろうとも、「円売り・米ドル買い」の介入が実施されれば、米ドル/円は上昇する。
しかし、そういった値動きを期待しての「米ドル買い」は愚策であり、介入を期待しての「米ドル買い・円売り」はダメだ。
いつ、どういったタイミングで介入が実施されるのか、事前には、誰にもわからない。日本の財務省や日銀の介入担当者でさえ、事前にはわからないことなのだ。
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