■「高値圏の乱降下」が「天井」を示唆
続いて、ユーロ/米ドルの日足チャートをご覧いただきたい。
2011年5月上旬のユーロ/米ドルは、高値を更新して上昇していた。高値更新は、通常は「買いのシグナル」である。
しかし高値更新の際に、高値圏での乱高下に映る値動きが見られる。必ずではないのだが、「高値圏での乱高下」は天井を示唆するケースがある。
2011年5月上旬のケースでは、結論から言えば事前に察知したとおり、
「高値圏での乱高下が、天井を示唆していたのだ」と考える。
(出所:米国FXCM)
俯瞰すると、ユーロ/米ドルは、2011年3月ごろから9月上旬までの間
「下値1.39ドル台ミドル程度―上値1.49ドル台ミドル程度の約1000ポイントのボックス相場」を作っている。
チャートでは「ピンクの水平線」で、ボックス相場「1.3968ドル―1.4940ドル」を示している。
なお、下値1.39ドル台ミドル程度―上値1.49ドル台ミドル程度の約1000ポイントのボックス相場を「紫の破線」で囲み、表示した。
ユーロ/米ドルが、ボックス相場の下値1.3968ドルを明確に下にブレイクする場合は、「売りシグナル」点灯である。
「ボックス相場」を下に抜ける場合は、ボックスの高値と安値の値幅分、ボックスの下値から下落したところがターゲットになる。
よって、ボックス相場のセオリーに従うと、この場合のターゲットは1.29ドル台ミドル程度となる。
つまり戦術としては、「1.3968ドルを下に割り込んだ時点で『売り』となり、ターゲットは約1000ポイント下落したところ」となる。
■2011年7月の「売りシグナル」は典型的な「フェイル」
2011年7月12日に1.3968ドルを下に割り込んで、安値1.3836ドルをつけている。
1.3968ドルを下に割り込んだので、「売りシグナル」点灯と考えるが、ユーロ/米ドルはこの時点では、ギリシャ問題に対する対症療法的な政策で、1.3836ドルから大きく反発上昇している。
結果的に、7月中旬の「売りシグナル」点灯は、典型的な「フェイル(=だまし)」だったと考える。
もっとも、「フェイル(=だまし)」であるのか否かは後でわかることで、その時点ではわからない。
だから、2011年7月12日の時点では、「フェイル(=だまし)」であろうとも「売り」でついていくところであったと考える。
こういったケースでは、その後にストップ・ロス(損切り)がついて、実損が出るだろうが、それで良いと考える。
個人的には、こういったところで損を出さないと利益も出せない、と考えている。
■激しい上下に翻弄されるが「売り」でついていくところ
再掲載した以下の日足チャートを見てのとおり、2011年7月、8月の夏休み相場を経て、9月上旬に、1.3968ドルを割り込んだ。つまり、その時点で「売りシグナル」を発した。
そしてさらに、7月12日の安値1.3836ドルを割り込んでいる。1.3836ドルの安値を更新した時点で、再度の「売りシグナル」を発したことになる。
(出所:米国FXCM)
1.3836ドルを割り込んでからのユーロ/米ドルは、1.31ドル台にまで下落している。しかし、ターゲットである1.29ドル台には届かずに、反転した。
調整の反発のメドは、日足チャートに示した1.3968ドル(あるいは1.4000ドル程度)だったのだが、2011年10月27日、欧州連合(EU)が首脳会議で、ユーロ圏の債務危機打開に向けた包括策の合意に達したことを材料に、1.4000ドルを上に抜けた。
この時点では、売り方はいったん損切りを敢行し、改めて売り場を探すところ、と考えた。
大局での「ユーロ売り戦略」に変化はないが、ユーロ/米ドルは欧州債務危機に関する材料で大きく振幅しており、無理をするのは危険と考えた。
ところが、上のチャートに示したように、2011年10月31日に、すぐに「緑の破線」で示した「短期のサポート・ライン」を割り込み、「売りシグナル」を発したと考える。
あまりにもアップダウンが激しく、右往左往してしまうが、ここは「ユーロ売り」でついていくところだ。
2011年12月14日に、ユーロ/米ドルは1.3000ドルを割り込み、1.29ドル台ミドルをつけている。この日の安値は1.2945ドルだ。
よって、「紫の破線」で囲んだ「下値1.39ドル台ミドル程度―上値1.49ドル台ミドル程度のボックス相場」を下に抜けた場合のターゲットを完璧に達成した、と判断する。
■似たようなボックス相場が新たに出現
日足チャートの右側に、「高値1.3500ドル-安値1.29ドル台ミドルの約500ポイントのボックス相場」を「黒の破線」で囲んで示した。
この値動きは、チャートの左側に「紫の破線」で示した「高値1.49ドル台ミドル-安値1.39ドル台ミドルの約1000ポイントのボックス相場」の値動きと、パターンが非常によく似ている。
(出所:米国FXCM)
2012年4月下旬から5月上旬のユーロ/米ドルは、「短期のサポート・ライン」を割り込んで「売りシグナル」を発し、さらにボックス相場のネック・ライン(=下限)である1.29ドル台ミドルを割り込んで、さらなる「売りシグナル」を発したと考える。
そして、その「売りシグナル」どおりに下落し、1.25ドル台前半を見た時点でほぼターゲットを達成した、と考える。
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