■週明けの相場はユーロ高・米ドル安で始まったが…
ユーロ/米ドルに関して、基本的な考え方はこれまでとまったく変わっていない。
2012年6月11日(月)のユーロ/米ドルは、6月8日(金)のニューヨーク・クローズと、まったく違う水準で始まった。しかし、基本的な考え方を変える必要はないと判断している。
まず、下のユーロ/米ドル1時間足チャートをご覧いただきたい。これを見ると、「窓(Gap)」を空けて上昇しているように見えるところが3カ所ある。
(出所:米国FXCM)
しかし、これらのパターンは3つとも「窓(Gap)」ではない。日足チャートで見ればはっきりするが、このパターンでは「窓」にならないのだ。
(出所:米国FXCM)
直近の値動きでは、ユーロ/米ドルは安値1.2300ドル割れ(1.2285-90ドルレベル)をつけて、反発上昇している。
この上昇は、このところの下落スピードが速かったので、その調整反発であると考える。
ユーロ危機を材料に、ユーロの売り持ちポジションがたまっている。そのためポジション調整で、ショート・スクイズ(売り持ち筋の買い戻し)が頻発したと考える。
■ユーロ圏のスペイン金融支援合意が相場を混乱させた?
冒頭で示した1時間足チャートを以下に再掲載するが、これには
・「短期のレジスタンス・ライン」(青の破線)
・「短期のサポート・ライン(1)」(ピンクの破線)
・「短期のサポート・ライン(2)」(ピンクの破線)
を表示している。
(出所:米国FXCM)
このところの展開では、「短期のレジスタンス・ライン」(青の破線)を上に抜けたので、調整の反発(上昇)が起こった。
そして、「短期のサポート・ライン(1)」(ピンクの破線)に従って上昇したのだが、この「短期のサポート・ライン(1)」(ピンクの破線)を割り込んで、目先の「売りシグナル」を発した。
ところが、2012年6月11日(月)のユーロ/米ドルは、絶対水準を上に変更して始まった。
そのため、目先の売り持ち(ユーロ売り・米ドル買いポジション)の、損切り(ストップ・ロス)をつけている。この時の高値は、1.26ドル台前半程度だ。
2012年6月9日(土)に、スペインは資本不足に陥った銀行の自力救済を断念し、ユーロ圏に金融支援を要請する意向を伝えた。
ユーロ圏はこれを受けて声明を出し、最大1000億ユーロ(約10兆円)の支援をすみやかに実施する方針を表明した。
このスペインの金融支援要請を材料に、2012年6月11日(月)のユーロ/米ドルは絶対水準を上に跳ね上げたのだが、マーケットの判断は混乱していると考える。
つまり私としては、「スペインの金融支援要請のニュースは、ユーロ売りの材料である」と考えている。
今回の値動きに説明をつけるならば、「最大1000億ユーロ(約10兆円)の支援をすみやかに実施することに注目して、一時ユーロ/米ドルは上昇した」と言えるのであろうが、「単に、マーケットにユーロ売りポジションがたまっていたので、スペインの金融支援を材料にその調整反発が起こっただけ」とも言えるのではないか、と考える。
このニュースで、ユーロ危機がついにスペインに波及したことが明らかになったのであるから、私はむしろ「ユーロ売り材料」と判断するべきだと考える。
続いて、月足、週足、日足と順にチャートを見ていくが、基本的な考え方はこのところとまったく同じであり、今のところ考え方を変えない方が良いと判断している。
つまり、大局で判断すれば「ユーロ売り」で戦うべき、と考える。
■「高値圏の乱降下」は一般的に「売りシグナル」
まずは、月足チャートからご覧いただきたい。
月足チャートで見ると、ユーロ/米ドルは、0.8500ドル近辺(安値は0.8200ドル近辺)から1.6000ドル近辺まで、大きく上昇している。
1.6000ドル近辺の高値をつけて以降は、安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンで、大きく上下動を繰り返している。
(出所:米国FXCM)
この「安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンでの大きな上下動」は、個人的には「高値圏での乱高下」だと判断している。
必ずというわけではないが、一般的に「高値圏での乱高下」は「売りのシグナル」である。
つまり、この大きな上下動はいずれネック・ライン(=下限)を下に割り込むことを示唆しているのだろう、と推測している。
当然ながら、このネック・ライン(=下限)は、1.2000ドル近辺のことで、ネック・ライン(=下限)を割り込む場合は、その後で大きく下落すると考えている。
チャートには、サポート・ライン(ピンクの破線)を加筆した。2007年頃から現在(2012年)に至るまでで、大きく、頻繁に、激しい上下動を繰り返したことを示すために、加筆した。
■1.26ドル台の安値を更新し、売りシグナル点灯
チャートが示しているとおり、ネック・ラインと想定する1.2300ドル程度を一時割り込み、安値は1.2285-90ドルレベルをつけている。
しかし、ネック・ラインは、1.1850~1.2300程度のゾーンのどこかにあると推測できるが、まだ明確にネック・ラインを割り込んだとは言えない状態が続いている。
ただし、月足チャートを見てわかるとおりに、1.26ドル台のこのところの安値を更新している。
1.26ドル台のこのところの安値を更新したその時点で、「売りシグナル」を発しており、その「売りシグナル」は、依然有効であると考える。
実際のマーケットでも、1.26ドル台前半程度がレジスタンスになっていると考える。
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