■月足チャートでは上昇トレンドに転換したかにも見えるが…
まずは月足チャートで、中長期のトレンドを確認していただきたい。
2007年6月の高値124円台から始まった米ドル/円の下落トレンドを示すレジスタンス・ライン(一番右の緑の破線)を、上に抜けたことが読み取れる。
現在の月足チャートを見る限りでは、下落トレンドから上昇トレンドに、トレンドが転換したと言える(ただし、米ドル/円が今回の安値75.32円を下に抜ける、つまり新値を更新すると、上述は明確に否定される)。
しかし、以下の2点に気をつける必要がある。
1点目は、米ドル/円が現時点での高値程度(つまり84円程度)、ないしは、高値85~86円程度をつけて、それから下落に転じる場合は、中長期のレジスタンス・ラインの傾きが緩やかになるだけで、下落トレンドから、上昇トレンドに転換しないケースもあり得るということだ。
2点目は、現時点で「下落トレンドから、上昇トレンドに転換した」と仮定しても、その上昇トレンドを示すサポート・ラインを引くことがまだできない。つまり、「下落トレンドから、上昇トレンドに転換した」と仮定しても「その上昇のスピードは、まだわからない」ということだ。
■新たなレジスタンス・ライン出現の可能性も
上の月足チャートをご覧いただくとわかるとおり、「ピンクの破線」で新たな中長期のレジスタンス・ラインを加筆した。
個人的には「このラインは、時間が経過するとなくなるのではないか?」と考えているが、現時点ではまだはっきりしないので、描かないこともまた恣意的にすぎると考え、表示した。
■80.00円超えなら調整反落を気にしつつ「買い」でついていく
次に、週足チャートをご覧いただきたい。これ見ると、明確に「レジスタンス・ラインを上に抜けた」と言える。
(出所:米国FXCM)
この値動きで「レジスタンス・ラインを上に抜けた」と判断するべきか? それとも、レジスタンス・ラインの傾きをもう少し緩やかにして、「まだ上に抜けていない」と判断するべきか?
私見だが、80.00円を上に抜けた時点で、「レジスタンス・ラインを上に抜けた」と判断している。
つまり、重要なチャート・ポイントだった79.53円と、同じく重要なチャート・ポイントだった80.00円を上に抜けていく場合は、勇気を持って、「買い」でついていく。ただし、「買い」でついていく場合は必ずストップ・ロスを置く、と考えた。
というのは、80.00円を明確に上に抜け、84円台にまで急騰したが、その値動きで、「76.00近辺から84円台に乗せるまでのスピードが、極端に速いこと」が、気にかかっていたからだ。
こういった状況では「いつ何時、いったんの調整反落があっても不思議ではない状態」と判断していた。
■4年半のドル安・円高トレンドが転換したかにも見えるが…
週足チャートで見ると、2007年6月以来、2012年2月上旬まで長きにわたり「ドル安・円高トレンド」が続いていた。
この「ドル安・円高トレンド」は、2007年6月から2012年2月上旬まで、一度として転換したことがなかった。
つまり、まるまる4年半以上の間、「ドル安・円高トレンド」が持続していたのだが、いよいよそれが転換した可能性が出てきた。
個人的にはすでに転換したのではないかと考えているのは、上記のとおりである。
上の週足チャートでは、レジスタンス・ラインを「緑の破線(太線)」で示している。
米ドル/円は、2007年6月からごく最近に至るまでずっと、この「緑の破線(太線)」のレジスタンス・ラインに従っていた。
この「緑の破線(太線)」のレジスタンス・ラインを明確に上に抜ける場合は、「買いシグナル」点灯である。
しかし、それがすなわちトレンド転換とは言い切れない。「緑の破線(太線)」で示した今までのレジスタンス・ラインの傾きが緩やかになるだけで、トレンド転換が起こらない場合もあり得ることにも留意する必要がある。
何度も繰り返すが、個人的にはすでにトレンド転換したと考えている。しかし、上記のとおり、今までのレジスタンス・ラインの傾きが緩やかになるだけで、トレンド転換が起こらない場合もあり得ることにも留意してほしい。
また、月足チャートにも表示したが、新たな中長期のレジスタンス・ラインを「ピンクの破線(太線)」で表示した。
このラインを引くべきなのか引かない方が良いのか、現時点で判断するのは難しいので、表示した次第である。
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