■米ドル/円はスクエアにして、次の展開を見極めるところ
まずは、米ドル/円の1時間足チャートからご覧いただきたい。
米ドル/円は、下値の79.50円近辺がサポートになっていた。セオリーでは、この79.50円近辺を「明確に」下に割り込む場合、米ドル/円のロングポジション(買い持ち)は、いったん損切りを敢行すべきとなる。
そして、5月17日(木)のニューヨーク市場で、「明確に」79.50円を割り込んだ。正攻法でロングポジションを持ち、ストップ・ロス・オーダー(損切り注文)を79.30-40円に置いていた場合は、それが遂行された。
今は、損切りをいったん敢行し、目先はスクエア(ポジションなし)にして、次の展開を見極めるところである。
(出所:米国FXCM)
米ドル/円が、5月17日(木)のニューヨーク市場で急落したのは、米国の経済指標がきっかけである。
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、市場予想のプラス予想に反して-5.8となり、昨年9月以来のマイナスとなった。また、同時に発表された米景気先行指数も、昨年9月以来となる前月比マイナスとなった。
これを受けて「米ドル売り」となったが、それは対円(米ドル/円)に集中した印象だ。対ユーロ(ユーロ/米ドル)では目立たなかった。
米ドル/円に集中したのは、79.30-40円に観測されていたストップ・ロスを付けに行ったのだろう。
■どこまで下押しをするのか、今は確認すべき段階
79.30-40円のストップ・ロスが付くか、付かないかは、事前には誰もわからない。
相場のキワ(際)(=攻防の分岐点)でウジウジとした相場つきだったため、正直なところ、イライラしたが、ここはガマンして、じっと待つことが大事である。
相場は、必ず答えを出してくれる。自分で判断するのではなく、答えが出るまで待つということだ。
このような相場つきで最も良くないのは、コロコロと考えを変えて、ドタバタ(ジタバタ)と売ったり、買ったりすることである。考え方を決めたら、明確な答えが出るまで、動くべきではない。
そして、結論が出た。79.30-40円のストップ・ロスが付いたため、事前に考えていたとおり、以下の対応をすべきと判断する。
米ドル/円をロング(買い持ち)にしている場合、下値の79.50円近辺を「明確に」下に割り込んだら、「損切り」を敢行する。その後、どこまで下押しをするのか、様子見に転じるべきである。
■目先で80円台に乗せたが、底値を確認とはまだ言い難い
ごく目先の値動きでは、一時は79.00円を割り込み、78円台を見ている。この78円台後半が目先の安値になる可能性もあるだろう。
そのように考えて、この目先の安値にストップ・ロスを置いて、少額で「米ドル買い・円売り」とするのも、戦術の1つだと考えている。
ただし、底値を確認したとはまだ言い難い。78円台後半にストップ・ロスを置いて「買う」戦術は、見切り発車的なギャンブルと言える。
「相場は、しょせんギャンブルに過ぎない」と考えるならば、この78円台後半が目先の安値になる可能性に賭けることも、可(よし)である。ただし、その場合でも、新値更新となったら、すぐに損切りを敢行すべきである。
当面のセオリーとしては、79円台ミドルを「改めて」上抜けて、さらに80.00円も「明確に」上抜けることを確認してから、「買い場」を探すのがよいだろう。それが確認できれば、79.00円を割り込んでから付けた78円台後半が、目先の底値だったと断定することができる。
目先で、米ドル/円は80.00円を上抜けたが、現状は、まだ「明確に」とは言えないと考えている。
もちろん、底値を確認してから買い出動するのでは、良いコストでの「買いポジション」にはならない。良いコストで買うことができなければ、大した利益にはならない。
しかし、小さい利益を狙うことになるものの、同時に、リスクも小さくすることができる。
ここで「見切り発車をするか、否か」は、個々の投資家が、相場にどう臨むか、どう臨みたいかによる。
では、次のページから、月足、週足、日足の順にご覧いただこう。このうち、月足と週足のコメントは、このところのものと同じである。
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