ユーロ/米ドルについて、基本的な考え方を変える必要はない。
「ユーロ売り」で戦うべきだと考えている(「ユーロ/ドルに0.8ドルまで下落の可能性!それを想定しておくのは無意味ではない」など参照)。
ごく目先の値動きでは、いったん「買いシグナル」を発したが、短期のサポートラインを再び割り込んだことで「売りシグナル」を発した。今現在は「売りシグナル」が有効である。
大局的見地からは「ユーロ売り」で戦うべきであり、このように考えている旨、このところのこのコラムでも、繰り返し、何度もご説明させていただいている。
■直近のユーロ上昇は「調整の反発」に過ぎない
まずは、ユーロ/米ドルの週足チャートをご覧いただきたい。
ユーロ/米ドルは2011年4月上旬に、赤の破線で示した中長期のレジスタンスラインを上抜け、その時点で「買いシグナル」を発した。赤の破線(細線)は赤の破線(太線)の平行線である。
だが、2011年5月5日以降は大きく急落し、中長期のレジスタンスラインとして、青の破線(太線)が改めて出現した。青の破線(細線)はその平行線である。
(出所:米国FXCM)
俯瞰(ふかん)して見ると、ユーロ/米ドルは2010年6月安値の1.18ドル台を起点に、ピンクの破線(太線)で示したサポートラインに沿って上昇した。なお、ピンクの破線(細線)はピンクの破線(太線)の平行線である。
結局、ユーロ/米ドルは、青の破線(太線)のレジスタンスラインとピンクの破線(太線)のサポートラインに挟まれて、大きな「三角保ち合い(ウェッジ)」を作っていたと言える。
そして、2011年9月9日に、このピンクの破線(太線)のサポートラインを下に割り込んだ。つまり、ピンクの破線(太線)を明確に下に割り込んだので、「売りシグナル」が点灯した。
ユーロ/米ドルはその後、「売りシグナル」のとおりに1.31ドル台まで大きく下落したが、2011年10月下旬に、ユーロ危機に対する包括案が合意に達したことを材料にして、1.42ドル台まで急騰した。
だが、大局で見れば、週足チャートに表示した青の破線のレジスタンスラインを上抜けない限り、トレンドは変わらない。
1.42ドル台まで急反発したものの、2011年10月31日に1.38ドル台まで急落したことによって、改めて「売りシグナル」を発したと考えている。
その後も下落が続き、1.26ドル台まで急落しており、シグナルどおりに動いたと言えるだろう。
目先では、1.26ドル台を見てから大きく反発上昇しているものの、今のところ、これは調整の反発に過ぎないと考えている。改めて、トレンドに従って下落するだろう。
■「ヘッド&ショルダー」が完成する可能性が高まった!
続いても、ユーロ/米ドルの週足チャートをご覧いただきたい。
ユーロ/米ドルは中長期のチャートの形状から「ヘッド&ショルダー(※)」の可能性を考えていたが、ユーロが1.18ドル台から大きく上昇しているので微妙になっていた。
だが、その後の値動きにより、今現在で見れば、「ヘッド&ショルダー」が完成する可能性は高まった。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
(出所:米国FXCM)
2011年5月4日の高値である1.4940ドルが右肩の高値となるケースを想定して、「ヘッド&ショルダー」の「3つの山」が示唆されている。
「ヘッド&ショルダー」は、それが完成した時点で粛々と対応すればよいのだから、現時点でも「ヘッド&ショルダー」を想定するのは時期尚早なのだが…。 完成するまでは、時期尚早状態が続くこととなる。
「ヘッド&ショルダー」はネックラインを明確に割り込んだ時点で対応するべきで、「ヘッド&ショルダー」を作るかもしれないといった予見(予測)でポジションを取ると、失敗することがよくある。
しかし、当初考えていたパターンよりも、完成する時期は大きく先送りされたものの、「ヘッド&ショルダー」が完成する可能性は十分に高いと考えている。繰り返しとなるが、「ヘッド&ショルダー」は、それが完成した時点で粛々と対応すればよい。
なお、右肩の高値である1.49ドル台ミドルから、すでに大きく下落しているが、ここからネックラインの1.2300ドル、または、1.1850ドルを下に割り込む場合は、さらに急落する可能性が高くなる。すなわち、「売りシグナル」が点灯するということになる。
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