■ギリシャのユーロ残留が決定したが・・・
2012年6月17日(日)に、ギリシャの再選挙が実施された。
再選挙の結果、第1党となった緊縮支持派、新民主主義党(ND)幹部は、連立協議が合意に達し政権を樹立する旨を、6月19日(火)に発表した。
6月17日(日)のギリシャ再選挙の前は、ギリシャのユーロ離脱などの危機感があったが、とりあえずの一服感がマーケットにある、と感じる。
しかし、「何も変わっていない」。
目先、ギリシャのユーロ離脱がなくなっただけで、ギリシャが借金返済をしなければ(できなければ)、いずれ再びギリシャのユーロ離脱が話題にのぼるだろう。
ギリシャには、特段の産業がないのだから、借金返済のメドは立たない。
だから、とりあえずの一服感があるだけで、ユーロ危機の解決策はいまだに示されていない。
一方、スペイン国債は利回りが急上昇(価格は低下)し、スペイン10年物国債は、持続的な財政運営が困難になるとされる「危険水域」の7%台に、再び乗せた。
まったく、「何も変わっていない」。
だから、基本的な考え方は、まったく変わっていない(基本的な考え方を変える必要がない、と判断している)。
■ユーロ/米ドルはポジション調整気味に推移
まず、下のユーロ/米ドルの1時間足チャートをご覧いただきたい。
ギリシャの再選挙を2012年6月17日(日)に控えて、先週(6月11日~)のユーロ/米ドルは、総じてリバウンド気味に推移した。1.24ドル台~1.26ドル台程度で保ち合いに推移した、とも言える。
(出所:米国FXCM)
ギリシャ再選挙の結果は、当然ながら事前には誰にもわからない。
だから、先週(6月11日~)のマーケットは、ポジション調整気味に、特段のことは何もしないでお茶を濁した、と言える。
スペイン国債の利回りが、危険水準である7%を超えたことは、「ユーロ売り材料」だが、この材料を無視し、ギリシャ再選挙をにらんでポジション調整の「ユーロ買戻し」が起こった、と考える。
こういった値動きは、危険の前触れである場合が多々ある。
個人的な思惑であったが、ギリシャ再選挙の結果がどうであれ、再選挙後もギリシャの現在の問題は解決できないのだから、ギリシャ再選挙で、緊縮派が勝とうと反緊縮派が勝とうと、「少なくとも『ユーロ買いの材料』にはならない(=どちらかと言えば、『ユーロ売りの材料』である)」と、事前に考えていた。
ギリシャの再選挙が終わり、結果が出た後でも、まったく同様に考えている。
ギリシャの再選挙直後の、2012年6月18日(月)のアジア市場では、ギリシャのユーロ離脱を回避したことから、とりあえずの一服感が広がり、ユーロ/米ドルは、1.27ドル台に跳ね上がっている。
しかし、冷静に考えれば何も変わっておらず、何らの解決策も示されていないのだから、これまでと変わらず「ユーロ売り」で考えるべきである。
続いて、月足、週足、日足と順にチャートを見ていくが、基本的な考え方はこのところとまったく同じであり、今のところ考え方を変えない方が良いと判断している。
つまり、大局で判断すれば「ユーロ売り」で戦うべき、と考える。
■「高値圏の乱降下」は一般的に「売りシグナル」
まずは、月足チャートからご覧いただきたい。
月足チャートで見ると、ユーロ/米ドルは、0.8500ドル近辺(安値は0.8200ドル近辺)から1.6000ドル近辺まで、大きく上昇している。
1.6000ドル近辺の高値をつけて以降は、安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンで、大きく上下動を繰り返している。
(出所:米国FXCM)
この「安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンでの大きな上下動」は、個人的には「高値圏での乱高下」だと判断している。
必ずというわけではないが、一般的に「高値圏での乱高下」は「売りのシグナル」である。
つまり、この大きな上下動はいずれネック・ライン(=下限)を下に割り込むことを示唆しているのだろう、と推測している。
当然ながら、このネック・ライン(=下限)は、1.2000ドル近辺のことで、ネック・ライン(=下限)を割り込む場合は、その後で大きく下落すると考えている。
チャートには、サポート・ライン(ピンクの破線)を加筆した。2007年頃から現在(2012年)に至るまでで、大きく、頻繁に、激しい上下動を繰り返したことを示すために、加筆した。
■1.26ドル台の安値を更新し、売りシグナル点灯
チャートが示しているとおり、ネック・ラインと想定する1.2300ドル程度を一時割り込み、安値は1.2285-90ドルレベルをつけている。
しかし、ネック・ラインは、1.1850~1.2300程度のゾーンのどこかにあると推測できるが、まだ明確にネック・ラインを割り込んだとは言えない状態が続いている。
ただし、月足チャートを見てわかるとおりに、1.26ドル台のこのところの安値を更新している。
1.26ドル台のこのところの安値を更新したその時点で、「売りシグナル」を発しており、その「売りシグナル」は、依然有効であると考える。
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