■79.50円のサポートを割り込んだ米ドル/円
米ドル/円は下値79.50円近辺がサポートになっていたが、セオリーでは下値79.50円近辺を「明確に」下に割り込む場合は、米ドル/円のロング(買い持ち)はいったん損切りを敢行するべきところであった。
そして、2012年5月17日(木)のニューヨーク市場で、明確に79.50円を割り込んだ。
正攻法で、米ドル/円をロング(買い持ち)にして、ストップ・ロスを79.30-40円水準に置いていた場合は、この時点(5月17日)でそのストップ・ロスが遂行された状態だ。
いったん損切りを敢行したその後は、目先はスクエア(ポジションなし)にして次の展開を見極めるところ、と考える。
2012年5月17日(木)以降の値動きでは、一時、79.00円を割り込み、78円台を見ている。この78円台後半が目先の安値になる可能性もあった。
この目先の安値(あるいは安値の少し下)にストップ・ロスを置いて、少額の「米ドル買い・円売り」を行うのも、戦術の1つであると考えた。
ただし、この時点ではまだ底値を確認したとは言い難く、78円台後半にストップ・ロスを置いて「買う」戦術は、見切り発車的なギャンブルと言える。
「相場はしょせんギャンブルにすぎない」と考えるならば、この78円台後半が目先の安値になる可能性に賭けることも、可(よし)である。ただしその場合には、新値更新ですぐに損切りを敢行すべきだ。
そして結局、78円台後半を下に抜けて目先の安値を更新したので、上述のギャンブルは失敗に終わっている。
■三角保ち合い(ウェッジ)を下抜けした米ドル/円
ここで、米ドル/円の1時間足チャートをご覧いただきたい。
下の1時間足チャートには、補助線を描いて「三角保ち合い(ウェッジ)」を表示している。
(出所:米国FXCM)
このウェッジは時間の問題で、いずれ必ずどちらかに抜けるのが明白であったが、上に抜けても80円台ミドルがレジスタンスで待ち構えているし、下に抜けても78円台後半がサポートになっていた。
80円台ミドルを明確に上に抜ける場合が「買いシグナル」、78円台後半を明確に下に抜ける場合が「売りシグナル」である。
よって、現状は短時間のチャートで見る限りでは、78円台後半を明確に下に抜けて、「売りシグナル」が発せられた状態になっている。
現状をどう考えるかであるが、米ドル/円に関しては、「目先はスクエア(ポジションなし)にして、次の展開を見極める」に徹した方が良いと考えている。
■ユーロ/円の下落が米ドル/円に影響を及ぼした
今回の米ドル/円の下落の原因に、「ユーロ/円下落の影響」がある。
「ユーロ/円の下落」は、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落の引鉄(ひきがね)になっており、英ポンド/円や豪ドル/円も、大きく下落している。
このようなクロス円での「売り」が、米ドル/円の「売り圧力」になっている。
クロス円の下落傾向はまだ収まっておらず、引き続き米ドル/円に「売り圧力(プレッシャー)」を与える、と考える。そう考えると、米ドル/円の取引は、目先では敬遠した方が良いと判断する。
■1時間足ではらみ寄せを形成するもセオリーどおりにいかず
米ドル/円相場は、2012年6月1日(金)の米国雇用統計(米国失業率)を材料に、短時間で(=1時間で)、「安値77円台後半程度~高値78円台後半程度」の大きな上下動を示している。
(出所:米国FXCM)
その後の1時間足チャートは、「安値77円台後半程度~高値78円台後半程度」のレンジ内にスッポリと収まっているので、その形状から言えば「はらみ寄せ」を作っていた。
よって、「はらみ寄せ」のセオリーに従うのならば、
・「安値77円台後半程度」を下に抜ける場合は「売り」
・「高値78円台後半程度」を上に抜ける場合は「買い」
となる。
上のチャートを見てわかるとおり、「はらみ寄せ」の高値を上に抜けたので、目先「買いシグナル」を発したのだが、「ピンクの破線」で示した78円台後半で上値を抑えられた形になっている。
よって、78円台後半を明確に上に抜けて79円台に乗せる場合は、改めて「買いシグナル」と考える。
ただし、こういった「はらみ寄せ」のセオリーは、短時間のチャート分析では外れるケースも多々ある。
つまり、このようなセオリーは日足チャートやもっと長期のチャートで使うべきで、1時間足チャートの場合は、あくまでも目安として意識する程度のものなのだ。
では、次のページから、月足、週足、日足の順にご覧いただこう。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)