ユーロ/円は、97円台の安値をつけてから、大きく反発して111円台まで上昇した。
筆者はそれまで、基本的には「ユーロ売り・円買い」で戦うべきだと考えていたことから、この急反発は想定していたよりも大きいと感じた。したがって、これは調整ではなく、トレンド転換の可能性も出てきたと考えた(「方針変更! ユーロ/円が112円台乗せなら勇気を持って『ユーロ買い・円売り』!」を参照)。
もちろん、トレンドが転換しない場合もあり得るため、この時点では、非常に判断が難しい局面にあった。
しかし、先週の4月5日(木)に、日足チャートで、改めて「売りシグナル」を発したと考えている。
■111円台ミドルのチャートポイントを上抜けられなかった
欧州の不良債権問題は解決に向かっておらず、引き続き、ユーロに関しては否定的に見ている。これまで、ユーロ/米ドルについては、下落方向との見通しを維持してきた(「米金融緩和の継続は新材料とはならない。1.33ドル乗せでも、ユーロは戻り売り戦略!」など参照)。
目先の値動きでは、ユーロ/円は111円台の高値を見ている。
しかし、2011年10月31日の介入の際につけた高値である111円台ミドルを上抜けることができなかったため、4月5日(木)に「売りシグナル」を発したと考えている。
この111円台ミドルはチャートポイントである。今のところ、これを上抜けることができずに下落に転じている。
まずは月足チャートで、ユーロ/円の長期のトレンドをご確認いただきたい。
(出所:米国FXCM)
ユーロ/円は、2008年に170円、正確には169.95円の高値をつけてから、
下落に転じた。
そして、まだ明確な判断はできないものの、月足チャートで見るかぎりでは、2008年の高値を起点としたレジスタンスラインを上抜けたと読み取れる。
もちろん、このレジスタンスラインを上抜ける場合は、下落トレンドから上昇トレンドに転換する可能性が出てくるということを意味する。
この月足チャートには、従来のレジスタンスラインを緑の破線で、そして、今回の高値に合わせたレジスタンスラインをピンクの破線で示した。
ユーロ/円が緑の破線を上抜けても、すぐに激しく上昇していくのではなく、しばらくの間、横ばいに推移する可能性がある。その場合は、今回表示したピンクの破線のレジスタンスラインが有効である可能性が高くなる。
なお、月足チャート、ならびに、下に示した週足チャートを見ると、すでにレジスタンスラインを上抜けて、ユーロ/円が下落トレンドから上昇トレンドに転換したようにも見える。
しかし、日足チャートを見ると、4月5日(木)に、改めて「売りシグナル」を発したと見ることができる。現時点では、上昇トレンドに転換していないと考えるべきであろう。
■2011年3月の協調介入で、相場の流れが変わった
続いて、ユーロ/円の週足チャートをご覧いただきたいが、2006年半ばから2008年半ばにかけて、下限が149円レベル、上限が170円レベルの「ボックス相場」を形成したことが読み取れる。
この「ボックス相場」は結果的に「ヘッド&ショルダー(※)」を完成させ、その後の大暴落(クラッシュ)の原因となった。週足チャートには、この「ボックス相場」をピンクの枠で表示している。
また、2008年の大暴落(「ヘッド&ショルダー」のクラッシュ)の後、2008年後半から2010年4月まで、ユーロ/円は上限が140円レベル、下限が112円レベルの「ボックス相場」を形成した。週足チャートには、その上限と下限を青の枠で表示している。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
(出所:米国FXCM)
その後、2010年5月に下限の112.00円を下に割り込んだことで、ユーロ/円は再び「売りシグナル」を発した。「ボックス相場」を下抜けたのだから、さらなる急落があっても不思議ではない状態が続いた。
しかし、112.00円を割り込んでからのユーロ/円は、2010年4月ないし5月頃から2011年3月28日に至る期間、今度は下限が105円レベル、上限が116円レベルの「ボックス相場」を形成した。週足チャートには、その下限と上限を緑の枠で表示している。
その後、ユーロ/円は2011年3月29日に上限の116.00円を上抜けて、この時点で「買いシグナル」を発した。
筆者は、ユーロ/円の大きな下落トレンドを踏まえて、下限の105円を下抜ける可能性のほうが高いと考えていた。だが、2011年3月にG7(主要7ヵ国)による協調介入が行われたため、相場の流れが変わった。
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